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「春馬がいたからできた龍馬だった」溢れ続ける親友への想い 三浦翔平× 田中光敏監督『天外者』インタビュー

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 「春馬がいたからできた龍馬だった」幕末の英傑の中でも人気が高く、名だたる俳優たちが演じてきた坂本龍馬役を振り返り、そう語るのは三浦翔平だ。


 三浦翔平は12月11日より公開される映画『天外者(てんがらもん)』に、薩長同盟を実現させた倒幕の立役者・坂本龍馬役で出演。同作は、激動の幕末から明治初期にかけ、薩摩藩士から明治政府役人を経て実業家となり、今日に続く商都・大阪の基礎を作り上げた五代友厚の一生を描いた作品。五代と龍馬は同じ志をもった盟友で、主人公・五代を演じたのは、三浦翔平と公私ともに仲の良かった三浦春馬だった。

 緻密さと優しさにあふれた五代の姿は、三浦春馬自身の誠実な印象と重なり、そして龍馬と築いていた友情も、実際の2人の関係を想像させる。“歴史物”でありながらも、観客に与える印象は「こんな若者がいたんだ」と感じさせてくれる、今にも通じる瑞々しさ溢れる“男たちの友情物語”だ。どのようにこの稀有な作品はできあがったのか。三浦翔平とメガホンをとった田中光敏監督に話を聞いた。

「男臭くてびっくりした」田中監督、三浦翔平の坂本龍馬に太鼓判


 五代を三浦春馬が、龍馬を三浦翔平が演じたほか、龍馬と共に現れ後に三菱財閥を築く岩崎弥太郎を西川貴教、そして初代内閣総理大臣となる伊藤博文の若かりし頃・利助を森永悠希が演じるという、これまでの幕末ものに比べると相当にフレッシュな印象を与える今回のキャスティング。

 三浦翔平自身「できるのかよって思いませんでした?(笑)」と自虐するほど意外な配役だが、もちろん理由はある。田中監督は「新鮮な時代劇にしたかった。春馬くんを中心に、今までにない、若い人たちが出ている幕末物を目指しました」と説明。確かに黒船来航時、五代と龍馬は19歳、活躍したのは20代~。「若い人たちが時代を変えた話なので、実際に若い役者さんたちに出ていただきたかった」という考えも納得だ。そしてその出来は田中監督ら製作陣の期待を上回った。

「僕だけじゃなくて、撮影所のみんなが口を揃えて“想像以上だ”と言っていました。ここにいる彼がその筆頭で、いい意味で裏切ってくれた」(田中監督)

 イケメン俳優として10代から活躍、多くの女性ファンを虜にしてきた三浦翔平の龍馬っぷりには田中監督も驚き。「男臭くてびっくりした。それでいて包容力のある芝居ができて、色っぽい。もっと線の細い人なのかと思っていたんですけど、全然そんなことなかった。これからやんちゃな役もできそう」と、三浦翔平の新たな一面に太鼓判を押す。

「龍馬役を翔平にやってほしい」親友・三浦春馬の誘いに快諾


 坂本龍馬役に三浦翔平。この意表を突くキャスティングを実現させたのは誰であろう三浦春馬だった。

「もともと正式にオファーをいただく前に、春馬から食事に誘われて、そこで『今回こういう役をするんだけど、どう思う? 』って相談を受けたんです。『東の渋沢栄一、西の五代友厚って言われてるんだけど』なんて話をしながら。そしたら、『そこでなんだけど、龍馬役を翔平にやってほしいんだよね』って切り出されました」(三浦翔平)

 三浦翔平と三浦春馬は、2008年4月期に放送されたドラマ「ごくせん」(日本テレビ系)第3シリーズと、同作に続き2009年に公開された映画「ごくせん THE MOVIE」で共演している。2人は、その食事よりも前に行われた三浦翔平の誕生会で「10年以上一緒にお芝居もしてないし、そろそろ一緒にやりたいね」と語り合っていた。

「天外者の相談を受けたのは、その矢先だったのもあって、僕も『是非やらせてもらいたい!こっちからお願いしたいくらいだよ』ってなりました。春馬も『ありがとう!そう言ってくれて!すぐ確認するわ」って。その後、正式にオファーが来て、その時期仕事が詰まっていたのですが、どうしてもやりたい仕事だったので『なんとかスケジュールを調整してほしい』とマネージャーにお願いしました」(三浦翔平)

現場に行けない日も東京で読み合わせ…三浦翔平と三浦春馬が作りあげたリアルな空気


 三浦翔平は仕事が重なり、京都の撮影所に来れない日もあったという。そのときは、代役を立てリハーサルを行っていたそうだが、そこで田中監督は三浦春馬の言葉から2人の絆の強さを感じていた。

「帰り際に春馬くんが『監督大丈夫ですよ。僕、東京で翔平に会ってちゃんとテンションを合わせて、芝居を合わせてきますから』って言うんですよ。それくらい繋がって、映画を盛り上げようとしてくれたのはすごく嬉しかった」(田中監督)

 現場に来れなくても、2人は五代と龍馬、そして弥太郎、利助との関係をも作り上げていっていたのだ。

「東京で春馬と読み合わせしようってなって、『まず2人のシーンから掛け合いをしよう』って、物語においても重要な五代と龍馬が甲板で語り合うシーンを練習して、『どうせだったら(4人の)飯のシーンもやっちゃおうよ』って。そのときは春馬が“才助と弥太郎”、僕が“龍馬と利助”みたいな。1人2役でやっていました。それで『ちょっと俺らまだ方言ダメだな』って反省して、京都に行ってもやろうってなったり。撮影後の食事でも、方言指導の先生に来てもらって、合わせたりしてました」(三浦翔平)

「現場に翔平くんが入ってきて春馬くんと読み合わせした瞬間に『あれ、もうできてるじゃない』って感じるくらい繋がっていました。現実の2人の関係が五代と龍馬のそれにシンクロしていました」(田中監督)


 現場にいるスタッフたちの心を動かしたのは甲板の龍馬が放った最初のセリフ。自分の進むべき道に苦悩する五代に龍馬が「一人やない!おるやないかここに!」と言い放ち勇気づけるシーンだ。

「グリーンバックなんだけど、みんな感動したって言ってました。それほど2人の芝居が良かった。そういうときって現場も嬉しいんです。それは2人の今までの10年間の絆だったり、この映画のためにアイデアを出しながらやってきてくれたからこそのもの。その感じが僕たちに届く」(田中監督)

「春馬との関係性があってできた龍馬です」


 三浦翔平の役作りについて田中監督は「結構勉強してたし、丸1日、坂本龍馬の墓で瞑想していた」とも証言。

「プロデューサーから『今日三浦さん入ってるんですけど、龍馬の墓にいて、今日はずっとここにいたいって言ってます』って聞きました。最近そういう役者さんがいないけど、よく行ってくれたなって思いました」(田中監督)

 “坂本龍馬”について史実では知っていたという三浦翔平だが、実際に歴史館などで当時の彼の私物を目の当たりにし、ゆかりの地を訪れたことで感じるものがあったという。墓参りもその一貫だった。しかし、自分で龍馬像を作りすぎて縛られることも違うと思ったそうで、「そこは春馬に助けられました。春馬との関係性があってできた龍馬です。春馬がいたからできた。他の人が五代だったらまた違っていたかもしれない。頭の固い龍馬になってたかもしれない」と、三浦春馬に感謝。

 それはお互い様だったようで、田中監督は「春馬くんも撮影の途中で『龍馬が翔平で良かった~』って言ってたんだよ」と伝えていた。

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