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焦点:ビットコイン高騰の裏に「主役交代」、北米投資家がけん引


[ロンドン/香港 3日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)ビットコインが今週に入って過去最高値を更新して話題を集めた。だがその裏で、ビットコイン市場の性質を一変させる可能性があるトレンドが進行しつつある。それは取引の中心が東アジアから北米へ大々的に移行していることだ。

ビットコインが今月1日に最高値の1万9918ドルまで跳ね上がったのは、リスクオン取引で買うべき資産、あるいはインフレヘッジの手段、そして決済手段としての広がりに対する評価などさまざまな理由で投資家の需要が強まったからにほかならない。

一方で現在の値上がりは、市場構造の変化も物語っている。ビットコインは10年ほど前、謎に包まれたナカモト・サトシ氏が発明したとされて以来、中国や日本、韓国といった東アジア地域の投資家が主役の座を担ってきた。しかし今年の165%という上昇局面で、最大の勝ち組となっているのは北米の投資家だ。

ロイターが集計したデータを見ると、大半が北米ユーザー向けのプラットフォームは、新たな買い手の参入を意味する週間の純資金流入規模が年初から11月半ばまでに7000倍に膨らみ、34億ドル相当となった。

反対に東アジア向けプラットフォームは、1月時点で流入していた資金が先月、38億ドルも流出したことが、米ブロックチェーン調査会社チェーンアナリシスの分析で分かる。

仮想通貨プラットフォーム運営会社や欧米、韓国、香港、日本の投資家にロイターが取材した結果、こうした地殻変動は米国の大口投資家がビットコインへの引き合いを強めたことが主な理由だと判明した。

セーシェルに拠点を置くHuobi Global Marketsのシアラ・スン氏は「北米地域から突然機関投資家の需要が舞い込んだ。これがビットコイン取引の主導権を握り、さまざまな交換所やプラットフォーム間の資産配分の再調整をもたらしている」と指摘した。

<重心移動は本物か>

タグ付きの仮想通貨ウオレットなどの地域別データをまとめているチェーンアナリシスによると、ビットコイン取引の最も大きな拠点は東アジア、北米、西欧で、このうち東アジアと北米だけで全取引の約半分を占める。

こうした中で複数の業界専門家は、特に今年は新型コロナウイルスのパンデミックが金融市場を大混乱させたという特殊事情がある点を踏まえれば、ビットコイン市場構造が根本から変わったと断定するのはまだ早いと警告する。香港の仮想通貨運用会社Q9キャピタルのジェームズ・クイン氏は今年の北米への流入増加について、取引の重心が米国に向かっている表れだとは必ずしも言えないと述べた。仮想通貨取引は、従来の資産に比べると透明性が非常に低く、規制もほとんどないため、包括的なデータが乏しいという面もある。

それでもチェーンアナリシスのデータに基づくと、今年の主要交換所の出来高は北米が東アジアを上回った。過去にも時折、そうした現象は見られたが、今回ほど出来高の差が開いたケースは一度もない。

11月末段階で北米の主要交換所4カ所の出来高は週当たり160万枚と、年初の2倍に達したが、東アジアの14カ所は16%増の140万枚にとどまった。1年前は東アジアが130万枚、北米は76万6000枚だった。

<米機関投資家の参入>

ロイターが取材したところでは、法令順守問題を重視する米投資家の多くは以前、仮想通貨市場の不透明性から参入を尻込みしていたものの、米国の業界を巡る監督体制が改善され、魅力を感じるようになっている。

実際、米国の交換所は総じて東アジアよりも規制が厳しい。また今年に入り、米国の規制当局がビットコインを具体的に規制しようとしている動きが幾つかある。7月には銀行規制当局から国法銀行が仮想通貨の保管サービスを提供する可能性が言及された。司法省は10月にデジタル通貨向けの法令運用の概要を示した。

米大手交換所クラーケンのカーティス・ティン氏は、仮想通貨市場の中できちんと規制されている場所と、規制なしか規制が乏しい場所の明確な選別が始まっていると説明した上で、大手の機関投資家は規制された交換所が提供するような予測可能性を求めていると強調した。

ニューヨークに拠点を置く世界最大のデジタル通貨運用会社グレイスケールの預かり資産は足元で104億ドルと、9月から75%強も増えて過去最高を記録。傘下のビットコインファンドは85%上がっている。

米国に顧客を持つカナダのデジタル資産運用会社3iQのクリストファー・マッタ氏は「多くの米ファンドは大口の米国投資家と取引している」と語り、ニューヨーク州金融規制当局が監督するカリフォルニア州のコインベースの例を挙げた。

マッタ氏は「そうした動きが、市場の規制があることや規制対象の交換所で取引することがいかに大事かを伝えている。この点を機関投資家が念頭に置いているのは間違いない」と強調した。

<個人投資家の退場>

専門家によると、今年のビットコイン高騰の裏にあるもう1つの要素は、2017年の値上がりを主導したアジアの個人投資家が減ったことだ。韓国の高麗大学ブロックチェーン調査研究所のイン・ホー氏によると、同国では厳格な規制によって投資家の取引意欲が低下した。

中国につながりがあるものの拠点を海外に置く主要な個人向け交換所が中国政府の締め付けで身動きできなくなる可能性があるとの懸念が、需要を冷え込ませたのではないかとの声も聞かれる。10月には中国で創設された後、マルタを本拠としていたOKExが6週間近く、仮想通貨の引き出しを停止した。幹部の1人が中国当局の調査に協力していたためだという。

ビットフライヤー(東京)共同創設者の加納裕三氏は「最近では、市場への影響力は北米からもたらされていると思う。北米では多くのファンドが買いに動いている」と語った。

(Tom Wilson記者、Alun John記者)

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