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習近平が握る中国の運命

中国では共産党党大会が開催されている。
その映像を見た方も多いと思うが、画面からなにか非常にピリピリしたムードを感じたのは私だけではあるまい。
このピリピリ感は、まさに権力闘争が現在進行形で進んでいることを証明するものであろう。

1990年から30年余り、私は中国を身近で見てきた訳だが、これまでの30年間とこれからの10年つまり習近平が国家を導くこの10年は全く違った性質のものになると思う。

いや違った性質のものを目指しそれをある程度成し遂げなければ中国は世界中の皆様が期待している「中国大崩壊」の道を進んでしまうのではないだろうか。

そういう意味で習近平の肩にのしかかった責任はとても重い。


この30年間はにとかく「成長の時代」だった。
鄧小平が唱えた「白でも黒でも三毛でもシャムでも、大熊猫でもドラエモンでもネズミを獲ってきた猫が良い猫である」との言葉通り、中国は「まずはどんな方法でも良いからお金を儲けよう」という道をひたすら突っ走ってきた。

中国はその課題をある程度成し遂げ、国のGDPにおいては世界第二位となり、あと10年もすれば米国も抜き去り世界一の座に就くことが確実視されている。

「中国経済万歳!!じゃないか」

そんなことはない。
GDPなんて人口が多い国がちょっと欲を出して真面目に働けばどこまでも増える。
そういう話ではなく、中国の実態経済はかなり行き詰っている。
今の景気後退局面はまたまたお決まりの国家の財政主導でそこそこ立ち直ると見ているが、次または次の次辺りの景気後退局面においては今までの手法が通用しなくなるたろう。

その頃までに、中国の体制が変わっていなければかなりヤバくなる。

何がヤバイか?

簡単に言えば中国は海外からせしめた富をまず国家が独占し、国家事業や国有企業を通じてまずは利権者に富を分配しそのおこぼれを国民にばら撒くという経済運営を続けてきた。
その方式に限界が来ていることがヤバイのである。

中でも一番ヤバいのが、伸びている経済の中で強くなっていくはずの「民」の活力が削がれ続けている事。中国では国有企業が色々な意味で優遇されている。決して自由競争の社会ではない。本来ならば時代と共にそのような歪な経済は淘汰されていくはずなのだが、経済は資本主義、政治は共産主義という大きな矛盾を抱えた中国ではそのような自然な流れがせき止められている。

だから、有能な人間は海外に逃れ、ごく少ない有能な民間企業は海外を目指す。


どの国でもそうだが国有企業みたいなものは効率は悪いし、社員のモチベーションも低い。そんなところから真のイノベーションが生まれてくるわけがない。

中国はもう安くて品質そこそこの製品で儲けることはできなくなる。
今後10年ぐらいの間、国民所得は年10何パーセントという勢いで上がり続ける訳だから、世界の工場としての優位性は殆どなくなってしまう。少なくとも新しく工場を建てる海外企業は他国への進出を考えるだろう。

人件費だけの問題ではない。今回の反日政策。中国は「鶏を殺して猿を脅かす」の諺通り、日本を必要以上に懲らしめて、南沙に纏わる諸国にメッセージを送ったが、これは明らかにやり過ぎ。
あの野蛮な暴動を見た世界中の人がどう思ったか・・はちゃめちゃに破壊された我が平和堂よりも、大きく壊れたのは中国人に対する国際的なイメージである。

とにかく中国がこのまま進めば、まともな先進国になれる訳はない。
10年後、このまま進めば間違いなく「二流国の罠」にずっぼりと嵌り込んでしまうだろう。


そうならない為に残された期待は一つしかない。
それは習近平が我々の想像を遥かに越えた「人物」であることである。


貧乏だったあの中国をここまで発展させた鄧小平と同じく、習近平が歴史に名を残す大政治家となれるかどうかが分かれ道。
習近平の力量が中国の将来を決定づけると言っても過言ではない。


習近平の実力がどれほどのものかについては、正直蓋を開けてみなければ誰も分からない。


もちろん、習近平自身も現時点では何一つ自分の本性を出していないと思う。

江沢民派と言われているが本心のところは別だろう。
太子党だが、お坊ちゃんとは全く逆の生き様をしてきた人物。
酸いも甘いも辛苦も味わってきた。

「金持ちで暇な米国人が中国の人権問題についてとやかく言うな!」
この言葉から外交強硬派ともとられがちだが、実際は大きな世界観国家感を持っていると感じるところがある。

彼は、橋下さんや石原さんみたいにひょんなことから政治家になったような軽い人物ではない。


選挙がない社会で登り詰めなければならない訳だから、能力、知力、胆力、統率力、魅力、竹内力など・・とにかく「力」が圧倒的だったのだろう。
中国の政治家は押し並べて思慮深いが、それはその「顔」を見るだけでも分かる。


習近平の顔、私よりもちょうど10才年上だがあの温厚そうで意志の強そうな面構え、あんな58才の政治家まず日本にいまい。 渡辺嘉美が彼よりも一つ上である。二人を比べたら爺と孫ぐらいの差があるのではないだろうか?

彼は慎重だから就任後の数年間は自分の意志では動かないだろう。
勝負は後半の5年だと思う。
ここで彼の能力が発揮されると期待する。

なんだかんだ書いたが私はなんとなく習近平が好きだし気になっている。
そして何よりも期待している。
こんなことは江沢民の時も胡錦濤の時も全く感じなかった。
何に期待しているかと言えば、中国をマトモな先進国にしてくれることをである。

では、中国をまともな先進国にする為にどうすれば良いか?

一つは国家主導の経済成長から、民間の活力が生きる経済に路線変更すること。

そして、国際社会から蔑まれ疎んじられることなく、国際的な信用を大切にすること。

最後は、数多く存在する非常に優秀な自国民が中国に留まりたいと思える国にすること。

中国が更に20年30年と発展するにはこの三つの課題を実現するしかない。
とにかく今後10年、中国がどうやって二流国の罠を回避するか・・それは習近平の活躍にかかっていると言える。

また、そんな10年間、中国株でどのように戦うか?
それについての戦略はある。
その話については来週火曜のメルマガで・・・

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