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Google税を検討する程、混乱するメディア業界に明日はあるか?

インターネットの急速すぎる普及とGoogleに代表される新世代の情報検索&アグリゲーションサービスの登場により、従来のメディア、特に出版業界、そして中でも新聞社は世界中で多くが瀕死の危機に追い込まれています。実際、アメリカでは多数の新聞社が既に廃業していますし、これに対抗しようと、フランスでは、Googleにコンテンツ使用料を検討する法案が検討されていますし、ブラジルでも新聞社がGoogle Newsにコンテンツ使用料を求めて争っています。時代の流れに逆らって無駄な抵抗をしているだけと非難することは簡単ですが、実際、従来のメディア企業にとっては死活問題だけに必死の抵抗もまた必然。今回はそんな混乱するメディア業界の現状と今後彼らがネット・Google時代に生き残っていくための可能性について考えてみた記事をThe Next Webから。 — SEO Japan

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フランス政府とGoogleとの最近の喧嘩は、従来メディアが争いをせずに破壊の力に屈することはないということを示している。それが何であるにせよ、結果は誰の利益にもなりそうもない。

例えば、もしフランスのメディア企業が、インターネットアグリゲーターがコンテンツの抜粋に対してメディア企業にロイヤリティを支払うように要求する法律を通すように国会を説得することに成功したなら、Googleはこれらの企業をその検索エンジンから外す可能性が高い。Googleはこの劇的な動きを、そのビジネスモデルの邪魔をしたり、この会社に良い景気をもたらし続けて早いペースのイノベーションを続けることを可能にしている黄金のガチョウを脅かす可能性がある制限付き使用に対する課金の合意の前例と受け取るだろう。

優位に立つことがGoogleの目的ではないが、その力は、全知であり、単に一部ではなく全てのテーマにおいて専門知識を示す能力を持っている。フランスメディアをインデックスから取り除くことによって、Googleは、特定のトピックにおける検索をそれを所有するために支払う意思のある人に譲ることによって検索市場にさらなる崩壊を招くという危険を冒す。

この戦いの中心をなすのは、Googleがそのサービスに燃料を注ぐために使用する生のマテリアルを提供しているのだからそれに相当する恩恵を受ける権利があるべきだという従来のメディア企業による論拠だ。その一方で、Googleは、すでに自由に利用できる情報を整理してアクセス可能な情報にしているだけだと主張している。もしメディア企業が自分たちのコンテンツを検索エンジンを介して簡単に見つけられるようにしたくないのであれば、Googleクローラーがそれらをインデックスできないようにブロックすればいいだけだと、Googleは反論する。

しかしながら、この議論の根底にあるものは、いかにして従来メディアが希少性のオフラインの世界から多様なオンラインの世界への移行を生き残り続けるかというもっと大きな問題だ。世界でも名高い従来メディア企業の多くが、自分たちが崩壊寸前であることを分かっているために、新しい収入源を切望するのだ。そのような状況は、世界中で数千人を雇っている業界全体を脅かすだけでなく、力強い民主主義国が作られる基盤でもある。

変化するランドスケープ

印刷物がインターネットの脅威にさらされているのなら、従来のメディア企業は新聞を印刷することをやめて、限定された流通モデルに制限されずにオーディエンスがもっと多いオンラインコンテンツを生み出すことに焦点を合わせたらどうだろうか?と多くの人が言う。

そのような議論にある問題は、オンライン広告のマージンがオフライン印刷のマージンとはマッチせず、トラフィック量の増加が必ずしも差し迫った収益の低下を埋め合わせるわけではないことだ。さらに言うと、大きなブランドパブリッシャーがオンラインで意のままにすることができるマージンは、以下の3つの理由でますます危ぶまれている:

最初に、ますます多くの非従来メディアがオーディエンスのシェアを獲得して、広告主をめぐる競争を生み出している。そのときオンラインでどんなお金が使われるかは、どんどんと広がっている。

次に、パブリッシャーが広告主に提供できる価値のある独占的なオーディエンス情報は、オンライン市場が成熟するにつれて、競争力のある強みではなくなってきている。広告主が複数のプロパティをまたがってユーザーをターゲットしたりし直したりすることができるGoogle/DoubleClick Ad ExchangeやYahoo!のRight Mediaのようなアドエクスチェンジのさらなる高度化によって、もはやメディア企業はオーディエンスの好みやニーズや願望への特権的アクセスを主張することができない。それ故に、プレミアムな直接販売広告とサードパーティを介して売られるレムナント(売れ残りスペース)広告の差は、時代遅れの現職者には大変残念なことに埋まっているのだ。

3つ目に、オフラインメディアからオンラインメディアへの広告主の予算の期待される移行は、まだ目に見える形になっておらず、この業界を救うのに間に合いそうもない。オンライン広告費は健全に増え続けるとはいえ、従来メディア企業は、読者層全体の大きな割合を獲得しているモバイルトラフィックの収益化に力を入れようとして、GoogleやFacebookのようなインターネット大企業に参加する。

つまり、オンライン広告にただ頼っているだけでは、従来メディア企業が時代に合わなくなった印刷ビジネスの過剰なコストを負担するには十分ではないということなのだ。

新しいモデル

そこで必要とされるのが、従来メディア企業が多様化して長期にわたって安定性を確保することを可能にする新しい収益源だ。Jeff Jarvisが指摘しているように、ニュースは採算が取れたことがなく、その生産を支援するために他のビジネスモデルに常に頼ってきた。求人広告を無料で提供し収入源を削り落としているCraigslisteBayがあるため、多くの人は、メディア企業がもちこたえるためにはどんなビジネスモデルが残っているのか疑問に思っている。

しかしながら、放置された収益がプラスのビジネスモデルは手に入れるのが難しいため、今もこれからもメディア業界を全体としてサポートするビジネスモデルは1つもないというのが現実だ。New York TimesWall Street Journalのように、人々が簡単に他の場所で無料で手にすることができるコンテンツに支払うという前提のもとで、固定有料コンテンツを強要しているメディアもいくつかある。コンテンツだけで生き残る可能性のあるニッチなコンテンツプロバイダーがいる一方、低価格の競合相手に道を譲って、自分たちの長期的な無関係を確実にするコンテンツプロバイダーもいる。

変わり者の有料コンテンツの成功は別として、古いメディアビジネスモデルを置き換えることだけがソリューションではなく、数多くのソリューションがある。メディア企業は、私たちが情報を消費する方法を再定義する面白い技術を開発して導入すると同時に、顧客や広告主やコンテンツプロデューサーのような資産を活用して新しい経済機会を作り出す必要がある。

ビジネスモデルはさておき、私たちは、どのようにニュースが生み出されるかやこのプロセスにおけるメディア企業の役割についてもう一度見直す必要がある。The Guardianが読者に思い出させたように、コメントは無料であり、メディア企業がニュースプロデューサーとニュースブロガー/アグリゲーターの区別を主張しようとするのはあまりにも近視眼的である。さらには、メディア企業は情報を消費する人とそれを生み出す人のぼやけを認識して受け入れなければならない。そのような状況の中では、例えば、新聞編集者とライターの役割は、情報の質は高いままでそれを獲得する費用は低く抑えるというように考え直される必要がある。

最後に、私たちは従来メディア企業が基本的に公益となるものを生産することに役立っていることを否定することはできない。その特別な地位を考えると、私たち市民は、自分たちが消費する情報をフィルターにかけるための国家統制下にある組織と同様に営利目的で時に議題主導のメディア企業に頼りたいかどうかを考え直す必要もある。例えば、極端な透明性と説明責任のモデルを基に日刊新聞La Diariaが作られた場所でもあるウルグアイで、1つのソリューションが発見されている。この新聞紙の管理は、保護する立場にある人によって保証される。La Diaraのようなソーシャル企業が私たちが情報を消費する方法を形作る機会は非常に多く、まだその姿を現し始めたばかりだ。

結論

‘Google税’を課すというフランス政府の試みは、自分自身が何もしないことの重みによって溺れている死にかけの業界にロープを投げるために計画されたその場しのぎの処置にすぎない。

取り組み始めた問題を解決できないことはさておき、アグリゲーターに課せられる税金は、私たちが情報をどのように整理しアクセスするかのイノベーションを制限して、妨げるため、フランスのインターネット企業の進化に冷や水を浴びせる効果がある。

その結果は、きっと、いっそう多くのフランスの起業家に今よりも良いシリコンバレーとそこで派生したコミュニティに向かうことを余儀なくさせ、すでに経済的な不安定なフランスの知識経済の成長の可能性を妨げることになるだろう。技術的革新によってもたらされるクリエイティブな破壊の浸食に抵抗する国に歴史はつれなくすることが証明されているため、フランスは注意するのが賢明かもしれない。

政府の介入に頼って業界の問題を解決するよりも、従来メディア企業は自分たちの業界におけるイノベーションに抵抗するのをやめて、それを受け入れる必要がある。俗にいうように、“情報は自由になりたがっている”ことは間違いない中、ユビキタスな接続性によって放たれた過剰需要は多様なビジネスモデルの可能性が豊富にあることを意味する。このソリューションは、私たちが情報をどのように作って消費するかを根本から考え直すことを要求するが、もし従来メディア企業が攻撃の先頭に立とうとしなければ、世界中の若いインターネット起業家がこの難題に立ち向かうだろう。もしかするとフランスを除く、全ての場所で。

画像クレジット: Remy de la Mauviniere/Getty Images

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この記事は、The Next Webに掲載された「Reorganizing the media industry will be messy, but solutions remain unclear」を翻訳した内容です。

仮にGoogleがコンテンツ使用料を多少払ったとしても、記事にあるように「ランドスケープ自体が変化」しているわけですし、本質的な解決方法からは程遠く、最終的にはメディア企業自らがビジネスモデルを変革していくしかないと思います。

人によって様々な思うところがある記事だったと思いますが、最後の一文は強烈かつ納得せざるえない人も多かったのではないでしょうか。余りにインパクトがあったので再掲載したいと思います:

“情報は自由になりたがっている”ことは間違いない中、ユビキタスな接続性によって放たれた過剰需要は多様なビジネスモデルの可能性が豊富にあることを意味する。このソリューションは、私たちが情報をどのように作って消費するかを根本から考え直すことを要求するが、もし従来メディア企業が攻撃の先頭に立とうとしなければ、世界中の若いインターネット起業家がこの難題に立ち向かうだろう。もしかするとフランスを除く、全ての場所で。


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