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「『孤独のグルメ』で何度も見た印象的な光景は…」松重豊が語った撮影の“ハイライト” ――松重豊の「僕が『空洞のなかみ』を書いたワケ」 #2 - 「文春オンライン」編集部

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40代になっても「いつ辞めよう」…そんな松重豊が役者を続けられた理由 から続く

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 2019年には「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」で映画初主演を務めたかと思えば、2020年公開の映画「罪の声」では主演の小栗旬、星野源の脇を固めるバイプレーヤーとして登場するなど活躍を続けている松重豊さん。

 50代目前になって初主演となったドラマ「孤独のグルメ」が大ヒット。10月に発売した初の著書『空洞のなかみ』でも撮影の秘話が数々語られています。「食べるということだけをテーマにした」異色のドラマから見えてきた「空洞のなかみ」の正体とは――。


松重豊さん(毎日新聞出版 提供)

◆◆◆

――初著書『空洞のなかみ』のなかでも、『孤独のグルメ』の話題が多く出てきます。このドラマに関わって、どんな変化がありましたか。

松重 それこそ日常生活でも「やっぱり演じている手前、路地裏のひっそりしたお店に行くべきじゃないか」と思うようになりました(笑)。

『孤独のグルメ』は、いままで修行してきたことと全く違う、食べるということだけをテーマにした作品です。これまでの仕事とはまったく違う。それがここまで注目されて、日本のみならず、中国、韓国、台湾、東アジア全体でお客さんがいるというのが、本当のことをいうと、自分でもどういうことなのかまだよくわからないんです。

 でも、僕自身、これは面白く思わないと損だなと思っています。このコロナ禍で、また見ている人が増えているようです。飲食店に行けない時期に、再放送で何度も見ていると聞くと、改めてあのドラマがそれだけいろんな人に必要とされている、何かしらがあるんだろうとわかります。いまだからこそできることもあると思うんです。

「この1年の最後に、五郎が食べるものってなんだろう」

 2020年も『孤独のグルメ』年末スペシャルを12月31日に任されることになりました。僕自身、2020年に井之頭五郎が最後に食べるものってなんだろうとものすごく考えました。どういうシチュエーションで、何を食べるのが、もっともふさわしいのか。これならみんなと一緒に年を越せるという究極の答えを見つけて放送を迎えるつもりです。嵐の休止前最後の番組出演もあると思うんですけど、ぜひ立ち会っていただきたいですね。「嵐か五郎か」で、チャンネルをザッピングしていただけたらなと思います(笑)。

「予約の時も『孤独』でお世話になった松重ですけど…とは言いません(笑)」

――これまでシーズン8まで放送してきた『孤独のグルメ』ですが、印象的な回やハイライトはありましたか。

松重 いろいろな回がありました。収録でニンニクを食べすぎた翌日の朝一番に、別のドラマの撮影で、臨終を迎える私をキャストが囲んで号泣するシーンがあり、号泣する美女に囲まれながら息を止めるのに必死になったこともあります。苦しくて僕も涙が出ました(笑)。

 でも、実際のところ、特にハプニングというハプニングはそんな起きないんです。振り返っても「おいしかった」ということぐらいしか思い出せないことも……。

 考えてみれば、『孤独のグルメ』は「ドキュメンタリー」に近いところがあります。僕は本当に腹を空かせて食べているからおいしく感じるし、本当にお店の料理がおいしい。

 僕自身、放送が始まっちゃうと行けないので、放送前に実際に行くんですよね。「ああ、来てくれたんですか」「いや、来ますよ。あの時食ってないやつを食べたくてさ」と、そこでまたお店の方と話をします。

 で、「次また来るね」といって、放送日が来ちゃって、そこから先は予約しようとしても「すいません、今度の日曜日なんですが……」「あ、すいません、もういっぱいです」って言われて「ああ、そうか。駄目か。ごめんなさい、また電話します」……と、こんなふうに行けない店が山ほどあります。お店の方には「『孤独』でお世話になった松重ですけど」って一言言ってくれればと言われますが、流石にそれは言いませんから(笑)。

 ある意味、そういうところで嘘はついてないから、ドラマでありながら、どこかドキュメンタリーやノンフィクションに近いものがある。作り手がみんな、それをわかっているんです。もしかしたら、そこが普通のドラマと違うから、何度見ても面白いと思われているゆえんかもしれません。

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