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スマホ市場における「競争原理」と「価格統制」

■「競争原理」と「市場原理」を強調する政府

 NTTドコモが20GBで月額2980円の新料金プランをメインブランドで発表したことで、武田総務相は以下のように述べた。

 「いい方向感が出てきた。競争原理が働けば、おのずと適切な経営判断がなされる

 武田総務相に続いて菅総理も以下のように述べたとされる。

 「ようやくこれで公正な市場原理が働く

 武田総務相は「競争原理」、菅総理は「市場原理」と言うが、かつて携帯電話会社がNTTドコモ1社だった時にも聞かれた台詞だ。
 当時は、NTTドコモ1社だけでは携帯市場の独占となってしまうので、KDDIが携帯市場に参入し、「競争原理」が機能すると言われた。その後、3社目のソフトバンクが新規参入したことで大手3社となり、これまた「競争原理」が機能すると言われた。

■格安スマホ(MVNO)市場が生まれた理由

 大手キャリア3社の価格競争によって、携帯電話料金は確かに下がっていった。しかし、スマホが登場したことで携帯電話とは別の料金体系が組まれ、お世辞にも安価とは言えない料金体系になっていった。文字データの送信が主体だった携帯電話と違って、画像データや映像データが主体となったスマホでは、データ通信量が大幅に増加したため、設備投資費の回収のためにも、これは仕方のない一面もあった。

 しかし、スマホの高額な利用料金が原因で携帯電話からスマホにスムーズに乗り換えできない人が多かったため、格安スマホ(MVNO)市場というものが生まれた。一定の容量制限が有るものの、大手キャリアとは比較にならないほどに利用料金が下がったことで、それまでスマホに興味を示さなかった人々も徐々にスマホに移行していき、一気にスマホ市場は拡大した。あまりにも料金が大幅に下がったため、スマホと携帯の2台持ちという人も増えた。

 武田総務相や菅総理は、「競争原理」や「市場原理」が働いていないと言うが、「競争原理」や「市場原理」が働いていたからこそ、格安スマホ(MVNO)市場が生まれたのではなかったのだろうか?

■「市場原理」ではなく「行政指導」による価格統制

 auやソフトバンクがサブブランド(UQモバイル・Yモバイル)での新料金プランに留まったことで武田総務相は苦言を呈していたが、メインブランドで発表したドコモも、申し込みはWeb限定であり、通常の窓口では対応しない予定となっている。
 よくよく考えてみると、メインブランドとサブブランドで評価が分かれる違いはどこにあるのだろうか?

 サービスを提供する企業が増えれば「競争原理」が働き、それらの企業が互いに競争すれば、「市場原理」が働いて料金が下がっていく。それが、武田総務相や菅総理の認識なのだろうけれど、バブル期であればともかく、このデフレ不況下で過剰な価格競争を強制して、本当に景気が良くなるのだろうか?

 NTTドコモ1社だった時に「競争原理」が必要だと言うことは理解できる。その後、携帯電話会社は3社となり、そこに楽天が新たに追加されて4社になった。
 それでも競争原理が機能していないということで「価格競争をせよ」、それで価格が下がれば「競争原理」が働いたと言う。
 これでは「市場原理」ではなく、「行政指導」による価格統制によって「市場原理」が機能したということになってしまう。

 競争企業が増えても、価格競争を行っても、「市場原理」は機能しなかったので、政府が指導することでスマホ料金を下げましたと言うのでは、「競争原理」や「市場原理」を肯定している人物が、真っ先に「競争原理」や「市場原理」を否定していることになってしまう。

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