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「香港人」意識を強める香港と、それを認めたくない中国

 『環球時報』に掲載されていた「调查称仅2.4%香港80后认同自己是“中国人”」という記事が興味深かったので、これについて少し。


1 記事の紹介

 最初にいつものとおり記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 香港と大陸の交流はますます盛んになっているが、最新の調査によると、1980年代生まれのアイデンティティはかなり強烈なものがある。

 香港『東方日報』の12日の報道によると、香港中文大学の世論調査センターが先月819人の香港人を対象に世論調査を行った。されは以下の4項目の中から自分の属するものを選ぶというものであった。

 その4つとは、「中国人」「香港人」「香港人、しかし中国人でもある」「中国人、しかし香港人っでもある」となっていた。

 結果42%の者が「香港人、しかし中国人でもある」を選んだ。これは2年前の44%より若干下がっている。次に多かったのが、23%の「香港人」で、これは2008年以来最も高い数字となった。

 22%の者が「中国人、しかし香港人っでもある」を選択し、純粋な「中国人」と答えた者は12%と97年の返還以来最も低い数字となった。

 今回調査を30歳以下の80年生まれと、そうでないものに分けると、80年代生まれで、「中国人」を選んだのはわずか2.4%だったが、それ以外は15.9%だった。

 この調査結果を受けていろいろなことが言われた。香港特区の全国政協委員の劉夢熊は、これは特区政府とが民生政策ばかり行っており、「香港独立運動」などをきちんと取り締まらないからだと述べた。

 香港青年連合会の顧問を兼任する中華輸出入商業会議所の許華傑副主席は、もし香港の青年が政治的に大陸に反抗するならば、多くの就労の機会を失うこととになると述べている。しかし「基本法」委員会の劉乃強委員は「民意は浮き雲のようなもの」とこれだけでは、判断できないとしている。

 香港科技大学の雷鼎鳴主任は「香港人、しかし中国人ではない」という選択肢がなかったので、調査に問題があるとしている。彼はこの選択肢があって初めて、香港人のアイデンティティを確認することできるとしている。

 今回の調査を行った香港中文大学の馮応謙伝播学院院長は取材で、香港人が「香港人と認識する」ことと、「国民(中国人)であると認識する」ことは、何ら矛盾していないと述べている。確かに「香港人」意識はますます強くなっている。

 しかし、同時にここ10年来香港人は国旗、国歌、解放軍などの国家の象徴に対する誇りを上昇させている。例えば、1996年には国旗に対し誇りを持つ者は30.6%しかいなかったが、今年の調査では37.6%になっている。

 他にも1996年は解放軍に対し、好感を持っている者は、10%だったが、それも今年は21.5%にまで上昇している。

 馮応謙は、香港人のアイデンティティが強まったのは、近年関係した討論が多かったからだとしている。80年代生まれにこの傾向が強かったのは、教育で自主独立を推進したり、社会に関与することが多かったからではないかとしている。

 また「もし調査がオリンピック又は、建国記念日の時期に行われたのなら、中国人アイデンティティがより強く出たと思っている」とも述べている。

 最近の香港独立運動にも触れ、調査結果で最も多かったのが「香港人、しかし中国人でもある」であったことを引用し、香港独立を指示しているのはほんの少数としている。



2 個人的感想

 以前書いたように、香港では香港独立運動が盛んなようですから(中国メディアによる「香港独立」運動の紹介?)、正直中国政府としては、今回の世論調査の結果はかなり好ましくないものであったのは間違いかと思います。

 そのため必死になって国旗や解放軍に対する好感度の上昇などを一緒に提示し、「香港人だが、中国人でもある」香港人を印象づけようとした記事かと思います。

 世論調査の選択肢に「香港人、しかし中国人ではない」を追加すべきとの意見がありましたが、個人的にはかなり興味深く思った意見で、本当に追加できたら面白いことになりそうですが、多分入る見込みはないと思われます。

 理由は言わずもがなで、下手にこの結果が高かったらシャレにならない結果で、調査の実施そのものが行われなくなる可能性が高いと考えるからです。

 80年代生まれに「香港人」という意識が強いのは何故でしょう。記事ではいろいろ理由を挙げておりましたが、思うにおそらくこれは1989年に起こった天安門事件の影響が大きいのではないでしょうか。

 当時、香港ではかなり激しい反対運動が起こり、それがまだ息づいている時代に幼少期を送った人たちにしてみれば、中国人とは違うという意識がその時、形成されたとしても何の不思議もありません。

 むろん、これは私の推測に過ぎませんが、最後の結論などはあきらかに大陸に気を遣った発言で、言論の自由がある程度尊重されているはずの香港でもこうして中国の顔色を伺わなければならないのが現実です。

 こうしたことや、金に飽かせて香港に大挙して押しかける大陸人への反発が(香港人は犬で鞭でしつけることが必要?)益々「香港人」意識を強める結果になっていると思うのですが、いかがでしょう。

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