重症者数は入院医療への圧迫を示す一つの指標です。
新たに重症となる人が増えれば増え、回復もしくは残念ながら治療虚しく死亡する人が出ると減少します。
重症者数はここ数日500前後で推移しており、600前後辺りがこの冬のピークとなるかもしれません。
私は以前の記事から書いていますが、この冬のピークは冬場の気温や乾燥など、厳しい環境要因から考えて1000名前後と予想していました。
死亡者数がこれまでよりも増えていることを指摘する方が多いと思いますが、これは前回の記事でも書いたように、冬の入りは感染症に限らず様々な疾患で死亡者が増える時期であることを踏まえると、仕方のない増加と思います。
高齢者で脳卒中などの後遺症のある方などは、冬場に風邪を契機とした肺炎などで亡くなることも多く、もともと予備能の低い方にとっては風邪でさえ冬場には命取りとなるのを我々は多く経験しています。
コロナは風邪論者、というとバッシングに晒されるようですが、そもそもこの議論自体ナンセンスで、風邪だって命取りになり得るということを無視しています。
インフルエンザも風邪の範疇に入ってきますが、ワクチンがあり、治療薬があるにもかかわらず、これまで例年インフルエンザ流行年には確認されているだけで国内で数千人が主に冬場に亡くなっています。
現に2018年は約3300人がインフルエンザによる死亡を確認されています。
実際には、たとえばインフルエンザと肺炎を合併しても死因は肺炎としてしまうことが多いですから、インフルエンザ関連死は年間1万を超えるだろうとも言われています。
インフルエンザではPCRは行われず感度の低い抗原検査だけですから、今回のコロナのようにPCRを行っていれば、さらに数は増えていたでしょう。
さて、本題に移りますが、地上波メディアの報道姿勢は一向に変わりません。
コロナ重症を受け入れている施設の医師からコメントを得て、コロナ重症医療のひっ迫をアピールするだけならまだ良いですが、医療全体のひっ迫をアピールし続けています。
東京都の医師会長や日本医師会長もメディアに出演しては、抽象的な表現であたかも医療全体が崩壊傾向にあるという印象のコメントを続けています。
昨晩たまたま視聴したTBSのNEWS23では、東京都の重症床が150は確保とした上で、現在の都の重症者数は62名、実際にすぐに使用可能な残り病床数は9しかないと報道していました。
見た人は皆、えっ、残り9しか重症の人は診られないの??と思ったでしょう。
私もそう思いました。
ただこれには、それまで医療のひっ迫をアピールし続けていた同席の都の医師会長も、「実際に9かどうかは知りませんが」といったようなコメントでお茶を濁していました。
この報道は正確なんでしょうか?
都の医師会長ですらお茶を濁していたあたりから、かなり怪しいという印象を受けました。
本当に実際に9床しかないのか、確証が得られていないのであれば大々的に報道すべきではありません。
しかし、実際には都内全域でコロナ重症者が残り9名しか診られないということはあり得ないと私は思います。
そうすると、この番組の報道は不必要に視聴者の不安を煽る印象操作でしかありません。