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「なぜ見ないのか」鬼滅の刃ブームに乗り遅れた人たちに言いたいこと

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まさに私にうってつけのテーマである

担当編集者からこんな依頼が届いた。

<集英社刊行の『鬼滅の刃』の最終巻(第23巻)が、12月4日に発売されることが決まりました。アニメ、映画も大ヒットし社会現象化していますが、まだ作品を見ていないという人も一定数います。

中には「今さらブームに乗りにくい」「後から乗っかるのが恥ずかしい」という声を周囲の人からも聞きます。そのような「ブームに乗り遅れがちな人」に向けて、中川さんが日ごろお考えになっていることがあれば、ぜひご執筆いただければ幸いです。>
オリコンの年間本ランキングで、コミック単巻売り上げの1~22位を独占した『鬼滅の刃』の単行本 - 写真=時事通信フォト

まさにこのテーマ、私にうってつけではないか! 「今さらブームに乗りにくい」「後から乗っかるのが恥ずかしい」という人はなーんにも気にしないでいい。散々その経験をした結果、開き直ってしまった1973年生まれの私がこれまでいかに、ブームから遅れる人生を送り続けてきたか!

もちろん『鬼滅の刃』の存在は知っているし、各種コラボ商品をコンビニや自販機で見たし、主人公がチェック柄の服を着ているのは分かるし、主人公の名前が巨人の捕手・炭谷銀仁朗に似た名前だったと記憶しているし、映画『千と千尋の神隠し』を超えるかもしれない興収を挙げていることや単行本が1億冊を超えていることも知っている。

コロナ禍での大ヒットとして明るい話題になったことや、配給会社の株価が上がったこと、元々アニメを放送したフジテレビはオンエアに躊躇していたことや、観ていない人に「知らないの?」と批判的文脈で語る「キメハラ(『鬼滅の刃』ハラスメント)」という言葉まで存在すると報じられたことも知っている。

あらゆるブームに「乗り遅れる」人生だった

さらに、コロナの第3波の原因はGO TOキャンペーンと『鬼滅』の劇場版大ヒットにある、とまで言われた(各所から「映画館満席!」「間隔空いてなかった!」の声が出た)。何しろ「人が動く」「人が集まる」の二大巨頭とされたのだ。そりゃあここまでメディアが『鬼滅』を大量に取り上げているから、この程度は関連情報を知ることとなる。作品の設定もいつの間にか知ってしまった。

さて、毎度ブームに乗り遅れる人生を送ってきたし、今回もまったくブームに乗らなかったが、結局それでいいんじゃないか、とも思っている。その原点となるのが、わが家の教育方針だった。なんと、私の母は「目が悪くなるからテレビは禁止!」という教育方針を私に4歳から課したのである!

というわけで、私は『Dr.スランプアラレちゃん』『オレたちひょうきん族』『川口浩探検隊』『夕やけニャンニャン』『スクール・ウォーズ』『スチュワーデス物語』など、小中学校で話題となっているものについていけない人生を長きにわたって送り続けた。

結果的に私は左目の視力が0.2、右目が0.1と完全に近視になるため、母親のあの教育は一体何だったんだオラ、と思う。ただし、本や漫画は読むことは許されていたため、『北斗の拳』や『キン肉マン』といった週刊少年ジャンプに掲載された作品はすべて読んでいたし、子供にとって主要な本はほぼ全部読んでいただろう。

同級生に「おっくれてる~」といわれる屈辱感…

小学4年生の時、担任の教師は「『1班』~『6班』という呼び方はつまらないので、各班、好きなキャラクター名をつけなさい」と命じた。わが班は「アラレちゃん班」となった。班の連絡ノートの表紙には自由に絵を描けることになっていた。

小学生というものは残酷なもので、こんな時に何をするかといえば、テレビを見ないことが知られている(さらに、当時はまだジャンプも読んでいなかったので原作も知らない)私に絵を描かせようとしていたのだ。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/junce

そんな私だから、表紙の空白を前に何も描くことができなかった。これが同級生にとっては優越感を覚えたようで、「えぇ~、お前、アラレちゃん知らないの~」「おっくれてるー!」「だっせ~」などと囃(はや)し立てる。適当に米菓子の「アラレ」の絵でも描くか、と思ったがそれは私の無知を班替えの次学期まで晒し続けることになるため避けたかった。

そこでその班の良心ともいえる女子生徒が「別にアラレちゃんそのものを描く必要ないじゃん」と言いながら、流れ星の絵を描いた。今、YouTubeで同作のオープニングを見ると確かに流れ星のような演出はあるので彼女はこれを描いたのだろう。

ジブリもドラゴンボールも半沢直樹も見ていません

この屈辱を基に私は家に帰って「お母さんがテレビを見せてくれないからオレは学校で恥ずかしい思いをしたじゃないかよ!」と言うことはなく、相変わらずブームに乗り遅れる人生を送り続けた。社会的には「ブームになった」とされるが、私が触れたことがない作品・エンターテイナーを「ごく一部」列挙する。

◆「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズ
◆ジブリ作品全て
◆ディズニーアニメほとんど(たまたま地上波テレビで見た『アラジン』以外全て)
◆ONE PIECE
◆ガールズ&パンツァー(ガルパン)
◆DRAGON BALL、1回目のピッコロを倒した後
◆ラブライブ!
◆マッドマックス 怒りのデス・ロード
◆米津玄師(パプリカ含む)
◆逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)
◆半沢直樹
◆オレたちひょうきん族

お前はじゃあなんのエンタメを知っているのだ? と言われるが、こうなる。

◆70~80年代の英米ロック
◆ファミコン・スーパーファミコン及びその復刻版
◆80~90年代のナムコ、カプコン、コナミのゲーム
◆80年代中盤の少年ジャンプ作品
◆光栄(現コーエーテクモホールディングス)の『三國志』『信長の野望』
◆MLB(米大リーグ)
◆NBA(米バスケットボールリーグ)
◆NPB(プロ野球)
◆FIFAワールドカップ
◆UEFAチャンピオンズリーグ
◆ドラゴンクエストI~VII、IV、XI(2D版)、ファイナルファンタジーVI
◆機動戦士ガンダムとその関連グッズ(作品、PS2のゲーム、フィギュア)

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