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「会社が悪い」と批判するだけで腐っていたら人生もったいない。まず、動いてみること──地域再生事業家・木下斉

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社会や地域、会社などに対して、課題意識を持っている人はたくさんいます。一方で、実際に課題を解決するために行動をしている人はどれほどいるのでしょうか。

高校1年生の頃から、補助金に頼らない地方事業開発を行うなど、主体的に行動を続けてきた地域再生事業家の木下斉(きのした・ひとし)さん。行政や企業の人々に対する課題意識などを日々発信している木下さんは、「批判はするけど行動しない人」に対してどう考えているのでしょうか。
※新型コロナウイルス感染拡大対策として、リモート取材を行いました

いかに失敗しないか、いかに傷つかないか、という考え方が浅ましい


ネットや、周囲の人の行動を観察していると、「批判はするけど、行動しない人」が多いなと感じることがあります。たとえば、社会や行政に対してとか。


あるあるですね。


こうした問題は多くの企業でも起こっていると思います。まわりの変化を待つのではなく、主体的に動けば解決できるかもしれないのに、自分ではなかなか動かない人も多い。これって、もったいないな、と。


僕もそう感じています。


木下さんは高校時代から地域の街づくりにかかわるなど、かなり主体的に動かれてきましたよね。

Twitternoteなどのメディアで歯に衣着せぬ発言を拝見していると、「口ばかりで動かない人たち」に対しても、思うことがたくさんあるのだろうな、と。


ありますね。やっぱり1つの問題意識としてあるのは、プロジェクトで成果が出たときに集まってくる人たちが、20年前からあまり変わらないことです。自分ではリスクをとらずに「いかに失敗しないか」ばかりを聞いてくるんです。


木下斉(きのした・ひとし)。地域再生事業家。1982年、東京都生まれ。高校在学中に早稲田商店会の活動に参画したのを発端に全国商店街共同出資会社・商店街ネットワーク取締役社長に就任。その後現在に至るまで事業開発だけでなく地方政策に関する提言も活発に続けている。著書に『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』(ダイヤモンド社)、『地方創生大全』(東洋経済新報社)などがある

というと?


たとえば、地域の取り組みで何らかの成功事例があったとき、彼らは昔から変わらず、「どうしたら成功するか」とか「お金がないからどういう支援を受けられるのか」とかばかり聞いてくるんです。

これ、そもそも設問が間違っています。どうやったら成功するかがわかって成功している人なんて、誰もいないんです。

そもそも、僕らがやってきた時間軸とはズレているし、条件も違う。過去の経験をもとにして「どうしたら確実に成功するか」なんて回答を求めている段階でもう終わりなんですよね。


確かに、前提条件は違いますよね。


さらに言えば、「成功だけでなく失敗したときの話をしてくれ」と言われることもあります。自分で挑戦もせずに、挑戦する他人に失敗も成功もさせて、その美味しいところだけを聞き出して都合よくやろうなんて考え方そのものが腐っています。

そもそも、あなたはわたしじゃないでしょ、と。

だけど、僕たちが成功したり、失敗したりした話を根掘り葉掘り聞けば、それがモデルケースとなって自分が成功できると思っている人が多い。

本来はその地域に必要なものが何かを自分たちで考え、手足を動かさなければならないんです。やってみてわかることは膨大にあるので、それから改善するほかないんです。

何のリスクも取ろうとせず、いかに失敗しないか、いかに傷つかないか、いかに一銭も損をしないか、と考えるのは正直、もっとも浅ましいなと思います。

近視眼的なことはどうでもいい。先々を考え自ら動くことでやるべきことが見えてくる


いかに失敗しないかばかりを考えたり、表面的なノウハウをすぐに聞いたりする人がいる一方で、木下さんはなぜそうならなかったんでしょうか?


竹内義晴(たけうち・よしはる)。1971年、新潟県妙高市生まれ・在住。ビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部 兼 チームワーク総研 所属。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながら、サイボウズで複業している。地方を拠点に複業を始めたことがきっかけで、最近は「地方の企業と都市部の人材を複業でつなぐ」活動をしている

うーん、高校1年のときに商店会の活動に参加したときに、まわりにそういう大人がいなかったからかもしれませんね。

集まってくる大人たちは自分たちで会社をやっていたり、大企業の経営者であったり、大学の先生だったりと多様でしたが、ひとまず自分たちで考えて「やってみよう」って始める人ばかりでしたから。

そうすると地域も変わり、何よりやっている人たちも楽しい。「失敗しないように」とか、「リスクを誰が負うか」なんて押し付け合いはしない。そういう姿をみて、「あーこういうやり方なんだ」と思ったからかもしれませんね。


みなさん、「やりたいことをやるだけ」みたいな。


そういう意味では、「やりたいことをどうやるか」という話なんですね。そうした大人と早いうちに出会い、ともに仕事ができるかどうか、が人生を分けるように思います。

目の前のことばかり話していたり、リスクだ失敗だを気にしたりするのは、そういう腐った上の世代と仕事をしつづけて「仕事ってそういうもんだ」と思い込んでいるからのように思いますね。

たとえば、「来週のイベント、集客できるかな」みたいなことに苦心していて、そもそも「そのイベントは必要なのか」という前提には目が向かない。目の前のことの話ばかりしていると、どうでもいいことで悩んでしまったり、ぶつかったりしてしまう。


手段が目的化してしまう、といった話ですよね。


早稲田商店会の会長は「失敗と書いて経験と読む」って常に言っていましたから。「失敗せずに成功なんて」ではない。「経験っていうのは失敗なんだよ」と。

その上で、社会がどうなるのか、地域を今後どう変えていくべきなのか、ということを考えて、自由闊達にあれこれと組織や立場を超えて行動する。それが楽しいし、やはり小さな失敗あっても、最終的には成功するのを高校時代に経験させてもらったのは本当に大きい。

地域にしろ、企業にしろ、本来は10年、20年のスパンで物事をとらえて、どう変わっていくかを話し合うべきだと思うんです。だけど、大抵はなんか目の前の問題にぎゃーぎゃーと騒いで、失敗したらどうする、責任はとれるのか、とやってしまう。それじゃあ何もできないですよね。


目先のことにとらわれて、視野を狭くしてはいけない、と。


そうですね。「これは何のためにやっているのか」と前提を疑うところからはじめ、おかしな現状に仮説を立てて、実証実験のように解決策をいくつも考えたりするのが、わたしのスタンスです。

まぁ、いい加減って言えばいい加減ですが、やはりやってみないと分からない。だから「こういうことをやったら、どうなるのかな」と思ったら、仲間を集めてまずはやってみる。誰かに提案するだけでは駄目なんですね、自分たちでやらないと。

やってみて気づくことってたくさんあるし、やらないと本当の意味でやるべきことってわからない。やってみるとものすごい情報が集まるんですよね。

実践というアウトプットは、次の取り組みへの仕入れでもある。情報が人を介して集まってくるのが、実践の面白いところだと思います。

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