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「むしろ女性から誘われた」 性行為による冤罪が増えるという懸念への根本的な疑問

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日本学術会議が「同意のない性行為は犯罪とすべきだ」という提言を出した。「同意のある性行為」をするためにはどうすればいいのか。弁護士の伊藤和子さんは「性行為の初めだけではなく、段階ごとに意向を確認しあうことが必要だ。そうした確認のできない相手との性行為には根本的な疑問がある」という――。

落ち込んでいる男
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Estradaanton

思わぬ刑事訴追は誘う側の意識改革で防止できる

内閣府の調査では、無理やり性交をされた経験のある人は、約20人に1人、そのうち女性は約13人に1人が無理やりに性交等された経験があると回答しています。そのうち警察に相談に行くのは約4%にすぎません。性犯罪が報道されるのは氷山の一角にすぎず、社会には広く無理やり性交をするという被害が広がっていることになります。

そうすると、「性行為で後から訴えられない」ためにどうしたらいいか心配しているあなたは、「無理やり性行為」をしていないだろうか、とわが身を振り返ってほしいと思います。

確信犯で「無理やり性行為」をしている方もいるかもしれませんが、自分は意図しないけれど相手からみれば意に反する性行為であった、ということもあるかもしれません。そうした可能性をひとつひとつ摘み取って、相手の意に反する性行為をしない、ということが最大の防衛策になるでしょう。

思わぬ刑事訴追を受けないためには、性行為を誘う側、したい側の根本的な意識改革と行動変容が求められます。

「事前確認」は欧米では常識になりつつある

まず、「いやよいやよもすきのうち」はもはや通用しないということを肝に銘じる必要があります。

事前に確認をとること、相手が嫌だと言ったらそこで止めることです。

このことはすでに欧米では常識になりつつあり、若い男の子は性行為の際に「いいの?」「ほんとうにいいの?」などと確認します。そして相手から「No」という言葉が一言でも出るとピクッと行為をやめます。フリーズしたようになるのです。繰り返し、教育を受けているからです。その時、もし女性の側が「本当はしたかったんだけど」と思っていれば、次は積極的に意思を表明するでしょう。

誘われる側にも主体性が生まれ、本当にしたいのかどうか、自分で判断するようになります。すでに欧米の多くの地域で、こうしたやり取りがごく自然に定着し、洗練された形で行われている模様です。何ら無粋でもなく、長期的に見てもポジティブな関係になるでしょう。

本当は性行為をしたくなさそうな相手を「不承不承応じる」ような状況に追い込んだり、「酔ってガードが緩くなっているのを狙って性行為する」「唐突に言い寄って性交を迫る」ということもすべきではありません。

相手が熟慮して、本当に積極的に性行為をしてもいいと自発的になるようにすべきです。

ベッドのシーツ
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Koldunova_Anna

「予期せぬ人に迫られる」こと自体が恐ろしい

唐突に迫られると相手がフリーズしてしまい、ノーと言えないことがしばしばです。男女の間には体力差や力の差がありますし、予期せぬ人が唐突に性行為を迫ってくるというのはそれだけで恐ろしいのです。

それが深夜や密室だったりすれば恐怖はさらに募り、上司など権力関係があれば万事休すとなります。

いきなり迫られたとき「殺されると思った」「恐怖のあまり体がすくんで動けなくなった」という感想は性被害の被害者からしばしば聞くことです。

ですので突然迫るということはやめるべきだし、仮に拒絶していないとしても、性行為に応じる意思が明確でない人とは性行為をすべきではありません。

また、女性から同意してもいないのに勝手に「同意のサインがあった」と誤解して行為に及ぶこともあってはなりません。以前NHKのアンケートで、「性行為の同意があったと思われても仕方のない女性の行為」として「一緒に食事」「一緒に酒を飲む」「一緒に車に乗る」「露出の高い服を着ている」「泥酔している」をかなり多くの男性があげていたことに女性たちから大ブーイングが起きました。女性にとって、これらの行為は性行為の同意を意味しません。こうした誤解は迷惑を通り越して社会的非難に相当するものです。

ですので、女性が酒食をともにしたり、一緒に車に乗ったとしても、あなたを誘っているとか、性行為OKのサインだと勝手に誤解して行動に出ることは現に慎むべきです。女性がセクシーな服でデートに来て夜道を一緒に歩いてくれたり、仮にキスに応じたとしても、それは性行為OKということを意味しません。単に会話とキスを楽しみたいだけなのかもしれません。

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