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「小沢氏2審無罪」それでも小沢氏批判を続けるマスメディア社説

 12日の小沢氏二審無罪判決を受けて13日の各紙社説は一斉にこれを取り上げています。

【朝日社説】小沢氏無罪―政治とカネ、いつまで
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

【読売社説】小沢氏再び無罪 検察審制度の見直しは早計だ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121112-OYT1T01270.htm

【毎日社説】小沢代表判決 「秘書任せ」ゆえの無罪
http://mainichi.jp/opinion/news/20121113k0000m070113000c.html

【産経社説】小沢氏2審も無罪 政治責任は変わらず重い
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121113/trl12111303160006-n1.htm

【日経社説】強制起訴見直し迫る小沢裁判
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO48355950T11C12A1EA1000/

 各紙社説を読み比べてみると主な論点は三つに整理できます。

 ひとつ目の論点は検察審制度そのものの不備・見直しについてです。

 日経社説は「政府は法改正に向けた作業に取りかかるべき」と結んでいます。

 強制起訴制度をめぐっては、様々な問題が指摘されている。検察による起訴より基準が低く、二重基準になっている。容疑を持たれた人からの聴取が義務付けられていない。法律家が検察審に助言をする体制が弱い。こういった課題があるのに、現段階で改正に向けた動きはみられない。

 検察が起訴しなかった場合にその判断をチェックし、健全な市民感覚を反映させる強制起訴制度の意義は大きい。より良い制度にするため、政府は法改正に向けた作業に取りかかるべきだ。

 二つ目の論点は検察審に虚偽の捜査報告書を提出した検察自身への批判です。

 読売社説は「検察官による供述の誘導や強制も判明した。検察は猛省しなければならない」と批判します。

 今回の裁判で、批判されるべきは、検察審に虚偽の捜査報告書を提出し、起訴議決に疑念を抱かせた検察である。検察官による供述の誘導や強制も判明した。検察は猛省しなければならない。

 検察は虚偽報告書を作成した当時の検察官らを不起訴とした。この処分への不服申し立てが市民団体から検察審に出されている。検察審は厳正に審査すべきだ。

 そして三つ目の論点ですが、実は日経を除く4紙が最も字数を割いているのが、無罪判決でも小沢氏の政治責任は免れていないという、小沢氏への批判です。

 朝日は「その自覚と反省を欠いたまま、新しい政党をつくって「第三極」の結集をうったえたとしても、広範な支持を得るのはむずかしい」と断じます。

 金や資産の流れをそのまま明らかにして、国民の不断の監視の下におく。それが法の精神ではないか。何億円もの動きについて、事実と異なる報告がされていた点に変わりはない。

 疑惑が指摘された当初、小沢氏は会見で身の潔白をあかす書類を示して追及をかわした。後にそれは、日付をさかのぼって急きょ作成したものであることがわかった。捜査や公判を理由に国会での説明から逃げ続け、一審の法廷では「関心は天下国家で、収支報告書は見たこともない」と述べた。

 こうした行いは国民と政治との距離を広げただけでなく、小沢氏への失望を呼び、活動の幅をせばめる原因にもなった。  その自覚と反省を欠いたまま、新しい政党をつくって「第三極」の結集をうったえたとしても、広範な支持を得るのはむずかしいだろう。

 読売は、そもそも公開の法廷で解明を求めた検察審の判断は「政治資金疑惑に対し、小沢氏が合理的な説明をしなかったため」と批判します。

 しかし、公開の法廷で解明を求めた検察審の判断には、もっともな面があった。政治資金疑惑に対し、小沢氏が合理的な説明をしなかったためだ。

 政治資金規正法は、自由で公正な政治活動を実現するため、政治資金の公開制度を定めている。政党助成法の施行で、政治資金に国民の税金が投入されてからは、資金の流れの透明性を確保する要請が高まっている。

 陸山会が土地取引で億円単位の巨額の金を動かしながら、収支報告書に事実と異なる記載をしていたのは、規正法の趣旨に反する行為だったと言える。

 毎日は「報告書の記載を偽ることは「形式犯」ではないし、国民への背信行為に他ならない」と以前から主張してきたとあらためて小沢氏を批判しています。

 小沢代表は公判で「政治資金収支報告書は一度も見たことがない」と述べた。報告書の作成を「秘書任せ」にしてきたとも繰り返した。

 無関心だったがゆえに無罪になったといえる。報告書の記載を偽ることは「形式犯」ではないし、国民への背信行為に他ならないと、私たちは指摘してきた。刑事責任とは別に、政治資金に対する小沢代表の姿勢に改めて疑問を感じる。

 高裁判決は、石川被告の4億円簿外処理について、計画的というよりむしろ「その場しのぎの処理」だとも指摘した。秘書を監督する立場の政治家としての責任も問われよう。

 小沢代表は、刑事裁判を理由に国会での説明を拒んできた。政治家として説明責任を果たさなかったことを国民は忘れない。政治状況は混とんとするが、国会が近い将来、抜け道だらけの規正法の見直しに本腰を入れるべきなのは言うまでもない。

 産経は「この判決が小沢氏の政治責任を免罪するものとはいえない」と言い切り、「約束は守られていない。政治家としての説明責任は国会で果たすべき」と迫っています。

 高裁判決は元秘書らの虚偽記載行為の多くについても故意性を認めなかったことなどから、1審判決よりも「灰色」が薄まった印象がある。それでも、この判決が小沢氏の政治責任を免罪するものとはいえない。

 小沢氏が1審公判で一貫して述べてきたことは、「全て秘書に任せていた」「記憶にない」の2つにすぎない。収支報告書については「見たこともない」と語り、規正法の趣旨について問われると、「正確に理解しているわけではありません」と述べた。

 1審判決は、小沢氏のこうした供述を「およそ信じられない」と指摘し、「規正法の精神に照らして芳しいことではない」と、政治家としての資質にも言及した。

 小沢氏は民主党時代、裁判への影響などを理由に証人喚問などを拒み、「公開の法廷で真実を述べる」と語ってきた。約束は守られていない。政治家としての説明責任は国会で果たすべきである。
 ・・・

 私は別に小沢氏支持者ではありません、これまでも当ブログでは、彼の蓄財手法は「脱法的」だと批判してきた経緯があります。

 しかし日本は法治国家です。

 そもそも二審でも無罪が確定した小沢氏です、私は最高裁上告は可能性がないと思っています、つまり小沢氏の無罪はこれで100%確定すると予想されます。

 そして本件で最も断罪されるべきは虚偽の捜査報告書を提出した検察です。

 国民の司法への信頼を貶めたあるまじき違法行為であり、検察は虚偽報告書を作成した当時の検察官らを不起訴としましたが、この「温情措置」こそが批判されなければなりません。

 しかし各紙社説は日経を除いて、「この判決が小沢氏の政治責任を免罪するものとはいえない」(産経)と、小沢氏批判を中心の論説になっています。

 これらメディアの論説はバランスに欠いたものであると言わざるを得ません。

 これまでの一連のマスメディアの小沢氏批判の流れから「挙げたこぶし」を降ろせなくなっている側面もあるのでしょう。

 また小沢氏が「政治責任」なるものを果たしていないと考えている国民も、私を含めて少なからずいることでしょう。

 ですが冷静に判断すれば、公の法の裁きの場で小沢氏は「無罪」を勝ち取ったのです。

 そしてその公の法の裁きの場で虚偽の捜査報告書を提出したのは検察側です。

 今回の小沢氏裁判を論ずるマスメディア社説は批判するターゲットが狂っているとしか言いようがありません。

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