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男子御三家の男性教員が実娘を女子中高に通わせてホクホク顔のワケ

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近年、中学受験では「共学校」が人気だ。だが、塾代表で講師の矢野耕平氏は「女子受験生が“共学校しばり”によって選択肢が狭まり、受験校選定に苦しむ家庭は少なくない。都内の私立中の約4割を占める女子校を選択肢とする方法もある。男性の目を気にせずのびのびと育つなど共学校にはないメリットもある」という——。

教室で笑顔の女子高校生

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Xavier Arnau

コロナ禍の中学入試「どの学校を受験するか決めにくいワケ」

中学受験生の保護者にとってわが子の入試まで残り約2カ月となった。大半の家庭は、例年、この時期に最終的な受験パターンを確定させる。

だが、自分自身もそうだが、同業者の話に耳を傾けても、今年度はいつもと様相が異なる。最終的な受験パターン選定が全体的に遅れているように感じられるのだ。

これは紛れもなくコロナの影響だろう。今年の私立中学校は学校説明会のオンライン開催が中心であり、また、夏休み明けくらいからライブの学校説明会を再開できたと思いきや、「密」を避けるため座席数が絞り込まれ、そのせいですぐに申込受付が完了する学校が目についた。中学受験生保護者にとって、わが子の受験校選定の「決め手」が見つかりづらい年になってしまっている。

これは受験生自身も同様である。昨年までは、私立中高の運動会や文化祭を直接見学することで、その学校への「憧れ」を強くしていくのだが、今年はいわゆる「外部」の見学が禁じられたところが多い。文化祭などはオンラインを駆使して外部公開した学校がいくつもあったが、どちらにせよ学校に足を運べない受験生が多かったのは間違いないだろう。

女子校だらけの東京で「共学しばり」をすると自分の首を絞める

今回は中学受験に挑む「女子受験生」にしぼり、受験校選定についてのヒントを探っていきたい。中学受験生の保護者が娘さんの受験校を検討する場合、次の2軸で学校の選定するケースが多い。

①女子校にするか、あるいは、共学校にするか。
②進学校にするか、あるいは、大学付属校にするか。

東京にはたくさんの私立中高があるが、この2軸を組み合わせると、意外なくらいにその選定範囲が狭まるものだ。だからこそ、この2つの尺度のこだわりが強すぎると、「併願校」を決定する際に適当な学校がなかなか見つからず、受験パターンが確定しないという事態に陥る場合がある。とくに「共学校しばり」の家庭にその傾向が顕著に出る。その結果、最悪の場合、わが子が数年間塾で勉強したことが無になってしまうケースも十分に考えられる。

なぜ「共学校しばり」だと受験プラン決定に難航するのか? 実は東京の私立中高は「女子校」だらけだからだ。

一般財団法人東京私立中学高等学校協会のオフィシャル情報サイトによると、東京都にある私立中学校182校のうち、女子校が71校(39.0%)、男子校が31校(17.0%)、共学校が80校(44.0%)だ。最も多いのは共学校だが、男女別に定員を設けている。そのため、各校の女子定員数は概して少なくなる。

結果、女子受験生が「共学校しばり」にすると、わが子に適した合格校をゲットするために受験校選定にあれこれ苦悩してしまうのだ。

東京にはなぜこんなにも女子校が存在しているのだろうか。各女子校の成り立ちに目を向けると、そこにいくつかの共通項を見いだすことができる。

ひとつは、主として明治期に海外から布教目的で来日した宣教師たちがこぞって女子校を設立したことが挙げられる。当時の政府が男子教育の充実を優先したその「隙」をついた形ともいえる。

2つ目は、明治期~大正期のいわゆる「女性解放運動」と連動していくつもの女子校が設立された点である。その中には、女性の自立を促すための職業訓練校や専門学校も含まれていて、それらを前身とした女子校がいまなお残っているのだ。

「男女同じ学び舎で過ごすほうが健全」だから共学校狙い、は正しいか

東京にはこんなにたくさんの女子校が溢れているのだが、「共学しばり」の家庭はなぜ女子校を避けるのだろうか。保護者からよく聞くのはこんな話だ。

「世の中は男女で構成されているのだから、多感な中高時代は男女同じ学び舎で過ごしたほうが『健全』ではないか」

『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文藝春秋)

『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文藝春秋)

一見、理路整然とした物言いに感じるが、この弁を丸ごと肯定すると「女子校=不健全」ということになる。果たしてそうなのだろうか。

わたしは5年前に『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文藝春秋)を上梓し、これを執筆する上でこれら3校の学校関係者や卒業生たちに取材を重ねた。その中で、女子学院中学校高等学校の前院長である田中弘志先生が「女子教育」の意義を端的にこんなふうに言い表していた。それを引用したい。

<彼女たちにとって人生の多感な時期に女性だけで学ぶ意味は、男性の目を意識しないで伸び伸びと飾らずにありのままの自分を出せるという点がまず挙げられます。たとえば、容姿に劣等感を持っている子。男性の前だとそれに引け目を感じている子であっても、女性の中だけだと自分が身に纏ったものをすべて剥ぎ取って『良いところ』も『悪いところ』もさらけ出せる。自分の持つ『光るもの』を周囲に評価してもらえる環境があるのです>
挙手する女子生徒たち

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/xavierarnau

このことばを聞いてなるほどと納得させられた。女子校出身者の特性のひとつに「大人になってからも付き合っているのは中高時代の友人ばかり」というケースが多いように感じているのだが、これは女子校生活で彼女たちは「性別」など意識せず、人間同士の遠慮のいらない関係性を構築できたからなのだろう。

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