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来年も株高は継続、利回り求める投資家マネーが流入=ニッセイAM社長


植竹知子、佐野日出之

[東京 1日 ロイター] - ニッセイ・アセットマネジメント(ニッセイAM)の大関洋社長は、2021年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の収束に時間がかかる中で、投資家の資金が利回りを求めて株式に集まる状況が続くとの見方を示した。その際は、企業のビジネスモデルの転換やESG(環境・社会・企業統治)に着目したアクティブ投資に勝機があると指摘した。

「ロイター・グローバル・インベストメント・アウトルック・サミット」のインタビュー(11月30日実施)で語った。概要は以下の通り。

──2021年の金融市場展望は。

「足元の変化としては、日本は菅政権、米国は民主党のバイデン政権と、政権交代がある。一方、マクロ経済的にはコロナ禍で金融・財政のグローバルなサポートが続くという前提は変わらない。コロナは想定していたほど短期では収束しないことが明らかになりつつあり、またワクチンができても普及するまでに時間がかかるため、当面は金融・財政政策の引き締めは難しい。となると、金利は低いままで運用難の中、利回りを求めて投資家の資金が株式に集まり、その結果、株価の好調さは続くと思う」

「株価はバリュエーション面では割高だとの指摘も当然ある。ただ、現在はテクノロジー大手5社のPERが42倍程度である一方、米国債利回り(長期金利)は0.6─0.9%で、株式の益利回りと国債利回りのスプレッドはプラス1%ほど。ドットコム・バブルの時はテクノロジー系のPERが80─90倍、国債利回りは5─7%だったので、イールドスプレッドはマイナス5%強あり、株式は債券との比較でも高かった。したがって、その修正が起きるのは必然だった」

「片や今回は、PERは割高だが、イールドスプレッドは株式投資を否定するほど高くはない。配当利回りを考えると、債券よりもインカムを稼げる。ポートフォリオ構築においては、利回り向上の観点から、株式の組み入れは外せない。今後ここからさらに株価が上がる可能性は否定できないし、想定すべきだと思う」

──セクター別の投資判断は。

「コロナ禍を受けて日本でも世界でも、事業の見直し、ビジネスモデルのトランスフォーメーションを意識する状況となっている。コロナが収束し、例え政府サポートが続いても、完全に元には戻らない業態がある」

「コロナ要因で元に戻れない業態としては、航空・陸運、飲食サービス業が挙げられる。また、気候変動への対応という要因では、エネルギーを多く使う産業はカーボンニュートラルへの対応コストが大きくなる可能性が高く、収益への影響が大きいと思う。そうした業態の株価が隆々と成長する絵が描けるかというと難しい」

「ここ数年はパッシブが効率的な運用だと言われてきたが、インデックスだとその『元に戻ることが難しい業態』が含まれてしまう。銘柄選別をしてアクティブで運用した方がパフォーマンスが良くなる。パッシブとアクティブのパフォーマンスに差が出て、パッシブ化の流れが止まり、向こう数年はアクティブの時代が来るのではないか。(パッシブ化した)年金基金などがアクティブにとなると相応の時間がかかると思うが、本当はすぐに変えた方が成果が得られる」

「今後伸びるのは、デジタル・トランスフォーメーション、またワークスタイルやライフスタイルのトランスフォーメンションに対応している会社だ。その実現には基幹システムも変える必要があり、システムインフラのトランスフォーメーションや、そこにポジショニングしているところは儲かる。また、バイデン政権、菅政権の誕生で、グリーン・トランスフォーメーションもある。それに適した銘柄、事業は伸びる。逆に、そうしたトランスフォーメーションが起きた時に困るところはどこか、よく見極めないといけない」

──ESGについて。

「例えばESGインデックスを見ても、プロバイダーによって中身が随分違っており、基準により様々という実態がある。当社のESGレーティングは、E(環境)やS(ソーシャル)の取り組みがその会社の事業キャッシュフローにどの程度ポジティブな影響を及ぼすかどうかで評価する。『良いことをやっていれば高評価』ではなく、良いことをやって、それが収益にも結びついていれば高く評価する。良いことをしていても会社のビジネスモデルに組み込まれていない、余裕の範囲内でCSR的に取り組んでいる会社は評価につながらない」

「当社のレーティングは、環境保護などを推進したい活動家から見れば物足りないかもしれないが、顧客の資金を預かる運用者としては受託者責任があり、パフォーマンスとのリンケージを抜きにESGを考えることはできないと思ってやっている」

「その結果として、当社がSについてレーティングした上・中・下位に3分割したうち、上位グループと下位グループのパフォーマンスは、年初来でみて9月末時点で20%くらいパフォーマンスに差がついた。これは3月の株式市場の下落局面でも、そこからの戻り局面でもよく効いていた。サステナビリティーを重視した経営の会社は、コロナ禍でもしっかり事業が回り収益を稼げていることの証左だろう」

(植竹知子、佐野日出之 編集:田中志保)

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