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若者支援に「ゲーム」をインストールしたのは、支援職ではないたったひとりの存在だった。

「ウチの子はずっとゲームばかりしている」

僕は、自分のゲーム(ファミコン)を持つことをしばらく禁止されていました。理由はよくわかりませんが、小学校高学年になったとき、なんとなく許された記憶があり、持ってよくなった理由は思い出せません。

ただ、20人、30人のお姉さん、お兄さんとともに暮しており、みんなゲームを持っていました。適当に不在部屋を探して、そこにあるゲームはやってよかった。そのため個々に持っているゲームソフト・ハードがやり放題になるので、とてつもないゲーム質量でした。

いま振り返ると、「自分のゲーム」はないけれど、「誰かのゲーム」に入れさせてもらうことができました。結果として不在なら自分でやりたいものをやるけれど、たいてい存在しているので、一緒にやれるゲームをやってもらいました。対戦系も、一緒に旅する系も、二人以上でやります。そこにはコミュニケーションが発生するし、(僕は小さかったので)教えてもらうこと、反対から見れば教えることや、もしかしたらケア(子守り?)も入っていたかもしれません。

友だちの家に行ってゲームすることももちろんありました。サッカーの前に集まってやってから部活に行くとか、やっぱりみんなでやってました。自分の部屋にゲームを持ってから、本格的にまとまった時間を持ってRPGとかやり始めたかもしれません。

どうでもいいですけど、本当にたくさんゲームやりましたけど、一番時間を費やしたのはストリートファイターⅡじゃないかと思います。キングオブキングスやボコスカウォーズが好きでした。桃太郎電鉄もとてつもない時間、みんなでやりました。

いま、工藤家にはWiiがあって、子どもたちがときどきスマブラやってます。もうSwitchとか買ってもいいとは伝えているのですが、ちょうどほしそうなときに手に入らず、いまもほしがるそぶりがありません。子どもたちは自宅で自由に過ごす時間が限られており、外で遊ぶことも多い。消灯も20:00なので、平日は保育園や小学校や習い事から帰宅すると、ご飯、お風呂、ちょっとした時間ですぐに布団に行きます。

双子(5)は、ゲームやりたがりますが長男(9)と次男(7)がいないとセットアップできません。ときどき二人でやらせると無限にやりたがります。ゲームをやりたいのか、双子同士で何かよくわからない会話しながら遊びたいだけなのかよくわかりません。不思議なのは、長男と次男もゲームは好きなのですが、ひとりになるとやらないか、やってもすぐやめてしまいます。特に次男はひとりだと「つまんない」と言ってゲームしません。

彼らにとって、限られた時間とソフトですけど、ゲームはコミュニケーションツールであって、自分でハマるものという認識は(まだ)なさそうです。

若者や子どもを支援するNPOなどでは、昔からゲームが置いてあるところ、多いと思います。育て上げネットに限って言えば、基本的な説明として、誰かと一緒にやるものを中心に当初は揃えていて、やっぱり、みんなでやりました。僕が好きというのもあってウイニングイレブンをよくやりました。若かったときは職員同士で集まって夜中までご飯食べながら遊んでいたりもしました。いまは定時でみんな帰りますけどね。やるとしても忘年会みたいなところで「たまにはやろっか」くらい。今年はやり(れ)ません。

だいたい、ゲームは若者や子どもたちのために置いてあっても、僕なんかは自分が好きでやりたいというのが大きかったため、支援プログラムが終わったら、放課後みたいな時間として「みんなでやろーぜ!」というところでした。

しかし、時代は変わりました。自分たちから変えていったといってもよいと思います。

もともと準備はしていたのですが、そこにコロナ禍の影響が大きくなりました。「ゲーム」は、余暇時間のものではなく、専門的な言葉で「アウトリーチ」、若者や子どもたちと出会うためのツールとなり、チームで共同することや、新しいことにチャレンジするためのツールとなりました。

ジョブトレのオフィスには、eSportsに耐えられる機材が入りました。インターネット回線の工事も行いました。そして、若者や子どもたちとの出会いや接点のため、そして新しいことにチャレンジしてみる、みんなでやるという支援コンテンツになりつつあります(まだ途上)。

育て上げネットではYouTubeチャンネルを持っているのですが、ゲームをしながら動画配信もしています。自宅から出づらい若者も、対面だと緊張してしまう子どもたちも、ときに参加して、ときにチャットで会話。必要なら別でオンライン相談に切り替えたりと、必ずしもその「場」にいなくても、一緒に居場所として遊べることも、時代の変化だと思います。

先日は、大阪や沖縄の若者、子ども支援団体でスマブラのオンライン大会を開催しました。施設から入るひともいれば、自宅から入るひともいました。ただゲームをやっていたというには、ここかしこで発生するコミュニケーション、自分だけではなく関係性のある対戦相手がおり、チャットなどでの会話もありました。

自分だけでゲームに没頭する楽しさとはまた別に、ひととつながる、つながり続けるためのツールとして、ゲームというのは支援団体でも存在感を増していくはずです。このとき、ウチの子どもたちが職場見学的に観に来ました。彼らは、ただゲームをするのではなく、後ろで地域を越えたいひとたちが、ひとつの空間に集まるため、裏側で仕事をしているひとがいるんだ、ということを理解したようです。この仕事やりたいとまで言ってました。

会場は参加者とスタッフの数をしぼりながら、自宅から入れるひとには自宅から参加してもらいました。モニターで参加しながらも、観客はプロジェクターで、解説者の音を流しながら、プラ板越しに、チャットでコミュニケーションが発生しました。ここかしこで。

沖縄でも同じような環境だったようですが、めちゃくちゃ強いひとがいて、どうしたらそのひと(キャラ)を倒せるのか、なんて議論も生まれてました。課題解決のため、チームで話し合って、というのはゲームを楽しんでいるのと同時に、仕事をしていても同じです。そこには目的と戦略、チームワーク、本当に同じです。

さて、こういう活動を始めてから何が起こったかというと、参加したい若者や子どもたちが増えました。全国の支援団体から一緒にやりたいという声がたくさん出てきました。支援にゲーム?という感覚も、近くでそれを見ているなかで「これは使えるかも」となってきました。ゲームをやる機会がなかった支援者も、リアルにゲームがどのような効果があり、当然リスクもあり得るのかがわかってきたようです。

長くなりましたが、ここまで来るにはひとりの職員の存在があります。彼は「支援者」ではありません。専門的な勉強をしてきたわけでもありません。ただ、彼にはゲームと技術があり、ゲームを支援と掛け算した際に生み出されるものを想像する力と、実際に創造しながら、巻き込んでいく力がありました。

なぜ、ゲームなのか。そもそもゲームとは何なのか。支援におけるゲームの再定義とともに、お子さんがゲームばかりしているというご家族に、彼の話を届けます。ゲームばかりしているかもしれませんが、それをネガティブに捉えるだけでいいのでしょうか。再定義してポジティブな側面を考えられる知識が獲得されたとき、目の前のお子さんの光景が全然別の可能性に見えるかもしれません。

2020年12月4日(金)20:00- 家族支援「結(ゆい)」の動画配信、みなさんに視聴していただきたいと思います。

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