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「日本企業が中国から撤退するはずがない」と思いたい中国

 今日は以前書いた(日本にダメージを与えることを期待する一方で、日本企業の撤退を恐れる中国)の続きのようなもので、紹介する記事は『環球網』の「日本大企业认定中国市场至关重要 声称不会撤资」となります。

1 記事の紹介

 最初にいつものとおり記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 日本政府が釣魚島に対して「国有化」を宣言して以来、中日関係は急に緊張した。そのため中国に投資している日本企業は中国の民衆の日本製品に対する心理的抵抗から、中国市場に対して懐疑的になっている。

 しかし、アメリカの11月11日の『ビジネス・ウィーク』によると、日本の大企業は中国市場の重要性を堅持し、投資の重点を他国に移転することはできないとしている。

 報道によると、日本の自動車メーカーにとって中国を離れるという選択肢はなく、他国にラインを移転したくもないそうだ。その上、日本の自動車メーカーは中国で生産した部品を他国に輸出する計画も検討しているとのことだ。

 東洋ゴム(トーヨータイヤ)の中倉健二社長は「中国は依然として重要な市場だ。我々はこの市場から撤退することはできない。しかし、マレーシアなど他国への投資を増大させていく。」と語っている。

 アメリカの自動車アナリストは「中国市場が重要すぎるため、日本の自動車メーカーの選択肢はあまりない。自動車メーカーは未だかつて中国を離れると言ったことがない。その上、もしそのまま残るなら、部品メーカーもそのまま残ることになるだろう。」と述べている。

 報道によると、数日前、アメリカの元官僚チームが作成した秘密報告をヒラリー国務長官に提出したとある。内容は中日の領土紛争が軍事衝突に変化する可能性があるというものだった。

 これに対して、日本関西学院大学の伊藤教授は、もし両国が軍事衝突するならば、日本の部品メーカーと中国の経済はすべて損害を受けるとしている。彼は中国が日本企業を追い払うことはできないと思っている。

 「もし中国がこれらの産業を他国に追い出そうとするなら、これで長期にわたり中国の発展の首筋を抑えることとなる。何故から、中国は労働集約型工業の高付加価値の工業への転換期を迎えているからである。」と述べている。

2 個人的感想

 念のため元記事を探したのですが、9月20日付けの”Toyota Supplier Toyo Tire Reviews China as Protests Grow”という記事しかみつけることができませんでした。

 日付は違っているのですが、東洋ゴムの中倉社長などの発言は殆ど同じなので、この記事を参考にしたものと思われます。

 『環球網』の記事を読んでいると前後がうまくつながっていないことに気がつくと思います。「投資の重点を他国に移転することはできない」としていながら、例として挙がっている中倉社長の発言では「マレーシアへの投資増加」云々の発言となっており、おかしな文となっています。

 元記事を見ると、中倉社長は確かに、中国市場は重要だと言っておりますが、マレーシアなどへの投資も考えているわけで、「中国への投資計画をの再考について言及した最初の日本の会社」となっており、これなら綺麗に筋が通ります。

 記事にもあるとおり、日本の自動車メーカーが撤退しなければ、当然その子会社の部品メーカーも撤退することはないのは当たり前の話ですが、撤退しない保証はどこにもないわけで、記事では日本企業が「撤退」に言及していないことを根拠としておりますが、中国で「撤退」などと言った日には、どんな嫌がらせをされるかわからないので、言うはずもなく、何の根拠にもならないと考えます。

 実際、今日紹介した記事も『環球網』にしては、今一歯切れが悪く、特に最後のところは日本企業に出て行かれると困るというニュアンスにもとれる内容となっております。(中国の新聞で引用が出てきた場合は自分達で言いたくないことを他国人の口、または他国の報道を借りていっている場合が多々あります)。

 中国では日本に対して「経済制裁」を行えば、日本は屈するという論調が存在します(中国が日本に行える経済制裁?尖閣問題について中国人が考えた対処法)し、その延長で、今回の日貨排斥などで日本側は大いに困っているという論調が存在します。

 しかし、まともに考えれば、中国への最大の投資国は日本なわけで、それがなくなった場合どれだけ大きな影響を中国が受けるのか普通の人であればわからないはずはありません(中国紙が日本資本の中国脱出を懸念する記事を掲載)。

 今回の記事もそうしたものの延長で半分意地をはって「日本企業が撤退するはずがない」と強がってみたものの、やはりどう考えても日本企業の中国撤退は「まずい」という結論にしか達しなかったということだったのではないでしょうか。

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