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小沢民主党元代表の無罪判決

11月12日は朝一便で熊本から上京した。羽田空港に着いて法務省に入ったらまもなく小沢民主党元代表の控訴審無罪判決というニュースが届いた。無罪という結論は予想していたことであったので、この点はまさに想定内だが、おそらく国会内では「国民の生活が第一」党を中心にして検察批判が噴出するだろうなと思う。

早速12日午後5時30分からは「真の民主主義を確立する議員と市民の会」主催による「小沢裁判報告会ー真の民主主義確立への大いなる一歩」という議題での報告会もあるようだ。おそらく法務省や検察への批判が渦巻くのかと想定される。

さて、検察審査会の権限が強化された改正検察審査会法(09年5月施行)に基づき強制起訴されたのは、これまで6事件8人だという。判決は今回で3例目だが、いずれも無罪だ。強制起訴の対象事件は、もともと検察が2度にわたって不起訴とした事件であるから、有罪率が低くなってもいわば当然であろう。

この強制起訴制度は、司法制度改革の議論の中で国民の司法参加の一環として、裁判員制度と同時に始まった。検察官が独占している起訴や、裁判官のみで行われてきた刑事裁判に一般の市民が関わることで、司法判断に市民感覚を反映させようということであった。

検察審査会で2回起訴すべきだとの判断が出されると強制起訴になるわけだが、このように無罪判決が続くと、この制度はこのままでよいかどうか、当然議論になろう。この制度は法務省あるいは最高検察庁にとっては、どっちにころんでも苦しいところがある。つまり、強制起訴になって仮に有罪判決が出れば、2度にわたって不起訴にした検察の処分は一体どうなっているんだとの批判はあるし、仮に無罪になれば、無罪になるような人を長年にわたって被告人の地位に置いていることへの批判がつきまとう。つまりどっちにしても苦しい。

制度論の見直しについて言えば、強制起訴で無罪が続けば、起訴されるべきでなかった人が長期間、不安定な被告人の立場に置かれるのは酷いという制度論は当然出てくる。しかし他方、無罪が数件続いただけで、即見直し議論を始めるというのは時期尚早だという指摘は十分にありうる。

もう少し事件の集積を見守ってから議論しても良いだろうというのは冷静な見方でもある。

この点はその通りかと思うが、検察審査会の強制起訴については、指定弁護士が検察官役をするというような簡単な規定があるだけで詳しい規定はないことも事実だ。全面的な見直しとなるのはもうしばらく時間を置くとしても、制度の在り方について検討を始めても良いのではないかと感じている。

例えば審査補助員たる弁護士は1人と規定されているが、事件によっては1人に限定せずに2人を採用しても良いのではないか。こうした若干の手直しからでもまずは検討の余地があるかと思っている。

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