記事

食料も農家も多すぎるのが問題だった

橘玲氏のなんだ、食糧危機”はウソだったのかというの記事は非常に興味深い内容でした。川島博之氏の『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』の書評記事ですが、主張をまとめるとだいたい下記のような内容になるかと思います。

1)人口爆発にもかかわらず食料の価格は下がっている。

2)食糧の増産が可能になったからこそ人口が増加したのだ。

3)世界じゅうで、食料は余っている。そしてこれが、先進国を中心に深刻な農業問題を引き起こした。

4)農業問題というのは、穀類などの供給が過剰になり、売り先がなくなって価格が低下し、農家の収入が下がって生活が成り立たなくなることをいうからだ。

5)日本の農業の問題は「担い手不足」ではなく、担い手が“多すぎる”ことだ。農業の競争力をグローバルスタンダードに引き上げるためには、農家の戸数を少なくとも現在の10分の1程度まで減らさなければならない。

食料も農家も多すぎるから問題なのだという視点は非常に斬新かつ説得力があり、私もぜひ今度アマゾンで購入してみたい本です。ところで、この本での主張に足して、農業関係の方が2人、下記のようにコメントしておられました。コメント者の主張の中に、日本の農業関係者が感じる袋小路な絶望感を感じる事ができます。下記に主張の要素を箇条書きにしてみました。

1)個別の(兼業と思われる)農家単位で作する上で人が足りない。

2)農家の大半は60歳を超えた兼業農家。

3)地形がいびつな形で、地形にあってない農作物を作っているので生産高をあげられない。

4)海外に追いつくには平均的な田の広さを10倍以上にしなければならず、特定の地域でいか作れない。

5)超高級ブランドとして海外に売るもは原発(放射能汚染)問題で難しい。

6)現状では仕方がない。

米を主体とした日本の農業は江戸時代に飛躍的に発展し、各藩は米の生産高を上げる為に山を開墾し、多数の、狭い土地や山の斜面を農作地へ作り変えてきました。明治以降になり、近代化と都市化が進むにつれて、平野部の大規模農業に適した土地は別の目的にどんどん転換され、結局、農地として残っている多くは他の用途にもあまり適さない(地形がいびつで狭く段差がある)土地ばかりになってしまったという事ではないでしょうか。

大規模農業に不適切な耕作地で、政府の補助金や関税障壁無しで海外の大規模農業と競争するのは無理ですから、そのような農産物と競合する事しかできない農家は、最終的に農業を廃業することになるのでしょう。多数の兼業農家が高齢化で跡継ぎも少ないとなれば、農家の補助金を大幅に削減して、零細な兼業農家を終わらせる政策が可能になる時期が来るかもしれません。

ところで日本人には米や野菜などで高品質(で高価)なニッチ市場があり、これは海外の大規模農業と直接には競合しません。大資本にとっては市場が小さすぎるからです。いびつで小さい耕作地の零細農家でも、高品質なニッチ市場に適合する事で、補助金無しで自立した農業を行う事は可能ではないでしょうか。

トピックス

ランキング

  1. 1

    内側から見た西野サロンの炎上

    森山たつを / もりぞお

  2. 2

    「支持できない」枝野代表に直撃

    たかまつなな

  3. 3

    生活保護を含め制度改善が必要

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  4. 4

    裕福な高齢者層 TVは消費を煽れ

    毒蝮三太夫

  5. 5

    マルチで家庭崩壊…勧誘法に愕然

    fujipon

  6. 6

    銀座クラブ報道に蓮舫氏「迷惑」

    立憲民主党

  7. 7

    五輪中止で保険会社30億ドル損失

    ロイター

  8. 8

    通勤電車に触れぬマスコミの事情

    川北英隆

  9. 9

    菅首相を推した田原氏が語る失望

    NEWSポストセブン

  10. 10

    そこまでやる? トヨタ式在宅勤務

    PRESIDENT Online

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。