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新規感染者数だけの情報、効果の薄い感染対策の紹介… “第3波到来”でメディアは何に注意して報道すべきか

 菅総理は27日、GoToトラベルについて「到着分の一時停止を決定している札幌市、大阪市について、出発分についても利用を控えるよう直ちに呼びかけることとする」とさらなる見直しを発表した。

 冬を前に感染拡大が懸念される中、感染症対策分科会の尾身会長は「一般的には人々の移動が感染拡大に影響すると考えられる」、菅総理は「GoToトラベルが感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスが現在のところ存在しない」、小池都知事は「できるだけ不要不急の外出を控えていただきたい」と、国や自治体、専門家が異なった発信をし、何が正しいのかわからなくなることも。

【映像】“第3波到来”で報道が注意すべきは

 そんな中、東京大学大学院特任研究員の坂元晴香氏がTwitterで指摘したのは、メディアの伝え方だ。「報道関係の方にはぜひ正しい感染予防を画面越しに多くの人に伝えるという視点で報道してもらえればと思います」。日々更新される新規感染者などのデータをそのまま報じるだけでいいのか。政府が提案する感染対策を正しく実践するため、“第3波到来”でメディアは何に注意し報道すべきなのか。

■「『新規感染者数は過去最多』だけだとあまり意味はない」、注目すべき数字は

 東京都の新規感染者数のグラフを見ると、11月に入ってから7~8月の山を超える感染者が出ており、“第3波”に突入しているとも取れる。現状について、27日の『ABEMA Prime』に出演した坂元氏は「3月や4月の頃は、日本もいわゆる封じ込め作戦といって国内からウイルスをゼロにすることを目指していた時期があると思うが、結果的にそこに行きつく前に経済活動が再開して、ある一定程度の感染者数は許容しようという方向で進んできていると思う。“withコロナ”というのは正にこういうことで、増えてきたら少し活動の制限をして、抑えてきたらまた経済活動を再開する。そうするとまたどこかのタイミングで患者数は増えてくるので、今回のようにまた自粛してというのをしばらく繰り返すということだと思う」と話す。

 都のモニタリング会議では、国立国際医療研究センターの大曲氏から「通常の医療が圧迫される深刻な状況は目前にきている」との認識が示された。この点については「医療崩壊に明確な定義はない。超過死亡数(※)といって、コロナ以外で亡くなる人も欧米では増えているが、感染症研究所の発表によると、そういう国に比べて日本は比較的増えていないという評価だ。欧米のように何千人も亡くなる状況を医療崩壊と言うのであれば、日本はまだそういう状況にはなっていないと思う。ただ一方で、普段だったら助けられる命を助けられなくなっているのではないかという意味での医療崩壊は近いと思う」との見方を示した。

(※)超過死亡数…実際の死亡数と例年の死亡数から予測した値を比較し、どれだけ増えていたかを計算した値。感染症が社会に及ぼす影響を見るひとつの指標

 そうした中、政治や行政、メディアのメッセージの発し方はどうみているのか。「これはリスクコミュニケーションと言われる、それ自体一つの大きな分野だ。感染症や災害などの危機が起きた時にどうやって正しくメッセージを伝えて、それを受け取ってもらって理解してもらえるかというのは非常に難しいところだと思う。(コロナが)1年近く続き、やはりだんだん飽きてしまう、緊張感がなくなってしまうのもある程度仕方がないのではないか。その中で、どう対策をとっていくかを考えないといけない」。

 新規感染者数を報じる番組は多いが、様々な数字やデータがある中で今どのように伝えるべきなのか。坂元氏は「新規の感染者数や重症者数、死者数など一つだけでは何とも言えないので、基本的に複数の指標を見比べること。あと『今日は○○人だった』というだけのものにあまり意味はなくて、ここ数日単位でどれだけのスピードで増えてきているか、倍になるスピードがどれぐらいになっているかなど、トレンドの把握の方が重要になってくる。『新規感染者数は過去最多』だけだとあまり意味はないと思う」と指摘。

 その上で、注目すべき数字について「地域によって変わってくるが、東京23区や大阪、札幌などでは人工呼吸器が繋がっている重症者の数、そして真の意味での病床数だ。ベッドがあっても実際100%まで診られないという話があるが、やはり診られる余力が本当にどれだけ残っているかは一番見た方がいいと思う」とした。

■効果の薄い感染対策を目にすることの影響は

 また坂元氏は、「フェイスシールド」や「消毒ミスト」など効果の薄い感染対策の映像にも疑問を呈する。

 「飛沫を飛ばさないという観点ではマスクが一番推奨されているが、マウスシールドやフェイスシールドを使っていたりする。これらには飛沫(の拡散防止)の効果は基本的にほとんどないと言われている。医療従事者が医療行為をする時、マスクの上からさらにフェイスシールドをつけて特定の医療行為をすることはあるが、それは飛沫を飛ばさないためにやっているわけではない。あとはつけっぱなしの手袋。最近少しは見なくなったが、カフェなどでずっと手袋をつけていたりする。さらには空間除菌系。空間噴霧をして効果があると謳っているものは、効果はないと思う」

 マスクやシールド類の効果を比較した時、豊橋技術大学による実験値では、マスクをしていない状態での吐き出しと吸い込みの飛沫量を100%とした場合、不織布マスク装着で吐き出し飛沫量が20%、吸い込み飛沫量が30%に抑えられるのに対し、マウスシールドは吐き出し飛沫量が90%、吸い込み飛沫量は小さな飛沫には効果がないという。

 それを踏まえ坂元氏は「基本的には不織布のマスクがいいというのはその通りだと思う。ただ、確かにずっとつけていると息がしづらいとか肌が荒れるとかいろいろ聞くので、ウレタンが人気なのだろう。フェイスシールドが飛沫予防に意味はないということはもう少しわかるといいかなと思う」と指摘した。

 政府は飲食時だけマスクを外す“マスク会食”を推奨しているが、効果はあるのか。「あれは本当に苦肉の策だ。本当は同居家族以外との飲食をやめてほしいというのが本音なのだと思う。ただ忘年会のシーズンであることや一定数の方はそれなりの人数での飲み会や会食を継続している中で、どうしても会食や飲み会をしたいのであればマスクをつけてくださいというところだと思う」とした上で、「食べる時だけ外して、またすぐマスクを着けて会話をするというのを、例えば2、3時間続けられるのであれば多少意味はあると思う。ただお酒を飲んだ状況でどれだけしっかりできるかというのは、実現可能性というところでは怪しいという気がする」との見方を示した。
(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

映像:「責めるのではなく、修正を」星野リゾート社長がGoTo改善案

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