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新「プロセス」が破壊しているプロセス

今回の法曹養成をめぐる「改革」では、「プロセス」という言葉が度々登場し、その重要性が強調されました。つまり、司法試験という「点」による選抜ではなく、法科大学院を中心として、法学教育、司法試験、司法修習を連携させた「プロセス」を新たな法曹養成の形として、提示したものでした。

これを現状から振り返れば、それでも選抜という意味では、新司法試験という「点」がしっかり残っているという現実、つまりは「プロセス」において、その通過が課題となり、逆にそれが成果となること、さらには、法科大学院自体が通過しなければならない「点」になっていることの問題が存在しています。

ただ、そもそも改めてこの「プロセス」という言葉を聞くと、これとは別に妙な気持ちにもなります。なぜなら、法曹、とりわけ弁護士という実務家の養成に関していえば、旧司法試験体制にも非常に重要なプロセスが存在し、機能していたと思えるからです。いうまでもなく、司法修習とその後の法律事務所でのOJTです。

もともと司法試験という「選抜」自体で、実務家として「質」が確保されるなどという人は、弁護士のなかにもまずいません。司法修習もあくまで導入であり、その後の法律事務所での修養期間を通して、実務家として「質」が確保される、つまりはそのプロセスが「資格」としての質の保証という意味では、もっとも重要な意味を持ち、別の言い方をすれば、「資格」というものに、実務上の能力を伴わせる役割を持っていたということです。そこには、もちろん一人前ではない新人が、依頼者・市民に実害を与えないための、抑制や調整、あるいはハードルの設定も、先輩が指導者の責任として担うシステムが一応存在していた、といっていいと思います(「『採用しない』責任、『採用する』責任」)。

ところが、問題は、この「改革」が目指した新たな「プロセス」の導入は、弁護士激増政策と一体となって、結果として、この旧来存在したプロセスを実質的に破壊している、ということです。

先日、私も報告者として参加した日本民主法律家協会の司法制度研究集会で、「司法修習の現状と課題」というテーマで、白浜徹朗弁護士からは、以下のような「改革」の影響が伝えられました。

従来2年間だった司法修習は合格者増に伴い、1999年から1年6ヵ月となり(53期)、2006年からの新修習で1年、前記修習廃止(新60期~)。導入修習なくいきなり実務修習へ。「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律によれば、法科大学院には将来の法曹としての必要な学識及びその応用能力を習得させる義務がある。しかし、司法修習生からのアンケートや実務修習担当弁護士の感想によれば、要件事実論を除けば、法科大学院の教育で旧来の前期修習に代わるような教育はできていない」。

さらに、修習生は就職活動に追われ修習のための学習時間が確保しにくく就職問題が修習に大きな影響を与え、新任弁護士の経済環境激変のなかで強行された貸与制によって、修習辞退者が出現し増加傾向になり、また修習担当弁護士の確保も困難となり、修習地単位のクラス編成、教官出張講義、支部修習でも、弁護士会側の負担という面で現実的な問題が発生。結論として、「実務を無視した過剰な修習生を現場に送り込んでいることや貸与制、就職難が影響して、負のスパイラルを構成しつつあり、司法修習は機能不全に陥りつつある。法科大学院制度の抜本的見直しと修習生の数の限定が急務ではないか」。

「改革」の発想のなかには、従来司法修習から担ってきた法曹養成の役割を、法科大学院という存在が一定限度担うということが含まれていました。今、それが現実化されていないことに対し、法学研究者のなかにも、この理念、もしくは理想は間違っていないという人もいれば、そもそもこれは無理ではないか、という人がいます。後者の立場の研究者からすれば、この「プロセス」導入の結果は、前記したことにとどまらず、法学部や法学研究機関としての大学のこれまでのあり方まで破壊しているという見方も加わっています。

新旧という話になると、必ず旧体制でも「質」確保において問題があったという話が出ます。しかし、新「プロセス」がそれを良化させているという話はない。かつてのプロセス自体に改善の余地があったとしても、むしろ、破壊する以上、少なくともそれに代わる機能を発揮しているというのでなければ、「プロセス」の効用をどんなに叫んでも、それは悪化でしかありません。

それこそこの新制度によって何千人もの新法曹が世に輩出され続けているなか、激増政策と新「プロセス」が、司法修習とその後の弁護士修養期間という、かつて機能していたプロセスを変質させ、かつ代替するものを生み出していない現実は、まず、放置できない「改革」の実害としてとらえるべきだと思います。

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