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「GO TO」は奏功しているのに・・ 「マスクを外して飛沫を浴びましたよね?」

 "リスクの伝道師"SFSSの山崎です。毎回、本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方を議論しておりますが、今月は新型コロナ感染症(COVID-19)による世界の感染者数が6千万人、死者数が140万人を超え、国内でも感染拡大が都市部で起こってまいりましたので、「GO TOキャンペーン」の是非について、再度議論したいと思います。なお、世界中でCOVID-19により亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、治療中の方々に心よりお見舞い申し上げます。

 まずは、「GO TOトラベル」に関連した以下のニュースをご参照いただきたい:

 ◎GoToトラベル利用での感染報告は202人に
  利用者の感染が確認された宿泊施設は38都道府県で130施設
  ANNニュース/ABEMA TIMES 11/27(金)

  https://news.yahoo.co.jp/articles/a8b803a2a080937f2ca5bfc96d99859586
  188768

 皆さんは、このニュースを読んで、どう感じただろうか?

 筆者の感想は、「これまで全国で多くの国民が「GO TOトラベル」を利用したはずだが、たった202人しか感染者が報告されていないのか・・」といったところだ。「いやいや、感染してしまったPCR陽性者が隠しているだけで、もっと旅行によって感染した方がいるはずだ」との見解を述べている政治家(?)もいるようだが、もし旅行が原因でクラスター感染が起こっていれば、それは隠せないだろうと推測するところだ。

 筆者は神奈川県在住だが、先日やはり「GO TOトラベル」を利用して、同じ県内の箱根を訪れた。宿泊したホテルにて夕食・朝食もとったが、感染予防対策がバッチリできており、まったく不安はなかった。観光業の方々も附属のレストランも、新型コロナ対策ができている施設では、感染リスクは無視できるほど低く抑えられており、これらの観光業者さんたちの経済を制限する必要性は皆無と感じた。

 箱根でクラスターは出ているのか?ほかの人気観光地でもクラスターは出ていないように見えるが、どうなのだろうか?

 団体旅行の観光バスでクラスターが発生したとのニュースがあり、やはり「GO TOトラベル」は危ないじゃないかとの話もあったが、皆さんでマスクもせず楽しくカラオケをしていたとのこと・・ 「それは「トラベル」のせいじゃない・・マスクを外して飛沫を浴びましたよね?」と言いたい。すなわち、感染拡大の原因は、ほとんど感染リスク低減策ができていない方々にあるのは明白であり、「移動」自体に関しては何の問題もないのだ。

 各地方自治体の首長さんたちの毎日の感染報告をきいていても、感染源として疑われるのは、ほとんどが会食か医療/介護施設のようだ。東京都の毎日の感染状況報告では「感染経路不明」が多いようだが、それはPCR陽性者が「思い当たる節はあるものの、黙秘権を使いたい」と回答されているのを、都が黙認しているのではないだろうか。感染者を差別しないことも重要だが、しっかり区別して感染源を特定するのはもっと重要なので、韓国のようにPCR陽性者の位置情報を過去にさかのぼって、正確に把握すべきと考える(個人情報と紐づける必要はない)。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、いまだよい治療薬やワクチンが開発されていないため、その健康リスクはかなり大きいと言わざるを得ない。季節性インフルエンザでも沢山の死者が出るのだから、そこまで恐れる必要はないというご意見もあるが、感染者の死亡率が約2%(高齢者では10%を超える?)であることを考えても、最善をつくして回避すべきリスクであることは明白だ。

 だが、感染リスク低減策がきちんとできていれば、新型コロナ感染症のクラスターは発生していないように見える。たとえば、大手企業でも製造メーカーであれば、テレワーク以外の従業員も相当現場で勤務しているはずだが、大きなクラスターが発生したという話を聞かない。「Go Toトラベルキャンペーン」においても、観光業や公共交通機関の方々や旅行者の皆さんの徹底した感染予防策が奏功し、大規模クラスターに発展したとは聞かない。

 クラスターが発生しているのは、比較的中小規模の事業所や店舗であり、おそらく感染リスク低減策が甘かったうえに、無症状や軽症の感染者の入場を許してしまったということなのだろう。その意味で今回の「Go To EATキャンペーン」に関しても、中小規模の飲食業店舗において感染リスク低減策が徹底できるかどうかが成功のカギとなると考えられる。実際、店舗スタッフがすべきことは、一般市民が行っている「集団予防」を、客と一緒に実行することに過ぎない

 ◎「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防法について」
  BLOGOS 山崎 毅(食の安全と安心) 2020年02月19日

   https://blogos.com/article/437209/

 上記ブログのとおり、野田衛先生が提唱された「集団予防」のポイントは以下の3つだ:
   ① 飛沫をあびないこと(飛沫感染防止;マスクも有効)
   ② 手洗いまでは顔をさわらないこと(接触感染防止)
   ③ 消毒薬をうまく使う(アルコール以外も有効利用)

 すなわち、店舗スタッフも客も、ともに「ウイルス飛沫をあびない・さわらない」という環境をつくればよいわけだ。店舗スタッフがなすべきこと、客にお願いすべきことについては、前々回で「Go To EAT」を議論した際に詳しく解説したので、ご参照いただきたい。その際に筆者が、「Go To EATキャンペーン」ではポイント付与を5人以下にすべきと述べたのだが、やっとそのあたりも「4人以下」として一部の地域で採用されるそうなので安心した。

 新型コロナ感染症リスクの大小を決める主な要因は、移動/旅行や経済活動(外食やイベントなども)ではなく、あくまで外出時マスク着用・頻繁な手洗い/消毒など、個人/事業者の感染症リスク低減策の良し悪しに依存するものだと理解していただきたい。このような市民のリスクリテラシーやそれに多大な影響を与えるメディアのリスコミが改善してくることを期待していたのだが、最近、日本テレビの「news zero」で「#マスクはワクチン」というハッシュタグが使われているのは素晴らしい。まさにこれはマスクの感染予防効果を、非常にわかりやすく市民に伝えるよいリスコミ用語だ。

 米国疾病予防管理センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は「ワクチンよりマスク着用が新型コロナウイルス感染症を防ぐのにより効果的だ」と述べたとのこと(Yahoo!Japanニュース:9/17)。世界でも、欧米でCOVID-19の感染爆発が止まらないようだが、新たに開発されたRNAワクチンがすべての市民に行き渡るまで時間が必要なので、それまではすべての市民が「#マスクはワクチン」を励行することで、なんとかロックダウン/経済封鎖に頼ることなく、経済活動を維持しながら新型コロナ感染症を抑制していきたいところだ。

 以上、今回のブログでは「Go Toキャンペーン」の是非と新型コロナ感染リスク低減策について議論しました。SFSSでは、食の安全・安心にかかわるリスクコミュニケーションのあり方を議論するイベントを継続的に開催しており、どなたでもご参加いただけます(参加費は1回3,000円です)。

 ◎SFSS食の安全と安心フォーラム第19回(7/26:オンライン)開催速報
  『飲食業にとっての新型コロナ時代のリスク低減策
   ~食品衛生ならびに法規制上のリスクにどう対処する~』

   http://www.nposfss.com/cat9/forum19_sokuho.html

 ◎SFSSリスコミ動画
  『新型コロナウイルスの予防法(野田衛先生)』
  ・飲食店での新型コロナウイルス対策

   https://www.youtube.com/watch?v=gUolQhHR1_4&t=1058s

 ◎食のリスクコミュニケーション・フォーラム2020(4回シリーズ)開催済み
   http://www.nposfss.com/riscom2020/

【文責:山崎 毅 info@nposfss.com

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