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3・11福島原発事故に責任を負うべき者にその自覚がないことは許されない

改めて日本の老朽化した原発の安全が守られるのかという問題についての国会質疑を振り返りながら、農林漁業と中小企業の仕事と結び付いた再生可能エネルギー、地熱など自然エネルギーの爆発的な研究開発と普及によって、都市でも農村でも「地産地消」の日本のエネルギーと地域経済の発展、大企業が海外へ出て行っても国内にこれからも住み続け、働き、暮らしていく人びとの持続可能な発展の道を考えたいと思います。

私が国会で仕事をするようになったのは、1988年2月29日に参議院大阪補欠選挙で当選(うるう年の29日に当選した議員はおそらく憲政史上1人でしょう)させていただいて、その後1990年2月の総選挙で衆議院に変わりましたが、この1988年から国会で継続的にいろいろな角度から長く原発問題に取り組んできました。

この中で昨年の3・11福島原発事故を防ぐことができる可能性があったのに、警告を無視した東電と政府の「不作為の責任」に繋がる問題を第一に記したいと思います。

小泉内閣の時代の2004年12月日にインドネシア・スマトラ沖で巨大な地震・津波がありました。これ位の地震・津波が日本の老朽化した原発を直撃したらどうなるかという観点からそれ以降、地震、津波(「押し波」も「引き波」も含めて)、全電源喪失などの問題を系統的に取り上げてきました。例えば2006年3月1日の衆議院予算委員会第7分科会で津波の問題を取り上げた時、広瀬原子力安全保安院長(当時)は「スマトラ沖地震による津波にとりましても、インド洋沿岸に設置されております原子力発電所も影響を受けた」「津波で被害を受けたインドのタミールナルド州で開催されたIAEAのワークショップに参加し、被害を受けた原発の現地調査やスマトラ島の被害報告などの情報収集を行っております」と答弁していますが、これはインドのマドラス原発で津波の「押し波」によって、冷却用のポンプが使用不能になったということを把握していたということです。私は、この答弁を受けて、「押し波の波高が10mとかもっと高い場合もある。水没に近い状態で原発の機械室の機能が損なわれる」ことを指摘するとともに、「引き波」の時に原発停止後の核燃料を冷却し続ける機器冷却系に必要な冷却水を取ろうとしても海水面が冷却水の取水口の下にまで下がると冷却不能になるという問題も提起しました。

巨大地震に老朽化した原発が耐えられるかということを実証実験するのに使用できる香川県多度津町にあった世界一の大型振動台を使って、使用して放射化している原発機器を振動台に乗せて実験した例はあるかと質問すると、広瀬原子力安全保安院長は、「多度津を使った試験は21件あるが、老朽化したものについての実証試験は行っておりません」と答えました。小泉内閣の手で「行革」の名で今治造船へ倉庫用地として310億円の装置を2億7700万円でこっそり売却されていたのです。当時の二階経済産業大臣は、地震・津波問題に、「最悪の事態を考えても考えすぎということはない。省を挙げて真剣に取り組むことをお約束申しあげる」と言いましたが、東京電力が無視したのか、総理大臣を先頭に内閣が無視したのか、大臣答弁を官僚がサボタージュしたのか、結局、対策はとられることなく3・11を迎えました。

質問主意書はこの質問より4ヶ月前に、質問主意書を出して、小泉内閣に多度津の施設を売却するべきでないことを訴えましたが、地震対策を無視してよく年度に売却しました。安部晋三内閣に変わった後の2006年12月13日にも質問主意書を出しましたが、私が「高圧送電鉄塔が倒壊すると、外部電源が得られなくなるのではないか」と質問したのに対して、閣議決定して私に返してきた答弁書では、「外部電源系は、2回線以上の送電線により電力系統に接続された設計となっている。」「外部電源からの電力の供給をうけられなくなった場合でも、非常用所内電源からの電力により、停止した原子炉の冷却がかのうである」と答えました。

また、「核燃料棒の崩壊熱を除去するためには、機器冷却系電源を確保できることが、原発にとって絶対必要である。現実には自家発電機事故で原子炉が停止するなどバックアップ機能が働かない原発事故があったのではないか(引き続き質問したスウェーデンのフォルクスマルク原発で、ディーゼル発電機とバッテリーを組み合わせた内部電源が2系列で事故をやったことを踏まえての質問でした)。」と聞いたのに対して、「必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた例はない。」「フォルクスマルク原発とは異なる設計となっていることから、同経つ伝書と同様の事態が発生するとは考えられない」という答弁書でした。

地震で送電鉄塔の倒壊によって外部電源が得られない状態が生まれ、内部電源もフォルクスマルク原発のようにディ-ゼル発電機もバッテリーも働かなくなった時、機器冷却系は働かないことになる。こうした場合の安全性について検討しているか」と問うたことについても、安部内閣の答弁書は、「地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については、審査指針に基づき審査、確認しているものであり、ご指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期している」と答え、私がさらに「崩壊熱を除去出来なかったら、核燃料は焼損するのではないか」と聞くと、「原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期している」と胸を張って答弁書を書いていました。

これは小泉、安部という自公政権時代だけでなく、政権交代しても民主党・社民党・国民新党の3党連立政権時代の直嶋正行経済産業大臣も同じで、私が外部電源も内部電源も失われる全電源喪失になると、原発は炉心溶融という深刻な事態になるだろと質問したのに対して、「ご指摘のようなメルトダウンを起こさない、このための様々な仕組みを作っている」(2010年4月9日、経済産業委員会)と、メルトダウンは有り得ないと胸を張りました。

東京電力言いなりに、地震、津波、全電源対策の心配はないと政府が言って、東電に対策を取らせなかったのですから、東京電力と自公政権、民主党中心の連立政権の3・11以前の「不作為の責任」は重大です。

第二に、3・11の「全電源喪失」が分かった午後3時42分以降の東京電力と、官邸の対応の問題です。原発を停止しても圧力容器の中の核燃料棒は崩壊熱を出し続けますから、核燃料棒が冷却水から頭を出さないようにさせること、そうしないと、冷却できないと核燃料棒の被覆管が1,200℃を超えるくらいから水素が発生しさらに、もう少し温度が上がると被覆管が溶けて、中に閉じ込めてある放射性ヨウ素などを外部に放出することになります。更に2800℃くらいで核燃料そのものが溶けて、セシウム、ストロンチウムなどから、プルトニウムに至るまで外部に放出されます。

そんなことは東電の技術者はもとより、官邸に詰めていた技術者も分かっていたはずです。それなのに何故、圧力容器内の圧力を下げて、消火栓ラインなどからでも冷却水を注水するラインの形成に即座に取り組まなかったのか、冷却用の純水が不足したら目の前の海水を注水してでも冷やしきることをしなかったのかが、大変不思議なことです。同じ被害を受けた近くにある女川原発は、5系列の外部電源の内4系列は壊れたが、生き残った1系列で機器冷却系をうごかすことに成功して、約10時間後には「冷温停止」(冷却水の圧力と温度が1気圧、100℃以内)となりました。電源がない分余計に時間はかかったとしても、海水注入などで冷やし続ければ、建屋の爆発とメルトダウンは食い止めることができた可能性はあります。

何故それが遅れたのか。東電は海水注入による廃炉を恐れたこと、何とか海水注入を遅らせて、冷温停止に持っていくことで福島第一原発という利益を上げる資産を残したがったことがあると思います。

もう一つは、原子力災害対策本部長をはじめとする官邸が、「全電源喪失」の報告を受けて直ちに東京電力に対して、早期に圧力容器内の減圧と海水注入を含む緊急対策を取らせきらなかったことがあると思います。政治家に原発の知識がなかっても、原子力安全・保安院や原子力安全委員会とサポートするJNESや各所の技術参与など、知恵と技術を結集することはできたはずなのに、そういう仕組みを作らないでずるずる進んでいったことなど「国会事故調報告」など各種報告書の指摘も踏まえて解明が必要でしょう。

1999年のJCO事故では、企業の責任者が「執行猶予付きで懲役4年」と刑事責任が問われたのに、今回は刑事責任も民事責任も問われないままに、3・11以前の「不作為の責任」を自覚しなければならない人や、3・11以降の事故対応の誤りに責任を感じなければならない人たちが、開き直って、このことに触れるマスコミなどをネットで攻撃したり、「名誉棄損だ」と訴訟を起こしたり、逆に「昔から脱原発だ」と自分を売り込むことに熱心で、いまだ福島事故が終わっていないことや、16万人を超える避難している人の苦しみを考えないのか、全く不思議な世界です。これでは政治が国民から信頼されず、政治不信から、極端な主張やファシズムが台頭してくることが心配です。

原子核工学を学び、真空技術や宇宙開発から化学プラントに関わりを持ってきた技術屋出身の政治家として、湯川秀樹先生らが説いてこられた「科学者・技術者の社会的責任」を果たすという立場から、再生可能エネルギーの爆発的普及とそれが農林漁業や中小企業の力と結び付いて、原発に依存しないエネルギー構造と地域経済の持続可能な発展のために頑張っていきたいと思います。

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