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クリエイティブになるための、たった1つの秘訣

タイトルを読んだだけで「この記事を読みたくなる人間にクリエイティブな奴は絶対いない!」と思った、半分当たっていると個人的にも思いますが、残りの半分は外れているかもしれません。稀代の天才マーケッター、ミッチ・ジョエルの語るクリエイティブ論。読めば、何か感じるものがあるはず。 — SEO Japan

クリエイティビティはいつ降臨するのか?

私は日々この考えにもがき苦しんでいる。私の古い友人にクリエイティブなコピーライターがいる。私たちが大学生だった頃、彼がどれほど優れた広告クリエイティブに夢中になっていたかを覚えている。当時、インターネットは存在しなかったため、彼は最新広告年鑑が出るまで我慢強く待っていた。そして、初めて殺人事件を調査する刑事のようにこれらの年鑑をじっくりと検討するのだ。これらの雑誌が貸し出されることは決してなかった。これらは参考資料であり思考過程の架空の入り口だったのだ。彼は常にメモ帳を手にしていて(アイディアが思い浮かんだ場合に備えて)、一緒にいても突然いなくなることがよくあった。何かが彼のところに降りてきて、彼はそれを外に出す必要があったのだ(彼のペンによってたくさんのナプキンが無駄になった)。ある夏には、私たちの多くが大学にいる彼のところを往復した。

チキンウィングとビールをたいらげた後、彼は、まさに今日私がクリエイティブなプロセスについて行き詰っていることを口にした。私たちは、限られた予算と厳しい締切で優れたアイディアを思い付かなければならないことがいかにストレスフルかについて思いを巡らせていたのだ。彼はこう言った:それは、裸で崖を飛び降り、その途中のどこかで自分の肌の一部(当時、彼はまぶたと言ったと思う!)が木の枝に引っかかるのを期待するようなものだ。経験よりも運のように聞こえるが、そうではない。

一番難しい部分は待つことではない。

優れたアイディアが思い浮かぶのを待つことが一番難しい部分だと間違って思い込んでいる人がいる。自分の作品に時間を注ぎ込んできた(書くことでも、クリエイティブなディレクターになることでも、アプリをプログラムすることでも何でもいい)人達は、一番難しい部分は、待つことではなく、始めることだと知っている。それはクリエイティビティに関する全ての本に書いてあるメッセージであり、自己啓発に関する全ての本で発見できるコンセプトと同じだ。ゴールを思い付くことは一番難しい部分ではない:そのリストを作り始めること、それに対して本当の締め切りを設けることが一番難しい部分なのだ。セラピストに会った後に不安を克服することを期待するのは間違ったアプローチだ。

一度プロセスを始めたなら、私たちの心理的な問題は、実際に自己を癒し始めることによってその恐れをかき分け始める時に消えてくるということに気が付く。私は、スティーブン・プレスフィールドが書いた2冊の本、ザ・ウォー・オブ・アートドゥ・ザ・ワークをよく引用する。ライティングとクリエイティビティのことになると、私は、プレスフィールドの肉体労働倫理を愛してやまない。もし隣人が目を覚まし、歯を磨き、シャワーを浴び、子どもに食事を与えて学校に送り、配偶者にキスをしてから会社に向かうなら、なぜクリエイティブな人は同じことをしないのか?この種の労働倫理を自分の仕事にも取り入れると私も言えたらいいのだが・・・。

強いるということ。

私は自分に書くことを強いる。書くことは私の思考過程を促すものだ(それはあなたにとっては動画を撮ることかもしれないし、いたずら書きをすることかもしれない)。書くという活動なしでは私の人生に新しいアイディアが浮かぶことはない。私の1日の大部分は、クライアントやこのブログや本や記事やプレゼンテーションやピッチなどのために言葉をいじくり回すことに費やされるが、プレスフィールドの熱心さに完璧について行くことはできない。私は、横道にそれたり、ぐずぐずと先延ばしにしたり、文句を言ったり、他のこと(クライアントとのミーティングのような真剣なものから、靴下を買う必要があるというような馬鹿げたものまである)で忙しくしたりするのが好きなのだ。結局、私は自分に書くことを強いる。しょっちゅう。頻繁に。毎日。なぜって?私は1つのことを知っている:始めることが、作ることを導く。作ることは、思考過程を導く。思考過程は優れているものを導く。いつもではないが。しかし、時々で十分だ。あなたは、書くことから生じるクリティカルシンキングを偽造することはできない。

破水した。

私は、2冊目のビジネス本CTRL ALT DELを編集している最中だ(2013年春発売予定)。それは思った以上に時間がかかった。それを書くことではなく、適切なフレームワークを作ることに時間がかかったのだ。一体どうやってそのコンセプトが1冊の本に十分な肉付きであると感じるまでに到達したのか?それは曲がりくねった荒削りの旅だが、タイミングは完ぺきではなかったかもしれない。このブログTwist Imageで他の3人のビジネスパートナーに2冊目の本を書いているところだと知らせた時、その中の1人が、私たちにとって重要なのはタイミングが適切かどうかと全てのことを機能させる方法を把握することだと言った。私は(半分冗談で)こう言った:“破水した…もう生まれそう。”ここでも、始めるという行動からクリエイティブ・プッシュがやって来たのだ。私は一度始めると、言葉に首までどっぷりとつかり、インスピレーションとアイディアを見つけることは問題ではなかった。言葉を転がり出させる十分な時間を見つけることの方が問題だった。

空白の画面。

MacBook Airは、私がこれまでに出会った中で最も驚異的なツールだ。それは、そこに座っていて、蓋を閉じたまま私を待っている。それがあれば、私は、何でも作ったり、育てたり、発行したり、思考したりするためのアクセスを持つ。そこから次の大きなアイディアを思い付くことができるのだろうか?もちろん。このツールがなければ、作ることができないと文句を言う人がいる。

あなたが書く時、生産する時、育てる時、MacBook Airを持っていることが、私たちみんながいかに怠け者で鼻持ちならないかを気付かせる。なんて優秀なクリエーションツールだろう。私は、自分が本当は使うべき頻度ほどにそれを使わないことによって無駄にしている(なぜ私は今週末Pawn Stars(註:アメリカ版なんでも鑑定団のような番組)を4話も見たのか?もっと書いたり思考したりできたかもしれないのに。)。あなたの仕事はあなたの芸術だ(私を信じない?それなら、セス・ゴーディンの本、Linchpinを読もう)。私たちは今まで想像したことのなかったことをするためにこれらのツールを持っている。私のクリエイティブな緊張は、タグ付けするウォールを見つけることに由来するのではなく、蓋を開く度胸を見つけることに由来するのだ。

蓋を開く。

私は始めることに十分な時間を費やさない人々をいつも目にする。それはモレスキンのいたずら書きでも、PowerPointを開くことでも、真っ白なWordドキュメントを開くことでもいい。始めるのだ。今すぐに、蓋を開いて、作ることを始めるのだ。

世界を変える。

私は数日間シリコンバレーに行く途中で、ちょうどフランク・ゲーリーのスケッチという有名な建築家フランク・ゲーリーに関する素晴らしいドキュメンタリーを見終わった。このフィルムの中で、ゲーリーのセラピストがインタビューを受けていて、恐れや疑念のような問題を抱えた患者を治療することとゲーリーのような人の違いについて話している。

それはこんな差異だ:大部分の人間は、自分の日々の生活を何とかやっていくことができるように自分で癒す方法を見つけようとしている。ゲーリーのような人間(そして、現代のもっと名高い芸術家の一部)は、世界を変える方法を見つけようとしている。ワオ。それはとても重大な瞬間だった。その違いは、これらの人々が、精いっぱいに身をよじり始めるということなのだ。彼らはそれを強いるのだ。彼らがそれを強いるのは、常に何かが起こるということを知っているからなのだ。

あなたは何をぐずぐずしているのか?


筆者について:ミッチ・ジョエルは数々の受賞歴を誇るカナダ発のデジタルマーケティング/コミュニケーションエージェンシー、Twist Imageの代表です。2008年にはカナダで最もソーシャルメディア上で影響力のある人物、そして40歳以下で最も有名な40人の一人、さらに世界で最も影響力のあるオンラインマーケッター100人の一人に選ばれました。著書である「Six Pixels of Separation」(Grand Central Publishing – Hachette Book Group)は、ビジネス/マーケティング書として英語圏で大ベストセラーになっています。ミッチのブログはこちらから。

この記事は、Six Pixels of Separationに掲載された「The Creative Push」を翻訳した内容です。

シンプルながら深い深ーい記事だな、と思ってしまいました。天才的な小説家や画家のインタビューや自伝を「どうしてこの人はここまで天才的な創造ができるんだろう。何か特別な生き方を日々しているに違いない。」と思って読んでみると、普通の人以上に普通の限りなくルーティンな生活をしており、時に肩すかしを喰らうことがあったりします。クリエイティビティが人によって差はあるとは思いますが、それを最大限引き出すためには、それと真摯に極限まで向き合う時間を毎日確実に作ることがよりクリエイティブになるための秘訣であることは間違いない気もします(元々素養がなければ仕方ないという話はさておき・・・)。


クリエイティブだからといって生き方自体もクリエイティブ?である必要はないのでしょうし、人によってクリエイティブ性を発揮できる様々なスタイルがあると思いますが、一度は純粋に毎日自分の才能や感性を向き合う時間を作って過ごすような期間を設けてみてもいいのかもしれません。それで素養がなければ何も生まれないのかもしれませんが、それによって素養を引き出せる・引き出し続けられる人がいることもまた事実でしょうし、世界に様々な新しい何かをもたらしてくれているのでしょう。

何故かアーティストよりな話になってしまいましたが、ビジネスパースンや起業家にしてもあなた次第で同じ土台で考えられる内容だと思います。 — SEO Japan [G+]

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