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日本で超低金利が続いた理由

 日本は現代における超低金利の国のまさに先駆者である。日本の金利はずいぶん長らく低い状態が続いてきた。そのひとつの起点になるのが、1999年2月の日銀の「ゼロ金利政策」である。

 ゼロ金利政策とは、日銀が金融政策のために誘導する金利をゼロ近くに押さえるという政策である。日銀の金融政策では、非常に期間の短い金利を操作する。昔は公定歩合を操作していたが、いまは無担保コール翌日物という短期の金利を操作している。とにかく、日銀はたいへん短い期間の金利をゼロに近づけることを1999年2月に決めたのである。

 1999年2月のゼロ金利政策は、1998年12月に起きた日本国債の急落がひとつの要因とされている。つまり長期金利の上昇抑制のためにゼロ金利政策を行ったともいえる。しかし、その背景には1990年以降のバブル崩壊後の金融経済ショックがあったのである。

 1990年以降のバブル崩壊により、不良債権を抱えた銀行への不安は強まり実際に大手銀行や大手証券の一部も破綻した。金融危機により経済活動は低迷し、その結果、デフレと呼ばれる状況が続いた。

 日銀は政策金利を引き下げ、政府は経済対策を打ち出すがその効果は限られた。政府による度重なる経済対策により国債発行額は増加し、海外の格付け会社ムーディーズが日本国債の格付けを引き下げたのが1998年11月であった。ただし、日本国債の格下げは12月の日本国債の直接的な原因ではなかった。当時、国債を大量に引き受けていた大蔵省の資金運用部が国債の引受を減少するとの報道がきっかけであった。

 2000年8月に日銀はこのゼロ金利政策をいったん解除する。ところが米国景気を支えたITバブルが崩壊しデフレ懸念はさらに強まることとなり、景気はさらに悪化していった。このあたりから日銀は金融緩和から引き締めに転じようとしても、何かしらのショックが襲うようになる。

 日銀は2001年3月に金融調節目標を金利から、日銀当座預金残高という量に変更することを決定し、いわゆる量的緩和政策が実施された。つまり政策金利は再びゼロ金利近くとなり引き下げ余地がなくなり、このため政策目標を別なものに変えなければならなかったのである。

 2006年には量的緩和政策とゼロ金利政策の解除が実施され、2007年2月に政策金利である無担保コール翌時物金利の誘導目標を0.50%に引き上げたが、利上げはここまでとなった。

 2006年半ばに、それまで高騰を続けていたアメリカの住宅価格が下落に転じ、サブプライム問題が発生した。これをきっかけに2008年9月にリーマン・ショックが起き、世界的な金融経済危機が発生したのである。これで再び日銀は金融緩和に舵を切ることになった。

 2010年1月に欧州委員会がギリシャの統計上の不備を指摘したことが報道され、ギリシャの財政状況の悪化が表面化し、ギリシャ国債が急落。これをきっかけとした欧州の信用不安が世界の金融市場を震撼させた。

 2010年10月に日銀は金融緩和を一段と強力に推進するために、包括緩和策を決定したが、この政策にはゼロ金利政策も含まれていた。それ以降、政策金利は再びゼロ近辺となり、下げ余地がなくなったため、これ以降は主に資産買入基金の残高を増加させることになり、現在に至る。

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