- 2020年11月27日 19:14
75歳以上の医療費負担の実施を
政府が検討している75歳以上の医療費の自己負担引き上げをめぐって、厚生労働省は、いま医療費の1割を負担している人を所得の基準ごとに7通りに分け、新たに2割を負担する人が、どれだけの人数になるか、試算をまとめました。
データを精査し、近く厚生労働省の審議会や与党の部会に提出する、と報じられています。
影響を受ける人は100万人単位にのぼるため、政府は世論の反応も踏まえて12月中に2割負担となる所得水準決める、とのこと。
75歳以上の高齢者は約1815万人います。
現在は、現役並みの所得の約130万人が3割を負担し、それ以外は1割負担です。
政府は、2022年度から、1割負担の中でも一定の収入がある人の負担を2割に引き上げる方針です。
負担増を所得の上位20%(年金収入の目安は単身で240万円以上)とすると、対象者は最も少ない約200万人になり、上位53%(同80万円以上)と最も広げると約825万人が対象になります。
政府内では、2割負担にする所得層は、課税所得のある上位38%(同170万円以上)の約520万円の範囲で検討すべきだという意見が強まっているそうです。
超少子高齢社会の日本で、社会保障制度を維持し、必要な部分を拡充するためには、バラ色の未来はなく、どのように公平に負担し合うかだと、民主党政権で行った税・社会保障一体改革の中でも合意しています。
試算によると、仮に制度改革をしないと、2020年度に6兆8千億円だった現役世代の保険料からなる「後期高齢者支援金」が、2025年度には8兆2千億円に上がります。
2022年には前年度比2500億円、2025年度は3100億円増になると試算されています。
コロナ禍や1年以内に迫っている衆院選のために、与党内で先送りや慎重論が出ている、ということですが、団塊の世代が75歳になり始める2022年以降は、医療費の急増が見込まれていて、少子化で減っている現役世代の負担を減らしていくことが喫緊の課題です。
選挙目当てに口当たりのよいことばかり言っていると、社会保障制度が崩壊するか、どんどん増えている次世代への借金のつけが、さらに増えることになります。
低所得の高齢者が困らないような配慮をしながら、国民にわかりやすく説明をして、高齢者の負担増を実現する必要があります。