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焦点:29年半ぶり株高に押し上げた海外勢、「日本が特別ではない」の声


植竹知子

[シドニー 27日 ロイター] - 足元の日本株上昇の大きな原動力は、海外勢の買いだ。11月に入り2兆円以上を買い越し、日経平均を29年半ぶり高値に押し上げた。日本株は世界の景気敏感株でもあるとの見方からロングオンリーの投資家も買いに動いている。ただ、世界株の上昇に連動しているだけで「日本だけが特別ではない」との声も聞かれる。成長戦略など日本固有の買い材料を作り出すことが魅力度向上には欠かせないという。

<日本株をややオーバーウエートに>

ロンドンに本拠を置くジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ(JHI)のマルチアセット部門責任者、ポール・オコナー氏は、米大統領選の前からテクノロジー関連を中心に米国株のエクスポージャーを下げる一方、日本を含むアジアや欧州の景気敏感市場の株を買い増し、「日本株は現在、小幅オーバーウエート」だと話す。

景気敏感セクターの比重が大きい一方、テクノロジー株は小さく、中国経済への依存度が高いことが日本株の特徴だとした上で、「新型コロナワクチン開発で世界景気回復期待が高まる中、今後数カ月は世界的にボラタイルな相場展開を予想するが、下落のタイミングを捉えて日本などのシクリカル市場に買いを入れたい」と述べた。

英アバディーン・スタンダード・インベストメンツ(ASI)も、9月半ばから日本株をややオーバーウエートにしている。やはり、「日本株は世界景気の回復局面で恩恵を受けやすい。今後世界経済が正常化に向かうことが大きな追い風になる」(投資ディレクターのKarolina Nochulak氏)というのが選好理由という。

<TOPIXをみる海外投資家>

ただ、日本株だけが上昇しているわけではない。米国ではダウが今週3万ドルの大台を突破し主要指数がそろって史上最高値を付けたほか、MSCI全世界株指数(ACWI)も最高値を付けている。

バンク・オブ・アメリカが世界のファンドマネジャーを対象に実施する月次調査によると、11月はキャッシュ比率が低下した一方、グローバル株式への配分は2018年1月以来の高水準に上昇し、投資家は「全面的な強気」モードだ。

グローバルで資産配分を行う機関投資家の視点は、日本だけを特別視しておらず、世界景気の回復局面を見据えて幅広いリスク資産に資金を振り向けており、景気回復の恩恵を受けるアジアの一部との認識が多い。

米コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツ(CTI)のグローバル最高投資責任者、コリン・ムーア氏は、「今後、安全で効果的なワクチンが実現し、世界的に経済活動が活発化するならば、日本を含むアジア全域や英国を除く欧州も投資検討に値する」と話す。

世界最大の資産運用会社ブラックロックの投資研究所(BII)は、今週、米国株の投資判断をオーバーウエートに引き上げた一方、日本株のアンダーウエートを維持した。

グローバル主席投資ストラテジストのマイク・パイル氏は「世界景気回復の恩恵も、バイデン政権下で米通商政策の予見性が高まることの恩恵も、日本以外のアジア地域の方が大きい。またドル安に起因する円高も日本株には重し」だと指摘し、日本は世界景気回復の最大の受益者ではないとの見方を示す。

また、多くの海外勢のベンチマークは日経平均ではなくTOPIXだ。TOPIXが依然として長期レンジを上抜けられない中、日経平均の29年半ぶり高値に対する関心や高揚感は日本国内ほどではない。その半面、過熱感や割高感を指摘する声も聞かれない。

<期待は依然として「第3の矢」>

アベノミクスが始まった2013年には日本株を15兆円超買い越した外国人投資家だが、市場では現状について、当時のような買い方には至っていないと見る向きが多い。あくまでも「世界景気敏感株」としての位置付けで、日本企業固有の成長力や魅力を評価した本格的な買いとはなっていない、との指摘だ。

JHIの日本株運用部門責任者、井上純一氏は「海外長期マネーが本腰を入れて日本株を買うためには、個別の投資対象としていい会社がもっと増えないといけない。マネジメントの意識が変わり、企業のリターンが投資家の要求リターンを上回ること、バイ・アンド・ホールドして負けない企業が増えることが必要だ」と語る。

米プリンシパル・グローバル・インベスターズ(PGI)のムスタファ・サグン最高投資責任者は、昨年までは多額のキャッシュを抱え込む日本企業に厳しい目を向けていたが、コロナ禍で逆にそうした企業の危機耐性が評価される状況となり、見方を多少好転させたと説明。

日本株への投資スタンスは足元でほぼニュートラルだが、今後については、「個別企業のコーポレートガバナンスなどESG分野で改善がみられれば、日本株を買うカタリストになり得る」と述べ、アベノミクスが成し遂げていない「第3の矢(成長戦略)」の実行に期待をかけている。

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