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感染症国家ガバナンスの大改革

昨日、自民党「新型コロナウィルス関連肺炎対策本部」が開催され、私が顧問を務める「感染症対策ガバナンス小委員会」(武見敬三委員長)の提言が了承された( 「感染症対策ガバナンス小委員会提言」)。緊急性の高い法改正は臨時国会において、その他の項目も次期通常国会のできるだけ早い時期に関連改正法が成立することを期すこととなった。

一方で、感染症自体の位置づけがすう勢的に低下することを専門家も厚労省も関連産業も、そして国会も、皆許容してしまってきたがゆえに、あらゆる面での資源配分が他の分野に劣後し、今次感染拡大で全てにおいて国家としての弱点をさらしてしまった。研究を含む感染症対策はもとより、国の予算面でも、医師養成でも、製薬支援でも、この流れを反転させねばならないことの指摘も、深い反省とともになされている。

そもそもこの小委員会は、私が本部長として本年5月、自民党行革本部に設置したワーキンググループ(柴山昌彦座長)が6月末に取りまとめた( 「大規模感染症流行時の国家ガバナンス改革提言」 )( 「大規模感染症流時の国家ガバナンス見直しWG資料」 )

をベースに設置されることとなったもの。総裁直属組織である行革本部からの提言は、必ずしも具体的な政府の政策に結び付かないことがあるため、政務調査会において政府の政策となるようにして欲しい、と私から岸田政調会長に本部長として正式に要請。その結果、岸田政調会長が武見小委員会を立ち上げて下さり、正式な政調プロセスに乗ることとなり、昨日の提言了承に辿り着いたもの。

昨日了承された内容は、既に、柴山でのワーキンググループ提言取りまとめの際に武見議員も顧問として関与され、法案要綱並みに具体的に提案してあった感染症法等の法改正事項など重要提案事項はほぼ行革本部提言通りとなった。

「検証はコロナ収束後」との官房長官や厚労大臣の早い段階での発言により、法改正自体の取り扱いがどうなるか一時期心配したが、昨日正式了承され、今後厚労省中心に法案作成作業に取り掛かるもの、と考えられる。今回の感染症危機において最早機能しないことが明らかになった明治以来のアンシャンレジームは終焉することが正式に決まったのが昨日の新型コロナ本部による決定だ。

一連の我々の提言の本質は、何といっても、明治30年の旧伝染病予防法以来、今日まで120年間営々と続いてきた、「地方任せ」、「保健所中心」の感染症防護体制を「有事の感染症危機管理は国の責務」という事を奉呈して明確にし、大きなパラダイムシフトをすること。そして国→都道府県→保健所の指揮命令系統、コマンドシステムも明確に法定し、データ収集も国が一元管理、積極開示する。

さらに、これまで不可能だった、厚労大臣が知事等へ具体的な措置の指示をすることも可能とし、知事がそれに従わない場合には、厚労大臣がその権限を代行できることとする。さらに、「公衆衛生」と「臨床医療」、「疫学研究」と「臨床研究」を有機的に一体化し、科学的、医学的根拠を持った感染防護策を徹底、米国CDC、ロベルト・コッホ研究所、パスツール研究所など海外の感染防護組織にはない、初の臨床病床を持つ感染症防護組織が誕生することが決まった。

また、PCR検査も、無症状で必ずしも感染者が近隣にいない場合などでも厚労大臣等や医師の判断で、スクリーニング検査が可能となり、経済社会をしっかり回すことも可能となる積極的かつ柔軟な検査体制を作り上げることとなる。

今回、特に武見委員長が行革本部提言時よりも一段と踏み込んだのが感染研周りの組織変更。感染研と国際医療研究センターを統合することを前提に、疫学研究と臨床研究も一体化した「健康危機管理機構(HSA:Health Security Agency)」を創設、

その下に「緊急事態オペレーションセンター(EOC: Emergency Operation Center)」と「新興・再興感染症研究センター」を設置し、厚労大臣と特措法担当大臣、とりわけ厚労大臣の下で行われる感染症危機管理戦略の高度専門的な技術支援を一手に行う事を具体的に提言した。

一方、行革本部提言に入っておらず、今回、私が武見小委員会提言に初めて入れ込んだ新たな改革は、ワクチンの「検定」というプロセスを感染研からPMDA(医薬品医療機器総合機構)へ移管する事だ。

「検定」とは、PMDAによって定められたスペック通りにワクチンを製造し、所期の効能を実際に発揮することとなっているかを確認するための点検作業だが、現在、それは感染研で行われ、そのことが、医薬品の承認審査をおこなうPMDAとは異なる組織で行われていることから、ワクチンメーカーにとっては二重の説明負担と時間がかかっている。

今回、厚労省側と私はかなりの熱いバトルトークを行ったが、結局、加藤大臣も了承の上で、「検定」は感染研からPMDAに移管することとなった。同時に、検定の内容の質の低下を回避しながらの簡素化、迅速化も図ることとなった。

今後感染研は、世界最先端の感染症研究の専門組織を目指し、生き残りをかけるはずで、さして先端技術等が求められることもない「検定」に関わる時間もエネルギーも人的資源も余裕があるはずもなく、定員枠を含め、限られた資源は、「世界一」を目指すために使って欲しい。

この後、厚労省をはじめとする政府が可及的速やかに、そして確実に法改正などの準備作業に入り、できるだけ早く法改正が実現され、二度と同じ轍を踏まないようにしなければならない。私もそのためにしっかりフォローしていくつもりだ。

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