11月13日、ユニクロがデザイナー、ジル・サンダーとのコラボライン「+J」を9年ぶりに発売し、予想以上の盛り上がりとなりました。
+Jは2009年秋冬にスタート、その後、2011年秋冬まで続き終了しました。2009年秋の発売当日もかなり話題となっていましたが、今回の盛り上がりは体感的にその何倍かというところです。
人気低迷で一旦終了していた「+J」コラボ

実は2009年のスタート時にもかなり衣料品業界の人々が買っていました。ざっと思い返すだけで自分の身の周りの業界人が10人くらい思い浮かびます。2009年秋冬商品も早々に売り切れが出ていましたが、2020年秋冬の商品はそれ以上です。
すでにオンライン通販では何品番もサイトから削除されています。何か月か売る分として予定していたオンライン用の商品が、たったの数日で無くなってしまったということでしょう。恐るべき消化率です。
蛇足ながら2009年のデビューは好スタートだった+Jですが、2010年春夏からはそこまで売り切れなくなりました。生産数量を増やしたためでしょうか。そのため最終的に、ユニクロお得意の値下げ処分となっており、自分も値下げ処分品を何枚か買いました。
ですので、その当時の+J商品をいまだに何枚か持っています。そして徐々に盛り上がらなくなり、2011年秋冬で一旦終了したのです。これが+Jの経緯です。
ブランド品よりも出品されるユニクロ商品
今回の2020年版+Jですが、13日の店頭投入直後から、フリマアプリのメルカリに多数出品されており、転売ヤーの行動の速さに驚かれた方も多かったのではないかと思います。自分のようなオジサンは、転売というと「ブランドステイタスの高い商品」というイメージが当初はありました。
基本的にメルカリもヤフオク!も利用しないのですが、メルカリやヤフオク!が伸びているという事実は知っていました。しかし、我々世代の常識的に「わざわざ転売で買うならブランドステイタスの高い商品」だという先入観がありました。
例えば、ナイキのエアマックス〇〇とか、裏原宿系のブランドの限定アイテムとか、そういう物が転売されているという固定観念がありました。もちろん、今でもそういう物は転売されていますが、実は、メルカリで最もたくさん出品されているブランドはユニクロだと言われています。
「転売」市場からみるファッションへの価値観の刷新

我々世代の若いころから転売というのはありました。それはやっぱりブランドステイタスの高いアイテムに限られていたのです。10年くらい前まではその構図だったと感じています。
というのは、10年前に某社長と話していたところ、「手持ちのブランドスニーカーが飽きたら転売している。けっこうな高値で売れる」という話になったので、その時点くらいまでは、転売の基本は変わっていなかったのだと思います。
しかし、今の若い人たちがそうではないと知ったのが、4年くらい前のことです。
普段からユニクロの値下げ品を愛用していますが、気に入った値下げ品すべてを買っているわけでもありません。買い逃しもあります。当時、買い逃したユニクロの商品をネットで調べていたところ、メルカリの出品ページにたどり着いたのです。
その提示されている価格を見て驚きました。たしか定価2990円が最終的に990円に値下がりし、自分はその990円の値段で探していたのですが、メルカリには2000円くらいで出品されていたのです。
正直なところ「今の最終処分値よりも高い値段で誰がユニクロなんか買うんだろう」と訝しく思い、一回り年下のWEB関連の友人たちに尋ねてみたのですが、その返答に驚きました。
「いや、今の若い人たちはけっこうメルカリでユニクロを高値で買ってますよ」とのことでした。
また、同年配の社長からも「うちの息子(当時高校生)がファッション好きなんだが、自分らの若いころと違って、気に入った物ならユニクロ製品でも定価以上の高値でメルカリから引き落としている」というコメントももらいました。この辺りから自分も認識をアップデートしました。
そういう状況を知っていれば+Jのメルカリ出品は驚くには値しませんし、当日に殺到した客の何割かは、転売目的だったということです。現に、知り合いの奥様が3時間かけて当日に並んだそうですが、後ろに並んでいた大学生たちはフリマアプリへの出品目的で並んでいると言っていたそうです。
またユニクロだけでなく、ワークマンやジーユーなどの低価格ブランドもメルカリに多数出品されており、定価と同等やそれ以上の値段で引き落とされています。