記事

【読書感想】西鉄バスのチャレンジ戦略

1/2

西鉄バスのチャレンジ戦略 (交通新聞社新書144)

西鉄バスのチャレンジ戦略 (交通新聞社新書144)

  • 作者:文彦, 鈴木
  • 発売日: 2020/08/17
  • メディア: 新書

Kindle版もあります。

西鉄バスのチャレンジ戦略 (交通新聞社新書)

西鉄バスのチャレンジ戦略 (交通新聞社新書)

  • 作者:鈴木文彦
  • 発売日: 2020/08/25
  • メディア: Kindle版

内容(「BOOK」データベースより)
バスが次々と発着、時には数珠繋ぎ…。博多駅前や天神の交差点に立つと、列車や乗用車以上にバス車両が目に付くことに気づく。九州の交通は、それほどバスが身近だ。なぜ、そうなったのか、それがどう今日まで維持されてきたのか。そのイニシアチブを執ってきた西鉄バスをビジネスの視点から大解剖。車両、人づくり、運行方法ほか、果敢なチャレンジ戦略でバス社会を作り上げたノウハウに迫る。

 小学5年生のときに九州に引っ越してきて以来、僕にとってのもっとも身近な都会は「博多」だったので、都会というのはバスがたくさん走っているものだというイメージがずっとあったのです。
 もちろん、東京や大阪だって、バスの路線はたくさんあるはずなのですが、博多はバス、タクシーの存在感がとくに大きい街なんですよね。僕自身が博多の街を運転していて、バスやタクシーの「圧力」を感じることが多い、というのもあるのでしょう。
 この本、九州・博多の「代表的なバス会社」である西鉄バスの歴史と、さまざまな斬新な試みについて詳しく書かれたものです。

 僕自身、鉄道やバスなどの公共交通機関は「けっこう好きだけれど、『マニア』ではない」ので、路線や車両の変遷が延々と時系列で書かれている部分などは、読んでいて「ついていけない……というか、正直、ちょっと眠くなってきた……」のです。でも、博多の街でずっと暮らしてきた人にとっては懐かしい記憶がよみがえってくるでしょうし、バスという交通機関の歴史に興味がある人にとっては、感動的な人間ドラマやエピソードに頼らず、事実や経緯を淡々と記録しているのは、資料的な価値も含めて、たまらない内容だと思います。  

 日本のバス業界をリードする西日本鉄道ーにしてつ。500台以上の車両を擁する北九州地区を西鉄バス北九州として分社したため、西日本鉄道単体としては1860台と、神奈川中央交通の約2100台に車両数日本一の座を譲ったが、西鉄直径のグループ全体では今も3000台に迫るバスを保有する日本最大のバス事業グループである。経済、文化などあらゆる面で九州の拠点となっている福岡市を中心に乗合・貸切バス事業を展開、傘下のバスボディーメーカーであった西日本車体工業が2010年夏に事業から撤退したため、ほぼオール西工だった西鉄グループにも車両面で大きな変化が訪れたが、取り巻く環境変化もあって、新たな取り組みにも積極的な姿勢を貫いている。

 西鉄は各地のバス会社と協力して高速バス網を九州中につくり、乗り心地を追及した豪華な夜行バスを全国に先駆けて導入したのです。
 100円で主要駅から近隣の主要な施設に行けるバスには、僕も長年お世話になりました。
 

 ここ10数年のことではあるが、日本のバスはその運行システムやサービス、車両技術、バリアフリー、環境対応、そして接遇など、さまざまな面でかなりのハイレベルに達してきていると思われる。そんな今の日本のバスで当たり前に評価されていることの多くが、実は福岡の地でもっと以前から取り組まれていた、あるいは西鉄バスが最初だったということは、世間的にはあまり知られていない。

 例えば車内事故を防止し、立客や高齢者の安全を補佐する握り棒が車内に何本も経っている光景。バリアフリーが唱えられて以降、普通に見られるようになったが、実は西鉄バスでは1970年代から座席の2つに1つの割でポールが取り付けられている。そしてバリアフリーの象徴である低床化。ワンステップバスを経てノンステップバスが標準になりつつある現在だが、1990年代前半に西鉄と西日本車体工業が試行錯誤を繰り返しながら、床の高さを53㎝まで下げたスロープ付きワンステップバスを低価格でつくった実績がなかったら、普及はもっと遅れたに違いない。

「九州に行ったとき交差点でエンジンが止まったから、バスがエンストしたかと思ったよ」と友人が笑っていたのが1980年代。今は環境対応面で周知されているアイドリングストップも、燃料節約という動機ではあったが西鉄バスではそのころもう取り組んでいた。今の夜行高速バスといえば、格安タイプを別とすれば独立3列シートは当たり前。でもこれを34年前に開発したのは西鉄バスの「ムーンライト号」だった。近年話題になっている貨客混載だって、西鉄バスの「バス便小荷物」はすでに長きにわたってそれに近いことをやってきているのである。

 九州を中心としており、東京や京阪神の人たちには馴染みが薄い西鉄バスなのですが、福岡市が「地下鉄網が張り巡らされるほど大都会ではなく、自家用車で移動するには駐車場や道路の混雑の問題がある」という規模の都市であるため、「便利な交通機関」として、長年地元の交通を支えてきたのです。九州全体の高速道路網の整備もあり、福岡市と九州各地の地方都市とを結んだり、福岡空港へのアクセスを便利なものにしてもきました。
 非接触ICカード乗車券システム「nimoca(ニモカ)」も僕の身の回りでは、多くの人が使用しています。

あわせて読みたい

「書評」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    独身でいる理由 男女の5割で共通

    ニッセイ基礎研究所

  2. 2

    コロナ春に収束向かう? 医師予想

    シェアーズカフェ・オンライン

  3. 3

    高額ギャラ原因?芸能界リストラ

    渡邉裕二

  4. 4

    詐欺横行の英国でワクチン接種へ

    小林恭子

  5. 5

    理にかなった皇居の関西移転論

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  6. 6

    ラブリから性被害 女性が告発

    文春オンライン

  7. 7

    二階氏に「引退して」と批判殺到

    女性自身

  8. 8

    医師が日本のワクチン報道に嘆き

    中村ゆきつぐ

  9. 9

    五輪中止なら湾岸タワマン暴落か

    NEWSポストセブン

  10. 10

    荒れるYahooコメ欄 仕方ないのか

    たかまつなな

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。