安倍晋三前首相の後援会が、「桜を見る会」の前日に主催した夕食会をめぐって、安倍氏側が2019年までの5年間に、費用の不足分として総額約916万円を負担していたことが、関係者への取材でわかった、と報じられています。
支払いを受けたホテル側が発行した領収書の宛名が、安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」だったことも判明しました。
多い年で約250万円とみられ、東京地検特捜部は、ホテル側作成の領収書や安倍氏側の提出資料を分析するなどして捜査を進めています。
安倍氏周辺が、特捜部の任意の事情聴取に、一部費用を補填したと認めていることもわかりました。
関係者によると、安倍氏は、夕食会の問題発覚後の昨年末、事務所に確認した際、秘書が「会費以外の支出はない」と回答。
この秘書は政治資金収支報告書に記載していなかったため、事実と異なる説明をした、とのことで、一連の経緯は、23日に安倍氏に伝えられたそうです。
安倍氏は、昨日25日、記者団に「事務所としては全面的に協力している。それ以上は今の段階では答えられない」と語りました。
この夕食会については、ホテルで5000円の会費ではできないのでは、と再三国会で答弁を求められていました。
当時の安倍首相は「参加者の大多数が宿泊者という事情も勘案し、ホテル側が設定した価格だ」と説明していました。
野党が明細書の提示を求めてもホテルの営業秘密を盾に拒み続けました。
一連の疑惑を全国の弁護士や学者などが告発し、東京地検特捜部が捜査していて明らかになったものです。
国会での野党からの追及に対して、安倍前首相は「私が話しているのが真実。信じていただけないなら、予算委員会は成立しない」とまで言い切っていました。
秘書が補填を明らかにしたのは、自分が全部罪を被ろうとしてだろう、と言われています。
安倍氏本人の立件は、具体的関与の証拠が必要で、難しいとされています。
それでも、あれだけ大きな問題になっていたのですから、秘書から支出はない、と言われても、きちんと帳簿を見るとか、調べようはあったのではないでしょうか。
また、国会で、虚偽の答弁をしたことになるのですから、国会で野党が要求しているように、首相を退いていても参考人招致に応じるべきだと思います。
菅首相も、官房長官として、「明細書の発行はなかったということだ」などと国会で答弁しているので、これも虚偽答弁と追及されることになりそうです。
政治資金規正法違反のほか、差額分の補填は寄付行為にあたり、公職選挙法違反にあたることも明らかとされています。
政治不信をこれ以上招かないためにも、対応を注目していきたいと思います。