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王毅外相何しに日本へ

 中国側は菅政権発足後、王毅外相を早期に訪問させたいと日本政府に打診していたらしい。米国の大統領選挙の結果、新たなバイデン政権が誕生するにあたり、米国と密接な関係にある日本との対話を重視したいからだと言われた。

 聞こえはよいが私から言わせれば日米同盟に楔(くさび)を打ち込むために来たのだと思う。文字通り敵中に攻め入って、勢力を二分しようということだ。

 一方、日本側は10月6日に「自由で開かれたインド太平洋」外相会議を日本で開き、中国に勝手なことはさせないとの強固な結束を見せ、菅首相もバイデン氏と電話会談を行い、更にオーストラリアのモリソン首相とも対面の首脳会談を行うなど強固な連携ぶりを中国に見せつけた。いわば王毅外相訪日前に周到な環境整備を進め、安全保障で日本は強硬路線を貫く姿勢を示したのである。

 24日、王毅外相との会談で、茂木外相は尖閣諸島周辺海域に関する日本の立場を説明し、中国側の前向きな行動を強く求めた。尖閣諸島周辺への領海進入など「力による現状変更の試み」を自粛するように求めたのだ。

 しかし、王氏は記者団の前で自国の立場を一方的にまくしたて、東シナ海の緊張は日本漁船に責任があるとした上で、尖閣諸島周辺海域に日本漁船に入るなと言わんばかりの暴言を吐いていた。茂木外相は私が通産大臣時代の政務次官、極めて優秀で、しっかりした政策を持っている人である。しかし、この会談ではもう一息といった感じだ。日本の立場を自信をもってはっきり言ってほしかった。

 そもそも、尖閣諸島は国際法に基づいた日本の領土である。明治28年(1895年)閣議決定で沖縄県に編入した当時をふくめ、中国が領有権を主張したことはない。昭和28年1月の人民日報は日本列島として扱ってきた。

 尖閣諸島の領有権を中国が主張したのは昭和44年に国連が、周辺に豊富な海底油田があると調査結果を明らかにして以降なのである。

 王氏は尖閣諸島について自国の主張を守っていくと述べ、「敏感な水域における事態を複雑化させる行動を回避するよう」日本側に求めた。あきれた話で盗っ人たけだけしいとはこのことを言うのだ。

 菅首相とも会談したが、「安定した日中関係が重要だとして、尖閣周辺で相次ぐ中国交船の航行に懸念」を伝えた。いかにも誠実な言い回し方だが、相手はしたたかな上に傲慢な連中だ。政権初の中国要人との来日なのだから、いたずらに融和に傾きすぎず、もっと毅然とした言い回しで、日本の対中姿勢を示すべきではないかと強く思った。

 王毅外相は何しに来たのか、むしろこの来日で、習近平主席の国賓招待などまっぴらごめんとの思いを多くの日本国民がもったのではないか。

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