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伊藤健太郎問題で考える、芸能人の不祥事に対する「正義感」が招くエンタメの劣化

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放送作家の深田憲作です。今回のテーマはズバリ「芸能人の不祥事」です。不祥事を起こした芸能人はネットで炎上し、ニュースでは叩かれ、やがてテレビから居場所がなくなる…。視聴者が失敗を許さないことで、エンターテインメントの世界に起きている歪な現実をお伝えします。

放送作家の深田憲作です。今回は「芸能人の不祥事」について書いてみます。僕がこの記事を書いているのは11月初旬。テレビでは俳優・伊藤健太郎さんのひき逃げ騒動が盛り上がりをみせています。(この記事が出ている頃にはすっかり風化していると思いますが…)

この件でニュースやワイドショーを見て僕なりに思ったことがあり、コラムに綴ることにしました。このコラムで僕に求められているのは「放送作家から見たテレビや芸能界についての見解」だと思います。そのため、これまではできるだけ放送作家だからこそ知りうる情報や分析を書いてきたつもりです。しかし、今回はかなり私的な記事となります。僕からの提案というか、お願いというか、願望というか…。たまにはこのような回もいいかなとも思いますので、どうか私的な記事にお付き合いいただけると幸いです。

尾崎豊を彷彿とさせる元欅坂46・平手友梨奈の魅力


突然ですが…私は欅坂46というアイドルグループのファンでした。ご存知のように、秋元康さんがプロデュースしていたアイドルです。「ファンでした」と過去形なのは10月13日をもって欅坂46は活動を終了したためです。現在は櫻坂46に名前を変えて活動をしています。

僕が欅坂46を好きになったのは楽曲・ダンスの世界観。そしてセンターの平手友梨奈さんという存在に興味を持ったことでした。楽曲は大人に対する不信感や人間の鬱屈・憂鬱などの負の感情を描いた内容が多く、「現代の尾崎豊」という言い方をされることもありました。僕はリアルタイムでは尾崎豊に触れていませんが、尾崎豊の楽曲は幼い頃から好きだったので、そのような世界観に惹かれる性分なのかもしれません。

楽曲だけでなく、平手友梨奈さんは立ち振る舞いも尾崎豊を彷彿とさせるところがありました。特に4thシングル『不協和音』でのパフォーマンスは圧巻の一言。ファンの間では『欅共和国2017』という単独ライブでのパフォーマンスは伝説とされているのですが、眼光とか表情とか色んな意味で衝撃映像でした。当時、彼女はまだ高校1年生だったのですが、何かが憑依していたとしか思えません。気になった方は、ライブDVD『欅共和国2017』をご覧ください。あの1曲を見るだけでも4630円出す価値はあるかと思います(笑)。

また、あるライブで披露された『ガラスを割れ』という楽曲でのパフォーマンスでは、1人で花道を疾走しながら踊り狂い、曲が終わった直後、フラフラになって花道から落下。そのまま病院に運ばれるということもありました。元々は花道を1人で疾走する予定ではなく、あれがアドリブの動きだったと聞いて驚愕しました。「あんなアドリブある?」と。「まるで鬼神だったぞ!」と。

尾崎豊もライブ中に高さ7メートルの照明器具から飛び降りて足を骨折したことがあるそうですが、尾崎豊さん同様、平手友梨奈さんもゾーンに入ると理性が飛んでしまうのかもしれません。

そのため平手友梨奈さんは、狂気の沙汰としか思えないパフォーマンスをする一方で、うつむき加減で終始覇気のないパフォーマンスの日もあるという、まさに「高低差ありすぎて耳キーンなるわ!since2017」を体現していました。(since2017はファンにしか分からないと思いますが)

彼女に対して「ちゃんとやれ!」と批判的なことをネットに書き込む一部のファンもいたようですが、僕は「いやいやいや、あれが面白いんやがな!」「分かってないな~」と感じていました。

1回1回のライブや歌番組がドキュメンタリーとして、面白かったんです。「今日はスイッチ入ってんな~」「今日は20点の日か~」と、同じ曲でもその一瞬一瞬を見る楽しさがあり、文字通り一挙手一投足から目を離せない、まさに本物のアーティストでした。

さらに、ドキュメンタリー映画を見て知ったのですが、平手友梨奈さんはミュージックビデオ(MV)の撮影に行かないということがあったそうです。高校生の女の子が大人でも震えるほど予算がかけられたMVの撮影を「気持ちを作ることができない」という理由で(おそらくですが)ドタキャン。結果、その曲は発売中止になってしまいました。面白くないですか? ムカつきますか? 僕は面白いですね。

いや、もちろん仕事をする人間としては絶対にダメだし、社会人として失格です。
僕も一緒に仕事をしていたら呆れるでしょう。でも、彼女は社会人ではなくアーティストですから(あくまで個人の意見です)。外野から見ている分には最高に面白いです。

だって勝新太郎さんの過去の映像を見ると、「絶対に仕事では関わりたくないな」と思いますが、見ている分にはめちゃくちゃ面白いですもんね。「これぞスター!」って思います。

芸能人は変人です。だからこそ面白い。もちろん、芸能人でも普通っぽいところが親近感を持たれたり、共感を生んだりすることも多くあると思いますが、芸能人になっている時点で基本的にみんな変人です。

だって、普通の人は録音した自分の声を聴くだけでも恥ずかしいですよね? 音楽の時間にクラスのみんなの前で歌うだけでも逃げ出したいくらい緊張しましたよね?

それが見ず知らずの大勢の人の前に出て行って、笑いを取ったり、歌ったり、演技をしたり、水着になって胸の谷間を見せたり、無駄に熱いお湯に入ったり…(これはD川さんとDチョウ倶楽部さんだけか)
自分の意志でそれらを行う芸能人という生き物は変人です。変人だからこそ僕らを笑わせてくれたり、感動させてくれたりするわけです。

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