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人口の10%の富裕層が富の84.6%を支配する中国~マグマのような大衆の怒りが発火する可能性

中国温家宝首相一族の蓄財を報じた10月26日付け米紙ニューヨークタイムズ記事はセンセーショナルな内容でした。

Billions in Hidden Riches for Family of Chinese Leader

By DAVID BARBOZA

Published: October 25, 2012

http://www.nytimes.com/2012/10/26/business/global/family-of-wen-jiabao-holds-a-hidden-fortune-in-china.html?pagewanted=all&_r=0


 「温家宝が(副首相から首相へと)指導者の職務に就いた瞬間、彼の多くの親族は富豪に変わった。妻、息子、娘、弟なども含まれ、彼らは少なくとも二十七億ドル(約二千百五十億円)の資産を蓄えた」

 記事によれば、特に彼の夫人は「ダイアモンドの女王」("China’s ‘Diamond Queen’")との異名を持つほど蓄財に熱心であり、また一人息子も巨万の富を得ているとの事です。

 記事の内容が余りに細かく具体的であることから、これは中国国家中枢の権力闘争によるリークではないか、すなわち薄熙来解任に対する保守派勢力の報復ではないかとも囁かれています。

 それにしても首相一族が2000億円以上もの隠し蓄財("Billions in Hidden Riches")疑惑が報道されたわけです、普通の国なら例えば日本なら政権が吹っ飛ぶぐらいのスクープ記事のはずですが、中国ではこの記事が騒がれることは現在までほとんどありません。

 それもそのはず上記記事は中国国内からは参照すらできません。

 結果かえって目立つのが相も変わらぬ共産党政権の情報統制です。NYTの記事もそれに関連する話題も中国大陸で目にできません、情報統制を担っている共産党の宣伝部という組織の力量がうかがえます。

 今回の温家宝一族の蓄財リーク記事ですが、2000億円という額に驚かされるのですがそれでも「氷山の一角」であるといった指摘は多いのです。

 他の幹部も金額の大小はありながらほぼ同様の蓄財をしているのだと言われています。

 以下の日経記事によれば、米テキサスA&M大学のガン・リー教授の調べでは、中国は人口の10%の富裕層が富の84.6%を支配する「混乱の続くアフリカぐらいでしかみられない不平等な社会」だとの指摘があります。

 次期首相が内定している李克強副首相は9月末、政府幹部らを前に「所得の再配分に社会の関心が集まっている」と熱弁を振るいましたが、所得分配改革は温家宝首相が8年かけても果たせなかったことです。

中国党大会開幕、習氏が引き継ぐ「重すぎるバトン」

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL080J0_Y2A101C1000000/?dg=1


 習体制が直面する課題は山積しています。

 胡時代は成長一辺倒ではなく調和のとれた経済運営を目指す「科学的発展観」を掲げました。

 しかし、実際には格差はさらに広がり、汚職は社会の隅々にまで拡大したのです。

 例えば、最近も広東省で月給1万元(約12万円)の地方官僚が21軒もの住宅を所有していることが発覚、胡総書記は活動報告で「党は大衆から遊離する危険に鋭く直面している」と述べ、汚職対策の必要性を強調しましたが、腐敗する汚職の裾野の広がりはとどまる所を知りません。

広がる格差・汚職… 中国次期指導部は課題山積

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM08029_Y2A101C1EB1000/


 今週発売された週刊文春の記事によれば、中国の権力闘争はもはや情報戦という生やさしいものではなく、爆弾の投げ合いの様相なのだそうです。

温家宝2150億円だけじゃない!

中国共産党「腐敗貴族」蓄財リスト   城山英巳

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/1996


 文春記事によれば、左派が狙う次のターゲットは次期首相・李克強副首相なのだそうで、李の実弟が国家煙草専売局副局長で利権を握っているのはおかしい、とする情報が相次いでいるとの事です。

 文集記事は、共産党指導部は「やられたらやり返す」という泥沼の権力闘争に突入した可能性が高い、と指摘しています。

 拡がる格差ととどまることのない汚職腐敗、汚職がはびこり既得権益層が至るところに立ちはだかる現状について、中国の著名エコノミストの呉敬レン氏は中国誌に「経済や社会の矛盾は限界に達しつつある」と語っています。

 文春記事は「むちゃくちゃな状態で習近平体制が始まる。今後何があってもおかしくない」(党関係者)の発言で結ばれています。

 ハーバード大学のロデリック・マクファーカー教授は香港紙に「習氏のことを考えると心配になる。どう活路を見いだすか、わたしにはわからない」と語っています。

 膨らみ続ける不満のガスに「政治」が揺らぐ気配はかつてなく大きいようです。

 外国メディア等を利用した不正蓄財などのリーク合戦が今後も続くとするならば、共産党宣伝部の情報統制にも限界があるかも知れません。

 多くの貧しい人民が、共産党幹部の巨額の蓄財を知ったとき、そして人口の10%の富裕層が富の84.6%を支配する中国の不平等な現状に気づいたとき、取り返しのつかないマグマのような大衆の怒りが発火するかもしれません。

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