
[東京 25日 ロイター] - 自民党財政再建推進本部の「安全通貨『円』の将来に関するプロジェクトチーム」(座長:宮沢洋一参院議員)は25日までに中間報告を取りまとめた。円はこれまで安全通貨とされてきたが、新型コロナ対応などの帰結として財政的な危機が発生する場合には急落し得ると指摘し、中期的な財政健全化の必要性を説いている。
プロジェクトチームは2019年11月以降、国際金融市場の有識者の意見を聞く形で議論を進めてきた。24日に取りまとめた提言では、円は東日本大震災など市場がリスクオフに傾くと高くなる傾向にあるものの、日本は人口減少に伴う経済成長の鈍化や高齢化、貿易黒字の縮小で中長期的には円安トレンドにあると指摘。「人民元など他の主要通貨が安全通貨としての地位を確立した場合、円の安全通貨の基盤が毀損され得る」と警鐘を鳴らしている。
具体的な政策対応として、1)コロナ感染拡大防止と社会経済活動の両立、2)生産性を高め経済成長につなげる、3)格差拡大や世代間の公平性の確保などを踏まえた社会保障の給付と負担の在り方──について議論が必要としている。
(竹本能文)