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私が新立憲民主党を全く期待していない理由 〜アイデンティティの政治の罠にハマったリベラル政党〜

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元経産省官僚の宇佐美典也さんに「私が○○を××な理由」を、参考になる書籍を紹介しながら綴ってもらう連載をスタートします。第1回のテーマは、9月に“新党”として再出発した立憲民主党について、「全く期待できない」というその理由。このままいけば立民党の存在が原因となって、日本も、アメリカ合衆国の大統領選で見られたような「分断」へ進んでしまいかねないといいます。


どうも宇佐美です。

いきなりですが、私は国民民主党の大部分の議員と立憲民主党が合流して2020年9月に誕生した新党「立憲民主党」(自分で書いていて何を言っているか分からない)に全く期待していません。これは論理的帰結というより一部の同党所属議員の言動に対する嫌悪感に近い感情に基づくものです。これまではラジオや報道番組でレギュラーコメンテーターを務めているという立場上、一縷の期待を捨てていなかったのですが、合流後も相も変わらず「野党合同ヒアリング」に血道を上げ、衆前で官僚を吊し上げる姿を見て、自分の中でプツリと糸が切れました。

国民から直接選ばれ国政調査権という強い権力を持つ国会議員と、役所の業務の一部を職務として分掌しているに過ぎない役人の関係というものは「上下関係」といっても差し支えない関係ですから、多数の国会議員が役人を強い口調で詰問し、膨大な調査を求め、なおかつ自分たちの主張に相容れない説明をする官僚を人格否定に近い言葉で貶め、それを公開放送する、というのはパワハラそのものでしょう。なお厚労省の定めるパワハラの定義は

  • ①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  • ②業務の適正な範囲を超えて行われること
  • ③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

というものです。中央省庁の職員には、私の知る範囲でもこの野党合同ヒアリングの対応の負荷に耐えかねて、実際に心を病むものが出てきており、同ヒアリングの進め方はもはや人権侵害の域に達していると言ってもいいでしょう。たとえ彼らの「国家の不正を暴く」という目的が正しかったとしても、むしろ目的が正しいからこそ、それを達成するプロセスは正当なものに拘るべきと思うのですが、立憲民主党は野党合同ヒアリングを見直す気は全くないようです。

こういうことを言うといわゆる「リベラル」と呼ばれる方々から、「宇佐美は政府・与党にしっぽを振って見苦しい」などと批判されるわけですが、私は別に与党を支持しているわけでも、過去数回の選挙で自民党に投票したというわけでもありません。むしろ私は社会に変革を求めていて、本来野党には大きく期待する立場です。実際生まれ変わった国民民主党には提案型野党として大きく期待しています。

ただ確かに批判・糾弾するだけではそれこそ彼らと何ら変わらないので、このコラムでは「なぜ立憲民主党がこのようなパワハラまがいの批判、糾弾を繰り返す野党になってしまったのか」ということについて、少し掘り下げて、彼らが向き合うべき本来の課題というものを私なりに考えてみようと思います。

「あなたのための政治。」具体的にビジョン示せぬリベラル政党

まず、党の顔ともいえる立憲民主党のHPを見ると、トップページに大々的に立憲民主党の目指す政治というものの理念が書かれています。曰く「あなたのための政治」です。中身を見てみましょう。

立憲民主党HP

「あなたのための政治」それは、命を脅かされることなく、誰もが安心して暮らせるための政治。それは、「自助や共助」では、どうにもならない人を救うための政治。それは、コロナ禍で補償なく自粛を要請され、店を閉める決断をした人のための政治。

それは、都市部だけでなく、地域に暮らすすべての人を守るための政治。それは、性別や個性から生まれている不平等をなくしていくための政治。それは、愛し合うパートナーと、誰もが自由に結婚できるための政治。それは、「票につながらないから」と、おざなりにされてきた若者の未来のための政治。それは、政権や国が主役なのではなく、この国に暮らす一人一人を主役にする政治。今こそ、あなたのための政治を、立憲民主党が取り戻します。

https://cdp-japan.jp/

これを読んだ多くの人が感じるのは「誰に対しても良い顔しようとしてるんだろうけど、結局何をしたいの?『あなたのための政治』なるものの内容を具体的に提示してほしい」というシンプルな疑問だと思います。メニューに「シェフのおすすめ料理」しかないレストランのようですね。これだとシェフに強い信頼を置いている常連客以外の客をつかむのが難しいわけで、それが彼らの支持率の伸び悩みにつながっているんだろうと思います。大抵どの調査を見ても消極的支持も含めた立憲民主党の支持率というのは10~13%程度です。なお比較のために自民党のHPを見ると、タグの一つ目に「重点政策」が掲げられており、そこからトップダウン型に「何をしたいか」が見えてくる構造になっています。彼らの政策重視の姿勢が見えてきます。

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