第三者から卵子や精子の提供を受けた生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を明確化する民法の特定法案が、20日の参院本会議で可決され、参院を通過しました。衆院に送付され、今の国会中に成立する見通しです。
法案は、自民、立憲民主、公明など6党が、議員立法として共同提出しました。女性が自分以外の卵子を使って出産した場合、卵子の提供者ではなく、出産した女性を母とする。妻が夫の同意を得て、夫以外から精子の提供を受けて妊娠した場合、提供者ではなく夫を父とする。ということが、柱になっています。
現在の民法は、第三者が絡む生殖補助医療による出産を想定していず、生まれた子どもの法的な身分の補償がない等から、法整備の必要性が指摘されていました。
私が国会議員をしていた時も、超党派の勉強会を作り、当事者の意見も聞きながら、法整備を試みましたが、どこまで生殖補助医療を認めるかという根本を解決しないと進めることが、できせんでした。
今回は、一歩前進ではありますが、根本の議論を是非していってもらいたいと思います。
また、今回の法案は、課題である、生まれた子が提供者の情報を得る「出自を知る権利」などが認められていず、精子提供で生まれた子の団体や日弁連などから批判が出ています。
2003年に厚生労働省の生殖補助医療部会は、一定条件で卵子・精子提供を容認すると同時に、15歳以上になった子が希望すれば提供者の情報を開示請求できる法制度の整備を求める報告書をまとめました。それを受けて、私たちは議論したのですが、反対意見が与党の中で強く、まとまらないまま約20年も過ぎてしまいました。
また、代理母に産んでもらった子の母として認めてほしい、という訴えを受けて、そのことも議論していました。今回の法案には、その点も入っていません。
岡山大の調査によると、生殖補助医療に関する包括的な法律が「必要」と考えている人が71%に上ることがわかったことも、報じられています。
生まれた子の「出自を知る権利」を認めるべきと考える人は65%に上りました。これを一歩として、さらに生殖補助医療の法整備を進めて、もらいたいと思います。夫婦の約15%が不妊というデータもあるのですから。