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高嶋政伸vs美元、離婚裁判、第一審勝訴の意味

俳優の高嶋政伸(46)と妻でモデルの美元(みをん=33)の離婚裁判で、東京家裁(小林愛子裁判官)は9日、原告の高嶋側の主張を認め、「2人の関係は破綻しており修復不可能だ」として、離婚を命じる判決を言い渡したました。僕は、この判決は、日本の司法が、離婚認定において「実質主義」にアクセルをさらに踏み込んだ、という点で極めて重要な判例になったと思っています。

ご存知のように、妻の美元さんは、夫の政伸さんが、暴力をふるい、浮気をしたと主張していましたが、それでも離婚したくない、とも主張し続けていました。そんなに夫がひどい男なら別れればいいのに、と庶民は思うかもしれませんが、夫が高額所得者の場合は、こうした法廷戦略は極めて一般的なものであり、なんら不思議ではありませんし、美元さんは自らの当然の権利を主張しているだけであり、なんら責められるものではありません。この辺の離婚裁判のカラクリに関しては、以下のバックナンバーでくわしく解説しました。

週刊金融日記 第29号 本当に怖い高給サラリーマンと専業主婦の離婚

妻が、夫のこうした不法、不貞行為を徹底的に追求する一方で、それでも夫を愛していて別れたくない、といいつつ別居して、会話するのさえ全て弁護士を通さなければいけない、というのは離婚裁判の基本のキですね。そうすることによって、妻は自由を得ることができ、将来のコンピを受け取り続けることができるわけです。

さて、日本の離婚裁判では、長らく有責配偶者からの離婚請求は認められないことになっていました。簡単に言えば、愛人と家を出ていった夫からの離婚請求は認められないのです。もちろん、日本のような先進国では、愛人と家を出ていくのはもちろん自由です。夫の方が妻よりも所得が高ければ、コンピの支払い義務が生じてしまうので、このコンピを割りきって支払い続ければいいだけです。ただ、法的に離婚は認められませんでした(それゆえにコンピが免除されることもありません)。

こうした状況を変えた画期的な判決が、昭和62年9月2日、最高裁により出されました。夫が愛人と生活を始めてから36年経過した後に離婚を請求したのですが、この事案において、最高裁大法廷は、

1.夫婦の別居が、当事者の同居期間などと比べて相当長期である
2.夫婦間に未成熟の子がいない
3.妻が離婚により経済的に過酷な状況に置かれない

という3つの要件を満たせば、実質的に婚姻関係が破綻している場合は、有責配偶者からの離婚請求も認められる、としたのです。

以後の実務においては、裁判所の「相場」は、有責配偶者からの離婚請求は、別居期間が10年、つまりコンピを10年ぐらい払い続ければ認められる、という感じでした。また、有責性が認定されなかった場合では、5年ぐらい別居してれば、「実質破綻状態」と認定されることが多かったです。

ところが、です。今回の判決では、別居期間2年3カ月という、驚異的なスピードでの離婚に、裁判所がゴー・サインを出したのです。ワイドショーや女性誌などが、政伸さんサイドに好意的な報道をしていたなどの影響もあるかもしれませんが、判例は判例です。これで日本の離婚裁判が、実質的に婚姻関係が破綻していたら、どちらが悪いかによらず離婚を認めようという「実質主義」に大きく傾いたことは間違いありません。

さて、今週号のメルマガでは、今回の判例を受けて、恋愛工学に基づく結婚のプライシング・モデルの修正と、今後の美元さんサイドの法廷戦略に関して論じたいと思います。

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