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高齢者や障がい者こそが地域で役割を持てるような有機的なつながりのある社会を - 「賢人論。」126回(前編)石破茂氏

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1986年に全国最年少議員として初当選して以来、防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、自由民主党政務調査会長、自由民主党幹事長、地方創生・国家戦略特別区域担当大臣を歴任した衆議院議員・石破茂氏。言わずと知れた政界屈指の論客で政策通である。「国民に勇気と真心を持って真実を語る」ことを信条とする同氏に、政治家としての意外な“原点”と、超高齢社会である日本が目指すべき地域社会のあり方について語っていただいた。

取材・文/木村光一 撮影/荻山拓也

亡き父も尽力した厚生にかかわりたかった

みんなの介護 石破さんといえば、防衛大臣や農林水産大臣を歴任されていましたので、農水や国防のエキスパートで、かつ強い信念を持った政治家という印象があります。

石破 ありがとうございます。確かに政治姿勢は変わっていませんが、当選2回の頃に厚生の仕事に取り組みたくて、社会労働委員会の理事を務めていたことがありました。

みんなの介護 それは意外です。どういった理由から厚生の仕事をしたいと考えたのでしょうか。

石破 40年前に亡くなった私の父親が鳥取県八頭郡(現・八頭町)の農家の出身で、もともと「貧しい人たちのために働きたい」と苦学して官僚を志した人でした(注:石破二朗氏。内務・建設官僚を経て政界へ転身。参議院議員、鳥取県知事、鈴木善幸内閣で自治大臣兼国家公安委員会委員長を歴任)。

まだ内務省と厚生省が分かれていない時代に、父が最初に配属されたのが内務省社会局保険部だった。そんなこともあって、私も厚生にかかわる仕事をしてみたいという思いを抱いていたわけです。

「寝たきり老人」がいない北欧の介護施設

石破 もう30年ほど前になりますが、福祉先進国といわれるデンマークやスウェーデンの医療や老人介護施設の視察に行きました。

そのとき最も印象に残ったのが、「寝たきりの老人がいない」ということ。1人あたりの居住スペースも余裕があって、とてもお洒落な造りでした。入居者それぞれが納得して終の住処での暮らしを楽しんでいる。そんなふうに感じたのを覚えています。

みんなの介護 ご自宅ではなくても、利用者がゆったりと暮らすことのできる環境はとても重要ですね。

石破 はい。国家の仕組みも含めて、北欧の福祉施策には感心させられました。しかしだからといって、日本も同じような福祉国家を目指せるかというと難しいと考えざるを得ませんでした。

まず前提として、スウェーデンと日本では人口や高齢者が占める割合がまったく違う(注:2019年の日本の人口が1億2,600万人に対し、スウェーデンは1,027万人)。もっと言えば、スウェーデンでは1930年代から社会保障の制度づくりが始まっていて、その財源である消費税の導入も1960年から開始。さらに、福祉水準引き上げに伴う大幅な増税が段階的に行われた結果として、私が現地で目にしたような状況ができあがったわけです。

一方、その頃の日本はというと、やっと消費税の議論が始まったところでした。仮に、ただちに高福祉・高負担の国へ転換を図ったとしても、その実現は遥か先。高度成長期にそちらへ舵を切れば実現できたかもしれませんが、いずれにせよ、歴史や宗教観を基盤とした暮らしや文化的背景も大きく異なります。北欧の福祉施策には見習うべきものがある一方で、「このモデルこそがお手本だ」と手放しで礼讃する気持ちにはなれませんでした。

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