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コント師・劇団ひとりが語った“葛藤と転機” 「全部目立とうとする」のをやめた理由 NHK「コントの日」劇団ひとりさんインタビュー #1 - 西澤 千央

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 年に一度、生粋のコント師がNHKに集結してお茶の間に笑いを届ける、それが「コントの日」。ビートたけし座長のもとに、劇団ひとり、東京03、ロッチ、ロバート秋山……錚々たる芸人たちが集い、ときに世の中に鋭く切り込みながらコントで今の笑いを表現する。初年度からこの“祭り”に参加し、なくてはならない存在となっている劇団ひとり。ビートたけしに憧れて芸人を目指した異能の人は、「コントの日」にどんな夢を見ているのか。(全2回の1回目/#2へ続く)

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劇団ひとりさん

◆ ◆ ◆

今の「世の中」を取り入れてて、シニカルにエッジを利かせてる

――テレビでコント番組が成立しづらい中、11月23日放送の「コントの日」は劇団ひとりさんにとってどういう存在なのか、どういう意味がある番組なのか。今日はお伺いできればと思っています。

劇団ひとり(以下、ひとり) 今年で3回目なんですけど、自分の中ではちょっと年中行事化してきて。「あ、来たか、『コントの日』の時期が」って、そういう感覚になれたことがすごいうれしかったですね。甘い考えかもしれないけど、ずっと続いていくんじゃないかなっていう気もしています。NHKさんも本当に力を入れて『コントの日』を愛してくれてるから。

――「コントの日」のコントは、最初に見た時と、もう一回見返した時と、また新たな発見があるのが面白いですよね。実は社会状況を皮肉っていたり、風刺が効いていたりする。

ひとり よく気が付きましたね(笑)。ほんとにそうなんですよ。始まった当初から、ただ面白きゃいいとか、そういうのとはちょっと違うんですよね。必ず今の「世の中」を取り入れてて、シニカルにエッジを利かせてる。かなり高尚なものをやろうとしてますよ、いつも。ネタを作ってる方々は「どうやったら面白いコントができるだろう」の前に、必ず一個「世の中」を入れるというのを枷にされてるんじゃないですかね。

コメンテーターは「結局誰でもできんじゃねえの?」

――今までの作品の中で、特にそれを感じたコントは?

ひとり 僕は出てないけど、例えば「食パン」のコント。何でもない食パンをそれっぽい包装に入れてそれっぽい名前を付けて高く売りつけるっていうコントです。僕ら消費者が踊らされてるってそういうことだよな、みたいな。ちょっとハッとする。

――確かに。

ひとり 今回なんかは、『コメンテーター』っていうネタがあって、ネタばらしにならない程度に言うと、結局コメンテーターなんか誰でもできるんじゃないの? みたいな。それって、何なら僕ら演者にもその矛先が向いている。芸人も偉そうな顔してテレビで政治がどうだとか語ったりしてますけど、「結局誰でもできんじゃねえの?」って。まあ、僕らっていうか(カンニング)竹山さんにですけどね(笑)。

「不祥事を起こしたタレントを画面から消す」コント

――思わぬ流れ弾が(笑)。

ひとり そこら辺はちゃんと嫌味を利かせて。かといって、説教くさくなく。サラッとやってます。「こういう思いを伝えたい」が前面に出ちゃうと冷めますから。そこら辺をうまいこと隠し味程度に。気づかれる方もいらっしゃるけど、大半の方は気づかない。

――昨年ひとりさんがやられていた「不祥事を起こしたタレントを画面から消すという編集スナイパー」もそうですよね。

ひとり そうです。僕らはどっちかというと普段消される側ですからね。今のところ、まだその矢面に立ってないだけで。

――「コントの日」の中での劇団ひとりさんは、どんな役割を担っていると考えていますか?

ひとり コントによって変えてます。これはもう僕がメインのネタで笑いを取らなくちゃいけないんだなと思った時は振り切ってやるし、そうじゃない、他の人がメインの時は、その人の笑いが一番際立つようにやるにはどうしたらいいか考えるし。

収録中、カメラには映らない「お付き合い」をする文化

――今日、収録を見学させていただきましたが、例えばたまりにいらっしゃる時に演者だけでの練習の陣頭指揮を取っていたり。ハナコの秋山さんソロのシーンでは、自分はカメラに映らないのにそのまま立ち位置にいたり。この座組みのリーダーのような役割を果たしていらっしゃるのかなと。

ひとり カメラには映ってないんだけど、「お付き合い」をするという文化があるんですよ。カメラ横でね。あれやるとすごい感謝されるの。

――打算(笑)。

ひとり はい(笑)。だから、必ず僕はやるようにしてる。そうすると、演者もそうだし、スタッフウケもいいんですよね。そういえば、今日は特に(ハナコ)秋山からお礼はなかったな。でもまあ、内心は感謝してるだろうと(笑)。

 僕ね、役所広司さんと共演した時にそれやって「ありがとう」って言われたんですよ。「ひとりさん、どうもありがとうございます」って。本当は、たまたまめんどくさくて動いてなかっただけなんですけど。

――(笑)。

ひとり 僕ベンチに座ってる役で、「めんどくさいな」と思ってそのままじっとしてたら、たまたまお付き合いの形になっちゃって。「ああ、こういうのって大事なんだな」と思って、それからは(お付き合いを)するようにしてますね。

――なるほど。リーダーとして振る舞っているというよりは……。

ひとり とにかく愛されたい、感謝されたいっていう思いで生きてます(笑)。

「たけしさんの横に座りたい」という思いはたぶん誰よりも強い

――全員トークのコーナーでは、ひとりさんは「たけしさんと他の演者さんをつなぐ役」をされているように見えます。

ひとり そうですね。早めにたけしさんの横に付いて、それをすごくアピールしました。スタッフに「たけしさんの横にはひとりを置いておいたほうがいいね」っていうのを早めにアピールしておきたくて。スタジオ入りした時からすぐ、たけしさんと世間話をしている風景をスタッフに見せて、「あれはちょっと信頼置けるね」っていう(笑)。

――実際一視聴者としても、なんかとても安心します。

ひとり やっぱり僕はたけしさんが好きだから、たけしさんの横に座りたいという思いはたぶん誰よりも強い。その自負はありますからね。

 だって、そもそも僕がこの世界に入ったのは『ひょうきん族』ですから。その人と一緒にコントやってるって、こんなありがたいことはないんです。夢みたいですよね。

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