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民主党政権とは何だったのか

「悪夢」のはずが「少し良いことあった」 安倍前首相、旧民主党政権を評価(毎日新聞)

 安倍晋三前首相は16日、東京都内で、かつて民主党に所属した自民党衆院議員の長島昭久氏の政治資金パーティーに出席し、「もっぱら私は民主党は批判の対象にしかしなかったが、少し良いことがあった。例えば武器輸出三原則の緩和だ」と述べ、旧民主党政権を評価した。安倍氏は首相在任中に民主党政権を「悪夢」とたびたび批判してきた経緯がある。

 民主党政権は2011年、武器や関連技術の輸出を原則として禁じた武器輸出三原則を緩和。同三原則は14年、第2次安倍政権のもとで防衛装備移転三原則に変わった。安倍氏はパーティーのあいさつで、民主党政権による三原則緩和について「それをベースに安倍政権になって新しい三原則を作った」と説明した。【遠藤修平】

 安倍前首相が故・民主党政権を評価したとのことですが、いかがなものでしょうか。確かに武器輸出三原則の緩和は民主党政権下で行われたとして、それを民主党支持層が評価しているのかどうか興味深いところです。とりあえず高校無償化を朝鮮学校を外す形でスタートさせたり尖閣諸島の国有化や消費税増税を決めるなど、民主党政権の遺産は安倍内閣にも少なからず引き継がれており、その点では「少し良いことがあった」のかも知れませんね。

 「小泉構造改革路線を忠実にやっているのは民主党だ」とは、当の小泉純一郎の発言です。ともすると自民党は民主党政権に否定的と思われがちですが、当時から民主党政権に肯定的な言動を取っていた人がいなかったわけではありません。例えば河野太郎なども民主党の事業仕分けを指して「正直うらやましい。もっと厳しくやって」「オレにやらせろという気持ち」と賛辞を尽くしていました。

 もっとも、当時は自民党に所属していた小池百合子などは「中共の『日本解放工作要綱』にならえば、事業仕分けは日本弱体化の強力な手段」などと語っていたわけで、自民党内でも小泉・河野など民主党肯定派もいれば、否定派もいたことが分かります。河野太郎と小池百合子、同じ党に籍を置いていたもの同士で何故に見解が180°異なったのか、この辺は面白いところです。

 民主党政権は安倍晋三の言うように悪夢だけれど少し良いことがあったのか、それとも小泉純一郎や河野太郎が言うように自民党が羨むような薔薇色の時代だったのか、あるいは小池百合子が言うように中共wの工作で日本弱体化が図られた時代だったのか――果たして民主党政権とは何だったのでしょうね。

 政策的には小泉構造改革路線を引き継ぐものではあったと思います。この点では小泉純一郎や河野太郎の評価が(それを肯定的に受け止めるか否定的に受け止めるかはさておき)概ね正しい印象です。付け加えるなら、民主党政権は「公正な」代物であったと言えるでしょうか。政策は別として公正さにおいては、自民党政権から顕著な変化がありました。

 政党とは少なからず支持層との「しがらみ」があって、必然的に支持基盤の利害を代弁することを期待されるものです。地域の代表者として地元に金を引っ張ってくる、今は少なくなりましたが昔はそういう政治家がたくさんいました。業界団体の支持を得て、その業界を不毛な競争から守るべく活動する議員だっています。では多数派労組を支持母体とする民主党政権はどうだったでしょうか?

 「安倍政権とは違って」春闘に介入しないことで労組の主権を最大限に尊重したと言えないことはありません。ただ労組の組合員のために民主党が便宜を図ってきたかと言えば、それは真逆だったわけです。支持層である労働組合――を構成する組合員に利益を誘導するような政策は民主党政権下では垣間見られず、むしろ企業寄りでさえありました。企業からの献金は専ら自民党>民主党でしたが、だからといって民主党が雇用側に厳しく出ることはなかったのです。

 労働組合を支持基盤とする党であるにも関わらず、そこに贔屓目がなかったのは民主党政権の公正さの表れだったと言うほかありません。逆にライバル政党への献金額が自党へのそれを上回る財界への配慮も欠かさなかった点は、自民党と民主党との明確な違いではなかったでしょうか。支持層への利益誘導は一切行わない、それが民主党政権の特徴でした。

 離合集散を繰り返す民主党系の諸派閥はしばしば「リベラル」という言葉と共に語られます。これが実態に合致しているかは別問題なのですが、ともあれリベラルな党としてのイメージを託されており、それゆえに毛嫌いする人もまたいるわけです。では「リベラル」を毛嫌いする極右層を民主党が嫌っていたかと言えば、この点でもまた「公正さ」があったように思います。

 その現れの一つが安倍晋三の挙げた武器輸出三原則の緩和であり、朝鮮学校の無償化除外や尖閣国有化と続くのではないでしょうか。民主党は公正であるが故に、自身を「リベラル」と思い込んで毛嫌いする層にも配慮した政治を行ってきたわけです。民主党そのものは右派層からは嫌われているけれども、民主党は右派を嫌っていない、党を嫌う右派層にも喜ばれるような政策を心がけてきた――それが民主党政権であったと言えます。

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