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菅首相の「自助・共助・公助」は正論 奮闘する経営者たち

菅義偉首相は所信表明で、「私が目指す社会像は、『自助・共助・公助』そして『絆』です」と演説した。しかし「自助」について「批判」や「曲解」がなされるのも目にした。

一方で、コロナ禍で厳しい年末を控える中、「自助」の精神で奮闘する経営者と会った。先日、ニッポン放送で対談した、ミシュランにも輝くイタリアンのオーナーシェフの村山太一さんは、『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』を出版した。

生産性の高さで有名なサイゼリヤでアルバイトをし、そのノウハウを自らの店に生かす経営で、コロナ渦でも黒字を確保している。彼と話していた気がついたことは「PDCA(継続的業務改善)」のはやさだ。とくに、いいものは「丸パクリ」して試していると言っていた。こうした「自助」の姿勢には共感する。

ベテラン経営者にも「自助」を貫く方がいる。先日、日本一の名旅館として知られる「加賀屋」(石川県)の相談役小田禎彦さんにお会いした。36年間日本一にある有名旅館も、その昔は、当時日本一だった旅館で社員研修をしていたという。経営者だけが「頑張ろう」と思うだけでは日本一になれず、ベテランの仲居さんが「私たちも日本一になろう」と言い出したときがすべての転機だったと振り返る。

現在も商品やサービスが「日本一かどうか」従業員同士で突き合わせ、意識を高めているという。小田さん自身もいまだ毎日、顧客のアンケートに一行一行、目を通し「改善」を繰り返している。

飲食店と観光業、2人ともコロナ禍で大打撃を受けているのに「国に助け欲しい」といった趣旨のことを口にしなかったのが印象的だ。

木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が大八車を1人で押していたら、「後ろから自然と人が、助けてくれた」という伝説がある。「助けてください」と「助けてあげたい」は大きく違う。わが半生も、10歳で母の他界や父の会社の清算があったが、何事も「まずは自助」ありきだった。

菅首相の「自助」の発言に野党やメディアが批判的だったのは現在の日本を象徴している。しかし日本は、社会主義国家ではない。自由主義であり、競争社会の仕組みで成り立っている。「自助」があってこそ、ともに助け合う共助と、公助(セーフティーネット)がある。

財政状況からみても、日本は「自助」なしでは乗り切れることはない。コロナ禍で、60兆円の予算を赤字国債で捻出した。共助と公助だけなら、財政が成り立たず、破綻に一直線になりかねない。野党が必死になる学術会議の議論もいいが、「自助」の言葉の意味は、正しく理解されるべきだと思う。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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