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創業者は“ホワイト企業”自慢をしていたが…「富士そば」残業代未払い提訴 - 森岡 英樹

 首都圏を中心に国内120店舗以上を展開する立ち食いそば店「名代 富士そば」で、“勤務記録の改ざん”が明らかになった。

【画像】「週刊文春」が独自に入手した“改ざん記録”

「労働組合に加盟する係長や店長ら18人が11月13日、会見を開き、過去2年分の残業代未払い額計約2億5000万円を求める労働審判を申し立てました。労組によれば、月200時間を超える残業が続き、心の病を発症すると、降格させられるケースが相次いだそうです」(社会部記者)

 さらに、運営会社ダイタンディッシュの役員が今年5月、従業員が勤務した日を、雇用調整助成金の申請対象となる「特別休暇」と書き換えるよう部下に指示していたことも発覚した。

「富士そばと言えば、パートやアルバイトにも有給休暇を与え、ボーナスや退職金も支払う“ホワイト企業”としても知られていました。それが、トップの経営理念でもあったはずですが……」(金融機関幹部)

 グループを統括するのは、ダイタンホールディングスの丹道夫会長(84)だ。

「丹氏の口癖は『人はみな平等』。幼い頃に継父からイジメを受けたり、八百屋で丁稚奉公をするなど、苦労した経験からそう思うようになったといいます。20代の頃に友人と経営した不動産会社で“ひと儲け”しますが『こんな商売は麻薬だ。地道に日銭を稼ぐ仕事をしたい』と一念発起し、36歳で富士そばを創業しました」(同前)

 以降、“そば一本”で年商100億円の一大チェーンを築き上げていく。

社長を退いても会長としてホワイトぶりをアピール

「富士そばの特徴は、店長の裁量が大きく、店舗の客層に合わせて異なるメニューを展開している点。コロナ前までは、『富士そば』の名前から外国人観光客にも人気でした」(同前)

 富士そばではBGMに演歌が流れているが、丹氏の趣味は演歌の作詞。ペンネームの「丹まさと」名義で、五木ひろしに詞を提供したこともある。かつて筆者の取材には「作詞した曲が紅白歌合戦で歌われるのが夢」とも語っていた。


©iStock.com

「丹氏は15年、80歳になったのを機に、息子・有樹氏に社長を譲っています。ただ、以降も会長として『ブラック企業は損している。ちゃんと待遇を良くすれば、みんな働く』『社員をランク付けする成果主義は絶対にやらない』とメディアで語るなど、自社のホワイトぶりをアピールしていました」(同前)

 だが今回明らかになったのは、その言葉とは裏腹の実態だ。「週刊文春」も独自に“改ざん記録”を入手(写真参照=ダイタンHDは「以前からの悪しき風習であり不適切な取扱い」などと回答)。残業代未払いは“浪花節”では済まされない。

(森岡 英樹/週刊文春 2020年11月26日号)

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