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「姑息すぎる」コロナ便乗リストラ&賃金カットは許されるのか

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コロナの感染拡大が止まらない中、「人件費削減目的」ともとれる働き方改革を実施する大企業が増えている。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「ジョブ型の賃金制度導入など表向きは多様な働き方を提案する改革でも、実のところは賃金ダウンやリストラと会社に都合のいい形になっているケースが見受けられる」という――。


※写真はイメージです - 写真=iStock.com/erhui1979

「コロナのどさくさ紛れ」働き方改革に名を借りた賃金カット&リストラ

新型コロナウイルスの影響で9月中間決算が赤字ないしは減収減益に陥った企業も多い。そんな暗いニュースの中で、これまで遅々として進まなかった「働き方改革」がなぜか加速している。だが、この動きはビジネスパーソンが素直に喜べる内容とは言えない。

働き方改革の本来の趣旨は、労働時間の削減などワークライフバランスの確保や多様な働き方を可能にすることで個人の能力の最大化と生産性向上を実現することだ。

国は、働き方改革により「中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現する」(首相官邸Webサイト)という、いわば賃金の底上げを目指している。

ところが、今進んでいる働き方改革の中には、その趣旨とは逆行するものばかりだ。とりわけ「人件費削減目的」の改革が横行しているようだ。

下記は、そのおかしな働き方改革の典型例だ。

①ノー残業に名を借りた残業代カット
②週休3日制の導入
③副業容認企業の増加
④テレワーク推奨の裏で推進するオフィス費用のカット
⑤「ジョブ型」賃金制度導入に伴うリストラの実施

例えば残業代、会社の「固定費削減圧力」が増している

①から順番に解説していこう。

コロナ禍の業績悪化による残業代削減圧力が高まっている。コロナ前はノー残業を推進するために、残業しなくても従来の残業代に見合う一定の手当を支給する先進的な動きも見られたが、今では残業代削減が至上命題になっている。

業績悪化に陥ると固定費で最も大きい「残業代」「採用費」「広告宣伝費」「交際費」を削るのが常套手段となっているが、建設関連会社の人事部長は「すでに中途採用を中止し、定時終業を原則とし残業代の削減も進めている。大手も下半期から残業代の厳格化をはじめ採用費、広告宣伝費などの削減を行っている企業が増えている」と指摘する。

実際に所定外労働時間(残業時間)は今年4月に前年同月比マイナス30%に落ち込んで以来、徐々に回復しているものの9月もマイナス12%となっている(一般労働者、厚生労働省「毎月勤労統計調査」)。

もちろん残業が少なくなることはよいことだ。しかし、労働組合の連合のテレワーク調査(6月上旬)によると……。

「通常勤務よりも長時間労働になることがあった」と答えた人が51.5%。

「残業代の対象となる時間外・休日労働を行った」人は38.1%(そのうち「勤務先に申告しなかった」人が65.1%、申告したのに「勤務先に認められないことがあった」人が56.4%もいた)。

本来支払われるべき残業代を申告しない、あるいは支払わないのは会社の固定費削減圧力が増しているとも考えられる。

週休3日、4日制は人件費カット目的という見方がもっぱら

②の週休3日制はどうか。

みずほフィナンシャルグループが2020年12月から銀行や証券、信託銀行など主要6社に勤める計4万5000人を対象に週休3日・4日制を導入することを発表し、話題になっている。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/winhorse

希望者による選択制で増えた休日を生かし、資格取得や大学院に通うなど自分磨きに利用することが期待されている。

過去にも佐川急便、ユニクロ、ヤフーが週休3日制を導入している。ただし、休みが増えるといっても週の労働時間は変わらない。もしくは休みが増えた分、給与が減るだけだ。

佐川急便やユニクロは週40時間の労働時間は変わらず、変形労働時間制を使って1日10時間働くことによって1日の休日を捻出する。ヤフーは1日の労働時間は変わらないが、休みが1日増える分、2割程度給与が減額される仕組みだった。

どの企業も週休3日制といっても、1日8時間、週5日勤務という働き方の大枠を変えてはいないということだ。

みずほもヤフーと同じ仕組みであり、1日の休みにつき給与を20%削減し、週休3日の社員は月給が8割、週休4日だと6割まで減ることになる。

いかに給与が高い銀行員といえども、家族を抱えている世代で給与が2割、4割減ってもビジネススクールに通う余裕がある人はそんなにいないのではないか。

それでも休みが増えることで「多様な働き方」という働き方改革の趣旨には沿っているが、業績悪化のこの時期に導入することに疑念を抱く声もある。

住宅関連メーカーの人事部長は「みずほが発表した週休3~4日などの制度の導入は、表向きはいろいろな働き方を提案する改革だと思うが、実のところは賃金ダウンであり、人件費カットという見方もでききるのではないか」と指摘する。

もともとメガバンク各行は2017年に将来を見据えたビジネスモデルの転換や省力化によって大規模なリストラ計画を発表し、みずほFGも1万9000人の人員削減を発表していた。

さらに2020年の9月中間決算の連結純利益は前年同期比25%の減益、21年3月期の通期も約22%の減益を見込んでおり、人件費カット目的の週休4日制という見方もあながち的外れとはいえないだろう。

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