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大弁護団は意味がない

弁護士が最高に力を発揮するのは、大体が3人のチームである。

事細かに証拠や裁判例を検討し、とことん真実の発見と法的な問題点の所在の追究に拘る真面目な主任の担当弁護士がいることが大前提だが、いくら真面目で優秀でも一人では漏れもあるし間違いもある。
一人では間違いに気が付かないからどうしても第三者の目でチェックしなければならない。

このチェックを行う弁護士は主任の担当弁護士が検討したすべての証拠を同じように丁寧に検討する手抜きをしない弁護士でなければならない。勿論裁判例なども原典にあたって検討するくらいの丁寧さと慎重さが必要になる。
この二人の弁護士がチームを組んで仕事をすれば極めて水準の高い仕事をするようになる。

しかし、これで十分ということはない。
一つ一つの証拠や裁判例を担当者ほどには丁寧に見直すことはしないが、証拠間の矛盾の有無や論理の整合性、さらには経験則に照らしての判断の合理性などを的確に見分けることが出来るもう一人の弁護士が必要である。

3人の有能な弁護士がチームを組んで一つの仕事を仕上げるのが理想である。
それ以上いても大体は役に立たないか、研修、勉強、あるいは単なる数合わせのために名前を連ねていると見ておけば大きな間違いはない。

いよいよ大阪地検特捜部の元部長、副部長の犯人隠避事件の公判が開かれた。
元部長にも副部長にも大弁護団が付いているということだが、私の目から見れば大した意味がない。
誰が本当の主任弁護士か、副主任は誰か、そして最終的な判断は誰がするのか、ということさえ分かれば大体は裁判の帰趨が見えてくる。

大阪地検特捜部の部長、副部長という要職にあった検察官を裁くというのだから、被告人にとっては自分の名誉と人格をかけた戦いになり、また特捜部の部長、副部長の二人を逮捕して起訴までした最高検察庁としては検察の最後の威信をかけての裁判になる、ということは自然の道理である。

新聞で報道されている検察官の冒頭陳述要旨や弁護側の弁論要旨を読む限りは、被告人側の弁明は如何にも弱い。
検察側で握っている証拠の外に被告人に有利な新たな証拠でも発見しない限り、大弁護団を組んでも余り役に立たないということだ。

公判廷で前田元検事やその他の検事がどういう証言をするのかよく注視する必要があるが、私はこの裁判は弁護側の希望するような展開にはならないだろうと見ている。

前田元検事が証拠物であるフロッピー・ディスクの書き換え実行した事実があり、上司である副部長や部長がフロッピー・ディスクの書き換えの事実を知りながらそこで何ら具体的な措置を行わなかった、というのがそもそもの問題である。
故意か過失かはさておき、担当の検事が証拠物の書き換えをしてしまったなどということは絶対に許されない行為である。

担当検事が器物損壊や証拠隠滅という犯罪行為を犯したのではないか、という疑念を抱くのが上司としての当然の対応であり、その問題性について何ら考えが及ばなかったというのであれば余りにもその上司は迂闊である。

公務員は、その職務の遂行の過程で犯罪行為を知った時は、告発の義務を負っておる。
本件は、告発もしなければ、事実関係の詳細な調査もしないでそのままに放置して、結局公判担当の他の検事の指摘でようやく事実が発覚して大騒ぎになった、ということである。

前田検事のフロッピーディスク改竄は本人の過失によるもので、当時は何ら事件性があるものとは思わなかった、などという弁解はまず通用しない事案だということをよく認識していたおいた方がいいと思うが、さて如何か。

参考 産経新聞配信記事
「特捜部長vs最高検」威信かけた攻防が幕開け
産経新聞 9月12日(月)13時19分配信

 証言台を挟み、2人の元検事が古巣と相対した。大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)・犯人隠避事件で12日、大阪地裁で開かれた元特捜部長、大坪弘道被告(58)と元副部長、佐賀元明被告(50)の初公判。大坪被告が「名誉を守る闘い」と位置付ければ、佐賀被告は「記憶を淡々と述べるだけ」と気負わず、法廷でともに検察側との対決姿勢を鮮明にした。対する最高検にとっても威信をかけた公判になる。刑事司法への信頼を揺るがせた事件の真相は−。刑事裁判を知り尽くしたプロ同士による攻防の幕が開いた。

 両被告はいずれもスーツ姿で入廷。弁護人席の前で互いに会釈し、並んで長いすに座った。大坪被告は検事4人をまっすぐ見つめ、佐賀被告は書面に目を落とした。
 「上司としての監督責任はあっても、法廷に立たされるべき理由は存しない」
 罪状認否で、はっきりとした口調で述べた大坪被告。佐賀被告も「改竄されたという認識はございませんでした」と淡々と否認した。

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