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別姓選べず結婚を諦める人も…「選択的夫婦別姓」7割賛成の調査結果 改姓した当事者「変えたくないと言いやすい風潮を」



 結婚した後も夫婦が望めば、結婚前の姓を名乗ることが出来る制度、「選択的夫婦別姓」―。この制度について11月18日、ある調査結果が発表された。調査を行ったのは、早稲田大学の棚村政行教授と市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」。60歳未満の成人男女7000人を対象に調査を行ったところ、「自分は夫婦同姓がよい/他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない」と回答した人が35.9%、「自分は夫婦別姓が選べるとよい/他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない」と回答した人が34.7%で、およそ7割の人が「選択的夫婦別姓」に賛成の意向を示した。一方で、「自分は夫婦同姓がよい/他の夫婦も同姓であるべきだ」と回答した人は14.4%に留まった。

【動画】選択的夫婦別姓の是非 7割が賛成の調査

 調査を行った市民団体の事務局長で、自身もこれまでに2度姓を変え、そのたびに複雑な思いをしてきたという井田奈穂さんは、今回の調査結果について「年代別に見ていくと、20代、30代の賛同率、また女性の賛同率がすごく高い。反対をしている人たちは50代や上の世代、そして既婚者の男性が多かった。年代別、性別に可視化できたのではないかと思っています」と語った。

 さらに今回の調査では「別姓が選べないために結婚を諦めたことや、事実婚を選択したことがある」と回答した人が全体の1.3%いたことが明らかになった。これに井田さんは 「配偶者の姓になったことによって、仕事上の不利益がすごく大きい方もいらっしゃいますし、そもそも自分が慣れ親しんできた信用、実績、資産を築いてきた名字をどうして変えなければいけないんだと。自分の名字のままでいたい、変えたくないという思いを、口に出していい、もっと風潮を作っていくべきじゃないかなと思います」と訴えた。

 井田さん自身は学生結婚で井田姓に変わりそのまま社会人に。井田姓で仕事をし、その後離婚。現在の夫と再婚し、また名字を変えたが通称は井田を名乗っている。前の夫との子どもは井田姓を希望したため、別戸籍だという。

 現在日本では結婚する際、夫婦どちらかが改姓し、「夫婦同姓」にするよう法律で定められている。姓を変えるのは夫婦どちらでも構わないが、実際は96%の夫婦が男性側の姓を選択するという調査結果が明らかになっている。

 井田さんは結婚に際して名義変更が100件以上あり、1日がかりでガス、水道、電気、家賃の引き落としなどに対応した。「自分のクオリティーオブライフ(QOL)が下がる。自分の望まない名前で呼ばれていくことは、男性であっても女性であっても、一定数苦痛だと思う方がいるので、選択制が議論されている」と、現状について説明した。

 女性の社会進出が進み、姓を変えることによるキャリアの中断など、社会的な不利益を背景に導入を求める声が高まる「選択的夫婦別姓制度」。ネット上でも、様々な声が上がっている。「僕は選択的夫婦別姓に賛成」「職場などで改姓が障害になっているのなら、急いで進めたらいいと思う」という賛成意見に、「夫婦別姓はともかく子どもの姓はどうするのだろう?」という子どもの問題への声、さらに実体験として「夫のことは好きだが、夫の姓にすることは相当抵抗があった」「私は旧姓でこそ私だと思っているから」(選択的夫婦別姓制が)実現したら元に戻したい」というものも見られた。

 「選択的夫婦別姓」をめぐっては、国会でも議論が交わされており、加藤官房長官は18日、今後の議論のあり方について「わが国の家族の在り方に深く関わる事柄であり、国民の間でさまざまな意見がある。今回ご指摘のような結果が出た旨の民間団体の調査でありますが、報道は承知をしておりますが、今後も引き続き国民各層の意見・国会における議論の動向などを注視しながら検討を対応してまいりたい」と述べた。



 現在は法により、別姓という選択肢はない。コメンテーターで東京工業大学准教授の西田亮介氏から意見を求められた番組MCの田中萌アナウンサーは「私も世の中も同姓でいいのでは。職場は旧姓のままでもいいのかなと思います。戸籍上の話ではなくて、通称でいいのかなと。結婚は(男女)どちらの姓でもいいんですが、一つの姓にして家庭を作っていくのが結婚だと思っていて、そうじゃなかったらなんで結婚するのというか、他人と他人な感じが私はしてしまう」と持論を語った。

 西田氏によれば、この田中アナの意見はまさに選択的夫婦別姓が認められてこなかった理由の一つだという。「選択的夫婦別姓を認めない現在の民法が憲法に反するのではと訴訟になったことが何度かあるが、これまでは認められておらず『違憲とまでは言えない』という判決が出ている。その理由が職場で旧姓の使用ができる状況があるので、個人の尊厳と両性の平等を妨げているとまではいえないというものだった」と、まさに田中アナが話した内容だと紹介した。

 それでも西田氏は「女性の意見が多いのも重要で、結婚した96%が男性姓に変えている。うちでも妻が西田姓にして、銀行口座やクレジットカードの名義を変えた。日本の税制を見ると、世帯を形成すると受けられる優遇措置がいろいろあるので、そういう意味でも夫婦の姓を変えないままでも世帯を形成できるようにすることで、姓を変えたくないが優遇も受けられるなどといったかたちで社会の選択肢も増える。むろんこれまで通りどちらかに統一することもできる」と賛意を示していた。
(ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

【動画】選択的夫婦別姓の是非 7割が賛成の調査

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