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投資で資産は増えない。増やしたいなら投機しかない~パチンコ(投資)で年金不安に備えますか?

年金不安、将来不安、会社不安などから、金融商品に投資を考えている人が、もしかしたらいるかもしれないが、2008年の金融危機を境に、投資の常識は変わってしまった。

その大きなパラダイムシフトとは、投資では資産は増えない。増やすなら投機しかないということだ。

投資と投機の違いは、必ず資産運用するにあたって、はじめに出てくる話だ。

投資に対する悪いイメージを払拭し、金融商品を購入してもらうために、投機はギャンブルだから悪だけど、投資は長期的な企業の成長を目指すものだから善、というところから話がスタートする。

しかしこの常識は2008年までの話。もはやその後、この常識は通用しなくなった。

どんな時代にもカモにされる個人投資家ではなく、大金動かし、着実に資産を積み上げているはずの、プロの投資家=機関投資家(金融機関や年金基金、生保など)では、2008年以降の市場の変化を察知し、投資の仕方を変える動きが顕著になり始めた。一言でいうなら、投資をやめて投機手法を取り入れていることだ。

今までのように、何に投資するか、その資産(アセットクラス)の割合(ポートフォリオ)を決めたら、あとはその割合を守ることだけに注力すれば(リバランス)、10年、20年、30年たったら着実に運用益が上がる、という時代ではなくなってしまった。そこでプロの投資家は、市場環境を見て、機動的に資産を入れ替えたり、短期的な取引を行うなど、「投機」手法を取り入れ始めている。

投資とは資本に投ずること。投機とは機会に投ずること。投資は資本に投じ、長期的な企業の成長を収益源とする。投機とは、割安なタイミングで買い、割高なタイミングで売る、短期的な売買を繰り返す。

投機=ギャンブル=デイトレ=悪みたいな風潮があったが、今や投資では収益が見込めなくなってしまっている。昔はそれでよかったのに、なぜ今、通用しなくなったか。

1:先進国が高度成長ではなく右肩下がりの時代になったため、長期に株式を保有しても昔みたいに成長するとは限らない。

2:市場がグローバル化され、外国人も投資するようになった。結果、投資家の懐事情で資金が引き上げられたりするので、企業が成長していても株が上がるとは限らなくなったこと。

3:市場が急変し大暴落する危機が何度も頻発する市場になったため、どんなに素晴らしい成長企業の株式に投資しても、投資したタイミング(時期)が悪ければ、その損失を回復できないこと。

などが挙げられる。

「なら中国とかインドとか、新興国の株に投資すればいいじゃないか」と思うかもしれないが、それも成長は見込みにくい。なぜなら市場がグローバル化したがゆえに、すでに新興国は成長するはずと大量の投資資金が入っているため、もはや成長は織り込み済み、割高になっているものも多いからだ。

このためプロの投資家は、資産の割合を決めてあとは長期投資すれば、資産が増えていくという今までの常識が通用しなくなり、タイミングを捉えた短期売買や機動的な資産入れ替えしないと、収益が上がらなくなったのだ。

さらに追い討ちをかけるように、日本人だけの特集のリスクがある。為替だ。

今までと違って様々な資産に投資したり、投機的な手法を用いて、機動的な運用を行ったとしても、グローバルな市場ではドル建てのため、円からドルに換えて投資しなくてはならない。仮にそこで儲かったとしても、ドルから円に換える際、投資した当初より円高になっていると、いくら投資対象で儲けても、為替で損をしてしまう。

競馬でたとえるなら、ドルで運用している人たちは、1着だけ当てればいいわけだけど、日本は1着(投資対象の値動き)と2着(為替の値動き)の、両方を当てないと儲からない。つまり日本の投資家はそのハンデを背負っているのだ。

執筆協力した書籍「「株式投資は儲からない」は本当か?」(ソフトバンククリエイティブ)の取材の際にも、今も株式投資をしている個人投資家は、このトレンドの変化に気づいている。だから彼らは1着2着の両方を当てなければならない、輸出企業になんかには投資しない。

投資をしているものも、長期投資なんか基本せず、1~2年のスパンで投資を考えている。しかもどんなに素晴らしい成長企業を見つけ出したとしても、タイミングが悪ければ絶対に買わない。短期的な目線で機会に投ずる「投機」を心がけている。なぜなら企業を長期に応援しようなんていう、夢やロマンではもはや儲けることはできないことに、気づいているからだ。

じゃあ投機が儲かるかといったら、これはかなりの運用力と運がなければ難しい。だから投資は投機=ギャンブルとして捉えてやるのは、非常に楽しいのだが、投資で年金不安に備えようなんて、そんなスタンスで始めたらダメ。それは年金が不安だから、パチンコで資産を増やそうというのと変わらない。

だからプロの投資家も投機的手法を取り入れ、ヘッジファンドなどにも投資するようになったが、結果には大きなバラツキが出るようになった。たまたまギャンブルに勝っているヘッジファンドに投資すれば、収益を得られるが、ギャンブルに負けたヘッジファンドに投資していると、かなりの痛手を受けてしまう。

つまり個人の投資家だろうがプロの投資家だろうが、遊び(ギャンブル)で投資=投機をするのは楽しいが、それで年金を増やそうとか資産を増やそうなんて、間違っても思わない方がいい。なぜなら投資の常識が変わってしまったから。

でも年金不安、将来不安、会社不安は変わらない。金利も低い。もしかしたら国債暴落で、通貨が紙くずになるかもしれない。それに備えるにはどうしたらいいか?

答えは2つ。自分に投資すること。もしくは物を購入することだ。

どんな時代にでも生き残れるよう、自分のスキルアップをするためにお金を使うこと。本を読むとかでもいいし、好きなことを極めるために資金を投じてもいい。自分が使う仕事道具に投資をしてもいいだろう。

もう1つは物を買うこと。預金に預けても金利は低い。ならば貯金の一部を使える物に変える。生活用品でも食べ物でも車でも家でもいい。災害などで物を失ってしまうリスクはあるものの、どんなに貨幣価値が下がろうとも、自動車は自動車だし、家は家だし、食べ物は食べ物。備蓄には限界はあるにせよ、無駄に資金を預金で遊ばせておき、しかもその価値がなくなってしまうと恐れるのなら、物に変えておけば物の使用価値は変わらない。

これからはいろんな業界で常識が変わり、過去のやり方が通用しなくなる。くれぐれも過去の常識をふりかざす、無知な専門家には引っかからないよう注意したい。

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