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コロナ禍でも“バブル以来”の株高!? 目先の株価に惑わされず、実体経済を見据え景気悪化・失業率上昇への備えを

 新型コロナウイルスによって多くの業界が打撃を被る中、日経平均株価(終値)がバブル期の1991年5月以来、約29年ぶりに2万6000円を上回った。背景には一体何があるのか。そして、実体経済との乖離は?元日銀マンでエコノミストの鈴木卓実氏と、内閣官房参与で嘉悦大学教授の高橋洋一氏に話を聞いた。

・【映像】コロナ禍で"株価高騰"も経済は大丈夫?

 そもそも今年の日経平均株価は感染拡大が本格化した3月に底を打って以来、回復基調にあった。

 鈴木氏は「まず、3月の底については、リーマンショック以来の金融危機が起きるんじゃないかという恐怖感が一気に出たことによる。しかし各国の中央銀行も政府もリーマンショックの反省を踏まえ、まず企業の資金繰りをしっかりしようと取り組んだ。それにより企業の倒産が抑えられ、さらに日本では4月に1次補正予算、6月に2次補正予算と、財政支援・財政政策が打たれていったということが大きい。

また、東証一部の64.5%は海外投資家の影響だ。外国人投資家が海外、特にアメリカ株と比べて割安だと判断すれば、日本株を買う。さらに海外投資家が売り、個人も買わないという局面でも日本銀行が買い支えていた効果もあったと思う」と説明する。

 そして、世界的に感染の再拡大が指摘される中での急上昇。背景にはアメリカの製薬大手「ファイザー」やバイオ企業「モデルナ」によるワクチン開発の進展と、それに伴う経済活動の正常化への期待感の高まりがあるようだ。今月に入り、ニューヨーク市場は史上最高値、東京市場も値下がりしていた航空会社、鉄道会社株が買い戻され、株価上昇につながっている。

「特に大企業が潰れにくいという環境の中、思ったよりも早くワクチンができるという強い期待感があるのだと思う。また、各国がこれから財政政策を打っていくことが確実視される一方、金融緩和も継続だ。低い金利で資金調達できるという“お金余り”の環境が続くということとの相乗効果が出てきているのだと思う。

アメリカの場合、個人投資家の層、富裕層が厚く、日本では家計の半分以上が現預金であるのに対し、アメリカでは45%が株・投資信託だ。株価の上昇局面になると個人が買っていく。そこがアメリカの強さでもある。ただ、個別の銘柄を見れば明暗はある。株価が厳しい局面、戻る局面では日本でもZoomなどIT株が買われたが、ワクチンができそうだという楽観的なシナリオが出てきた局面になると、いわゆる景気に連動する銘柄が買われている。その意味では、業種関係なく買われるバブル期とはスタンスの違いも見えてくる」。

 他方、高橋氏は「株式をやらない人は“今”を見ているので違和感を覚えるかもしれないが、株式市場というのは要するに半年先、一年先の“夢”を見ている。その頃には複数の会社がワクチン開発に成功し、コロナは怖くない、普通の状態に戻れるんだ、というふうに考えている人が結構いるということだ」とした上で、実体経済については「崖から落っこち、さらには失業率が上がるという予測をしている。GDPギャップから予測される失業者は、100万人オーダーだ。ただ、Go Toを感染を防ぎながらやるのは重要だが、有効需要としてはあまり大きくない。そこは公共事業、非常に経済が落ち込んだ時に給付金や休業補償も対策にはなる」と話す。

「ただ、日本の場合はインフレ目標という数字を出していて、その範囲であればお金は刷れる原則だ。コロナでデフレ圧力が強くなっているので、日銀も物価の見通しの目標を下方修正している。ということは当分の間は大丈夫ということ。計算上、安倍総理の時に100兆円くらいまでは大丈夫と言って、60兆円を使った。まだ40兆円使ってもインフレ目標まで行かないので、大丈夫だ」。

 鈴木氏も「そのGDPギャップを財政政策で埋めていいのか疑問は残る。コロナショックは飲食や宿泊で需要が落ちているというだけではなくて、社会的にも供給が難しいということが起きている。大企業のデスクワーカーたちは在宅勤務ができるということに気付いてしまったため、オフィス需要が減って周辺の飲食店の方は厳しくなるし、接待・交際費、出張旅費も減っていくだろう。

これはコロナが終わっても戻らない。また、巣ごもり消費で利益を得ているところに需要が集中している部分もある。そういう中、どこかの業種で供給が落ちているのをどこかで埋めようとすると産業構造がおかしくなると思うし、各論のところで産業構造を見ながら経済対策を進めないと、禍根を残すことになるのではないか。例えば労働移動のための職業訓練とか社会人教育、リカレント教育といった分野にお金を使わないと、所得は伸びないままだ」と指摘。

 さらに「来年オリンピックが開催できたとしても、都内にイベントのための人材を集めてしまうだけで、地方ではイベントができない。そもそもオリンピックの経済効果自体をおそらく過大評価していると思う」とも話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:コロナ禍で"株価高騰"も経済は大丈夫?

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