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ダライ・ラマを「売国奴」と批判する中国

 ダライ・ラマ14世が11月3日に来日しました。14日までの滞在予定で、東京、横浜、沖縄等で講演が行われる予定です。

 ダライ・ラマが外国を訪問すると、中国が抗議を行うのが通例となっておりますが、『環球時報』が、横浜で行われた記者会見にさっそくかみついていたので(达赖窜访日本将钓鱼岛称“尖阁列岛”遭质疑)、これについて少し。

1 記事の紹介

 いつものとおり、最初に記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 11月5日、ダライ・ラマ14世はは横浜で記者会見を開催した。周知のとおり、釣魚島は中国の固有の領土だが、現在日本と争いが起きている。これは日本の右翼勢力が引き起こしたもので、日本政府はこれを制止しないだけでなく、逆に迎合し、「島の購入」を行い、両国関係の悪化を招き、中国の領土を侵害した。

 日本政府が「島の購入」を行って以来、中国大陸と台湾、香港は「島を守る」ことで提携し、世界の各国の華僑は集会・デモ・広報など様々な行動を起こし、これに勇敢に立ち向かった。

 ダライ・ラマはわざと事実を歪曲し、中国大陸の「社会的閉鎖により、反日的感情が表れる」と述べ、台湾、香港、マカオと海外華僑を含め中華民族の国を愛する情熱を中傷した。今回の言論は日本の右翼を喜ばせるもので、ダライ・ラマは再度13億の中国人民に敵対した。

 中国はこれまで「反日教育」を行ったことはなく、第二次世界対戦で日本の軍国主義が中国人民に対し深刻な犯罪を犯したが、中国人民は日本の戦犯と日本国民を分断し、日本と親しくつきあっていくことを望んでいる。

 数日前、数名の日本人観光客が河北省で雪の中遭難したが、地元の人々は全力で救助活動を行った。私達がしているのは、少数の右翼勢力、日本軍国主義の復活だ。ダライ・ラマは「中国の多くの人は依然として日本人と軍国主義を結びつける」と述べ、挑発している。

 同様のことは以前にもあり、11月2日にはHindustan Timesの取材を受けたが、その時も「以前、私は常にインド政府はチベットの問題で中国に対して慎重すぎると言っていた。しかし今は見方を変えており、インドがこの問題でより強硬な立場をとっていると見ている」と述べた。

 更に、チベット情勢について、「完全に正常化しないのであれば、中国とインドはお互いに信頼関係を発展させることはできない」と妄言を述べた。ダライ・ラマにとって中国の国家利益は全く重要でないことがよく分かる。

 祖国を売って外国人の支持を得るというのは、ダライ・ラマがよくする事だ。彼はチベットを売って、「インドは中国よりチベットの主権を持つ理由がある」と述べている。彼は祖先を売って、「タワンがインド不可分の領土であるという考えは一度も変わっていない」と述べている(タワンにはダライ・ラマ5世が建造した廟がり、6世の出生地)。

 更には中国の東北、台湾、内モンゴル、新疆を売り払おうとしている。ダライ・ラマは自叙伝の中でこれらの地域は、中国から分かれるべきとしている。

 またダライ・ラマは至る所で自分を「インドの子」と宣伝している。「もし私の大脳を開けたら、私が100パーセントのインド人であることをわかる」とも言っている。残念ながら、ダライ・ラマは自分の魂を売ることはできるが、中国の土地は一寸たりとも売ることができない。

2 個人的感想

 相変わらずの中国の典型的なプロパガンダ記事で、ツッコミどころ満載となっております。おそらく日本人にしてみれば一番引っかかるのは、「反日教育」をこれまで行ったことがないというところでしょう。

 国民教育で何を教えるかは難しい点で、且つ何をして「反日教育」と言うかという根本的な問題もあるので、仮に100歩譲って「反日教育」はなかったとしても、テレビドラマなどで、嫌というほど、戦時中の日本の「悪行」を映像化している現実があります。

 これらが、これらがどれだけ中国国民に影響を与えているかというと言うまでもありません。その典型的な事例が今回の尖閣購入に関連して発生した暴徒化した「反日デモ」で、一部の右翼だけを憎んでいる人が日本車を破壊するという行為をするのかという話です。

 実際デモを徹底的に取り締まる中国で、「反日デモ」のような行為は中国政府の暗黙の了承がなければ起こせなかったことは明らかであり(今回の「反日デモ」のまとめのようなもの)、自分たちでいろいろ煽っておいて、こういうことを言われても全く説得力はありません。

 それにダライ・ラマは本来であればチベット人で、勝手に併合しておいて、中国に対する愛国心を求める方がおかしな話であり、それで日本の中国侵略を非難するわけですから、本来甚だしい論理矛盾を起こしていることはいうまでもありません。

 確かに中国の公式見解では、「一部の」右翼とされておりますが、今回の尖閣国有化も右翼勢力に日本政府が抱き込まれた結果としており(尖閣購入に関する中国のプロパガンダ記事)、そういう見解を勝手にとっておいて、日本の「一部の」、「少数の」と言っても説得力をもたないことは明らかです。

 斯様に公式見解自体がいろいろ論理矛盾をきたしている状態ですが、中国では、公式見解を批判することは許されておらず、今後もそれに基づいて対日感情が形成されることとなります。それで何か問題が起こったら全て日本の責任と言われてもという感じです。

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