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無印良品の衣料品 中高年の顧客から選ばれにくくなった原因

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10月より衣料品を値下げした無印良品

 コロナ禍で苦境が鮮明になっているアパレル業界だが、カジュアル衣料チェーンでは、ユニクロ(ファーストリテイリング)やしまむらが回復しているのに対し、無印良品(良品計画)は衣料品事業が不振で、明暗を分けた形となっている。その理由はどこにあるのか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。

【写真】ユニクロ「+J」発表会に登場した宮沢りえ

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 景気は悪いなりに小売店の各売り場は日常を取り戻しつつあります。衣料品の業界においては、コロナ休業の影響もあって全般的には厳しい状況ですが、企業ごとの業績は異なります。コロナ前は好調だった企業が苦戦に転じたり、コロナ前に不調だった企業が好調に転じたりという地殻変動があり、優劣の格差が拡大した部分もあります。

 たとえばユニクロはコロナ禍でも在宅ウェアの売り上げやネット通販事業が伸びるなど回復が早く、最近ではデザイナーのジル・サンダー氏とコラボした『+J』の秋冬コレクションが話題となり争奪戦が起きています。改めてユニクロの強さ、支持率の高さには驚くばかりです。

 また、しまむらは郊外・地方の単独路面店が多く、都市部ほど外出自粛の影響を受けなかったことから、コロナ禍でも既存店売上高が増収に転じています。やはり外出が減ったことで部屋着が売れたり、マスクなどの衛生用品やインテリア用品の売り上げが伸びたりと業績は回復基調にあります。

 その一方で苦しい経営を強いられているのが無印良品です。無印良品の全事業の月次売上速報を見れば、前年並みから微増、微減を維持しているので健闘しているほうだと思いますが、その内訳を見てみると一概に復調しているとはいえません。特に衣料品は厳しい状況にあります。

 ほとんど衣料品しかないユニクロとジーユーの好調さや、無印良品よりも衣料品比率が高いしまむらの回復力とは区別して考える必要がありますが、9月度までの無印良品は衣料品の売上高が前年よりも低下した反面、食品が大きく伸びています。日用品は引き続き堅調なので、ほぼ食品の伸びで衣料品の苦戦をカバーした構図になります。

 無印良品は決算で部門別の売上高を公表していませんが月次では公表しているので、もう少し細かく見ていきたいと思います(コロナ休業中の2020年3月・4月・5月の3か月間は除外)。

 直営既存店の売上高は6月が前年比5.9%増、7月が同10.5%増、8月が同6.9%増、9月が同1.1%減とかなり好調だったといえます。しかし、衣料品と食品の2つの事業をクローズアップしてみると、好不調の差がはっきりします。

 まずは衣料品です。6月は2.9%増、7月が1.4%増、8月が15.0%減、9月が14.5%減、10月が6.5%増となっています。

 一方、絶好調の食品は、6月が27.7%増、7月47.0%増、8月53.2%増、9月90.5%増、10月54.9%増となっており、すごい勢いで売上高を伸ばしています。

 この前年対比だけを見た人は、「なんだ。衣料品は8月と9月以外それほど悪くないじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、衣料品は昨年9月から客単価が大幅に減少しています。

 昨年9月が11.1%減、10月が11.2%減、11月が10.2%減、12月が12.0%減、1月が11.4%減と大きく前年割れしています。コロナ明けの6月、7月、8月もそれぞれ7.3%減、11.9%減、10.7%減と落ち込んだままになっています。

 無印良品は新政策として今年10月2日から、72品目の値下げを実施しましたが、すべて衣料品です。さらに12月末には第2弾の衣料品値下げもあると発表されています。10月の衣料品売上高が伸びたのは、この値下げ政策のおかげではないかと思われます。

 しかし、この衣料品値下げは、積極的な価格競争戦略というよりは、これまでの衣料品の客単価下落の追認に過ぎない消極的な政策だと個人的には考えています。ではどうして、ある意味でユニクロやジーユーよりも高いブランドイメージを確立した無印良品の衣料品が「定価では売れない」という安売り状況に陥っているのでしょうか。

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