星野つよし支部長は毎週土曜日午後には藤沢駅前で街頭演説を続けている
本格的な人口減少社会と高齢少子社会を同時に迎えている現在の日本。高齢者は増え続ける一方で現役世代は減り続けています。社会保障サービスの内容を変えなくとも、毎年度1兆円を超える歳出増がほぼ自動的に生じています。
社会保障サービスの内容は、適正なのか。社会保障を支えるために誰が、どのように負担するべきなのか、大変重い課題です。この課題は、個々人の主観で論じている限り迷路に入ってしまいます。
日本よりも早く高齢社会に入った他の先進諸国はどうかという『国際基準』を「物差し」に考えてみたいと思います。
社会保障と国民負担率(税と社会保険料)のバランスは、突き詰めれば「三つの選択肢」から一つを選ばなければならない最重要課題です。そのためには、勇気と真心をもってサービスと負担の『国際基準』を正確に伝える必要があります。この国際基準は社会保障サービスと国民負担率のバランスです。
まず、日本の社会保障サービスは総合的にみてどの国のレベルにあるのでしょうか。各社会保障サービスの内容をはじめ、人口1000人当たりの看護師数、高齢化率、国民医療費(対GDP比)などを勘案しました。その結果、おおむねイギリスとドイツのレベルであることが分かりました。
日本の国民負担率は、医療保険制度の不備などによって極めて低い米国(35%程度)よりやや高い39%程度です。イギリスは約49%で、ドイツは52%です。
日本の社会保障サービスとそれを支える国民負担率の関係は、一言でいえば、アンバランスなのです。これでは、どこかにしわ寄せがきます。そのしわ寄せの積み重ねの大部分が多額の国の借金(国債発行残高) です。これ以上、借金を増やし、子や孫の世代に「付け回し」をしないようにするという前提で考えれば、私たちの目の前にある選択肢は三つに絞られます。
(1)現在の社会保障サービスを低下させないために、国民負担率をイギリスやドイツのレベルにまで上げる。具体的には、現行39%を50%程度まで引き上げる。
(2)国民負担率を現在以上に上げないために、社会保障サービスを引き下げる。具体的には、医療費の窓口負担は上がり、年金などは減額となる。
(3)サービスと負担のバランスをとるために、社会保障サービスのカットと負担率の上昇を同時に実行する。具体的には、国民負担率は45%を上限に、それに見合ったサービスカットを行う。
私自身はサービスカットと負担増を同時に受け入れ、それぞれの中身を聖域なく見直す合わせ技の(3)を推奨していきたいと思います。社会保障サービスと国民負担率とのバランスは、決して聞き心地の良い課題ではありません。しかし、それだけに避けて通ることのできない課題であり、その解決は子や孫の世代に繋(つな)がる極めて重い責務であると思います。
星野 剛士(ほしの・つよし)昭和38年8月8日生まれ。神奈川県立鶴嶺高校、ニューヨークエルマイラ大学、日本大学法学部新聞学科卒業。産経新聞社入社、政治部では総理官邸、外務省、自民党など担当。平成7年神奈川県議会議員に初当選(当時31歳で最年少県議)、15年の3期目はトップ当選。20年藤沢市長選に立候補したが惜敗。現在は経営コンサルティング会社取締役。スローガン:一人ひとりのために、日本のために。